健康とダイエット 雑学

食後に満腹でも甘いデザートが食べられる理由に隠された恐るべき人体のシステムとは?

日本には古来から「甘いものは別腹」という、恐ろしい言い伝えが存在する。

どれだけ食事で満腹になっていたとしても、その後に出される美味しそうな甘味は、あたかももうひとつ胃があるかの如くペロリと平らげることが出来てしまうもの。

これが驚くべき「甘いものは別腹現象」だ。

甘いものは別腹現象は、誰しもが経験したことがあるのではないだろうか?

…これはただの都市伝説の類ではない。実際に甘いものは、別腹を作りだす。

その秘密とは何なのだろうか?

そこには人間の体内で巻き起こる、驚くべきシステムが隠されていた。

甘いものは別腹現象の秘密

甘いものは別腹現象には、おおきくふたつの要素が相互に影響しあっていると考えられる。

胃も甘味を感じる?

甘いものを甘いと感じるのは、舌に味を感じる「味蕾」という器官があるあるからだ。

舌で味を感じるのは、誰しもが知っている所だろう。

だけれど、甘味を感じるのは舌だけではない。「胃」も甘味を感じるというのだ。

実は胃の中にも甘味受容体が存在する。胃の中に甘いものが入ってくると、胃自体が甘味を感じて消化管ホルモンであるグレリンの分泌を促す。

このグレリン、食欲増進+体重増加という恐るべき効果を持つ、ダイエットの大敵ともいえるホルモンで、ラット実験でグレリンを増やしたラットは軒並みデブへの道を走りだすという。

グレリンは何も食べていない状態の胃から分泌される。

これによって食欲がわいてくるのだ。それと同様に、食後に甘いものを食べることでも、グレリンが分泌されてお腹がすく。

目も甘味を感じる?

胃にも甘味受容体が存在し、甘味を感じる。それと同じように目も甘いものを感じると言っていいだろう。

甘くて美味しそうなものを見ると、「美味しそうだな~」という予想や経験が、前頭連合野から接触中枢にシグナルを送る。

そのシグナルによって、脳内で「オレキシン」という神経ペプチドの一種が分泌される。

このオレキシンによって消化が活発になるのだ。

胃のぜん動運動が起こり、胃の内容汚物を腸へと送り込む。そうすると、胃の上部にあたかも別腹のごとく、食べ物の入る隙間が発生する。

感覚得意性満腹感が偽り満腹感を作り出す!?

私たちが「ふ~お腹いっぱい!もう食べれないよ!!」と思う感覚は、あくまでも”脳”がそう感じているに過ぎない。

実際は胃にも腸にもまだまだ食べ物を受け入れる余地がある可能性がある。

これを感覚得意性満腹感と呼ぶ。

ある特定の食べ物しか食べない動物はたくさんいるけれど、人間は雑食性で多種多様な食べ物を摂取する。

「バランスの良い食生活をしましょう」

とことあるごとにいわれるように、いろんな種類の食べ物摂取するのは、人間の健康に取ってとっても大切なのだ。

 

ニンゲンは進化の過程で、単一の食べ物を食べ過ぎないように変化していった。健康を維持するために。

 

だから、同じ味の食べ物をず~っと食べていると「もうこれ以上食べたくない」と、脳は満腹感を感じてしまう。

そこにデザートなどの”まったく別の味”が登場すると、再び脳は自然な食欲を取り戻す。

このような感覚が作り出す偽りの満腹感(感覚得意性満腹感)が、甘いものは別腹現象の原因となっているわけだ。

 

消化促進と食欲増進効果を持つグレリンとオレキシン。そして感覚得意性満腹感。

これらの人体システムが「甘いものは別腹現象」の正体と言えるだろう。

甘いものは別腹現象に抗うための方法とは?

食欲増進と共に体重増加という影響もあるグレリンの事を考えると、食後の甘いものはいろんな意味で危険なシロモノだろう。

では、その甘味による甘美な甘い罠にはまらないためにはどうすればいいのか?

①満腹になるまで食べない

日本には古来から「腹八分目に医者いらず」という言い伝えが存在する。

満腹にならないくらいの食事量が、健康長寿に効果的なのだ。

 

食後に甘いものを食べると「食事終わった感」がでるのを利用して、腹六分目くらい食べたら、もうデザートを食べちゃう。

そうすれば、甘いものは別腹現象を迎えることなく、少量でデザートまで楽しめる食事になるのではないだろうか。

②甘いものは見ない

恐ろしいことに、ただ美味しそうなデザートを見るだけでも、脳内にオレキシンが分泌されて腹が減ってくる。

レストランでデザートのページを開くことは、禁断の扉を開くことと同意なのだ。甘いものは別腹現象を防ぐには、視覚を遮断しなければならないだろう。

とはいえ、満腹になった後に自分の目をつぶして盲目になっていたのでは、目がいくらあっても足りない。

 

そんな時は、外の緑を見たり、青い空を見たりして気を紛らわそう。青い色には食色減退の効果があるのだ。

 

街中を注意深く観察してみると、レストランやラーメン屋、あらゆる外食産業の看板に青色が使われていない事に気づく。

これは青色の食欲減退効果を嫌ったため。

世の中には、そんな青色の食欲減退効果を利用して、かけると世界が青色に見えるダイエット・メガネが存在する。

実に奇天烈な発明だ。

これを使用すれば視野が青色に染まり、食欲を抑える効果がある。

ただし、街中のレストランで着用する度胸があればの話だが…。

③ロースイーツを食べる

いま海外セレブの間で人気の「ロースイーツ」というものがある。

これは白砂糖を使っていない、ヘルシーなデザートのこと。

 

砂糖不使用のケーキなんかも作れるという。ロースイーツはオーガニックで健康的なデザートなのだ。

 

「海外セレブ+オーガニック」という言葉の組み合わせだけで、社会的ヒエラルキーの下層に住む自分的には本能的嫌悪感を覚えてしまう。

しかしロースイーツを出してくれるカフェや、レシピ本なんかもあるので、興味のある方はトライしてみるのもいいだろう。

別腹に詰め込むには最適のスイーツのはずだ。

甘いものは別腹まとめ

甘いものは別腹の正体は、食後に甘いものを見ることで分泌されるオレキシンと、胃が甘いものを感じた時に分泌されるグレリンによるもの。

これらの効果で消化が活発になり、同時にお腹が減る。満腹でもう食べられないって状態から、デザートだけは食べれる理由はそこにある。

さらに恐ろしいことに「甘いものは別腹だよね~♪」なんて食べていると、グレリンの効果で太りやすいのだ。

 

また、同じ味の食べ物を食べ続けることによる感覚得意性満腹感も、別腹の一因。

ご飯やおかずでは得られなかった刺激的な甘みは、偽りの満腹感を消し去り、新しい新鮮な空腹感を呼び起こす。

 

日本には古来から「甘い罠」という慣用句が存在する。

海外にだって「ハニートラップ」(ハチミツ罠)という言葉がある。

罠とは往々にして甘いものなのだ。

食後のデザートという「甘い罠」に気を付けて、引っかからないようにすれば、健康的な生活をおくれるだろう。

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