精神と心理

コンコルド効果とゼロベース思考、対極に位置する心理法則を理解しより良い人生を歩もう。

2015年9月4日

コンコルド効果とは、我々が生活の中で陥りがちな心理的罠だ。

コンコルド効果の影響を回避するには、徹底したゼロベース思考を身に着ける必要がある。

コンコルド効果とゼロベース思考とは、どういった考え方なのだろうか?

コンコルド効果とは?

コンコルドとは、かつて開発されていた超音速旅客機の事。

今まで、とんでもなく速いスピードの戦闘機はあったが、たくさんの人を乗せられる旅客機では存在しなかった。

コンコルドは世界初の音速旅客機として世界中から期待されていたのだ。

 

…ところがコンコルドの実用化には莫大な研究費や製作費がかかった上に、安全性や燃費などの問題もあり、最終的には開発が中止となった。

とんでもなく莫大な研究費が投じられたのにもかかわらず。

コンコルドはとんでもない額の赤字を叩き出して頓挫したわけだ。

 

コンコルド効果のネーミングはこの一連の事件から来ている。

時間やお金などを投資して頑張れば頑張るほど、その苦労を無駄にしたくないと思ってしまい、それを止めることが難しくなる心理的な作用を指す。

そうして人は深~い泥沼にズブズブとハマっていく。

 

例えば映画館に映画を観に行ったら、それがとんでもなくつまらない映画だったとしよう。

だけど、代金は支払ったし、もう1時間は観てるし、ラストにかけて面白くなるかかもしれないし…と思い席を立つことが出来ない。

これがコンコルド効果だ。

もし冷静に客観的に判断するなら、すぐにでもその映画館を出ていき、外の売店買ったソフトクリームでも舐めていた方が遥かに有意義な時間を過ごせるだろう。

コンコルド効果はギャンブルや人間関係などにも影響を及ぼす。

負け続けているパチンコが途中でやめられない、株取引で損切りできない、それらもすべてはコンコルド効果の悪影響。

 

食料や物に対する「もったいない」という気持ちはとても大切だ。

しかし食物とは違い、費やした時間や努力という要素は、必ずしもそれ相応のリターンがあるわけではない。

これ以上は損失が広がるとわかっている場合、今までの苦労をもったいないと思わずに切り捨てるクールな判断が必要なのだ。

実践するのはとっても難しいものだけれど。

ゼロベース思考とは?

ゼロベース思考とは「今までのルールや固定観念を取り払って、まったく新しい発想で考えてみる」というようなニュアンスを持つ考え方。

コンコルド効果とは対極にある考え方と言っていいだろう。

 

もし映画館に行ったとして、その映画がとんでもなくつまらなかったとしよう。

そこでゼロベース思考ではこう考える。「これまでの時間もチケット代も関係ない。もしもう一度観る映画を選べるとしたら、この映画を選択するだろうか?」そこで答えが「NO!」ならすぐさま席を立って、外の売店で買ったソフトクリームを舐める。ポップコーンとコーラだって良い。それがゼロベース思考だ。

 

それまでの積み重ねや努力、周りの環境や状況なんかを一度全部とっぱらって、改めて物事を判断する。

いったんゼロに戻って、白紙の状態から物事を見つめなおす。

 

どうにも行き詰って身動きが出来ない時、ゼロベース思考で考え直してみると、やっていた努力のほとんどが無駄であったことに気づくのも珍しくはないだろう。

 

ゼロベース思考で的確な判断を下すには「より大きな目的」に目を向けるとやりやすいかもしれない。

例えばパチンコで大金をつぎ込んで止めるにやめられなくなっている場合、一番目先の目的は「パチンコで大当たりすること」だろう。

でもその目的を、ちょっと大きな視点でとらえると「楽して金儲けしたい」というより大きな目的があるかもしれない。

その目的のさらに上には「のんびりと幸せに暮らしたい」という目的(願望)が隠れているかもしれない。

もちろん人それぞれだけれど。

 

そんな「のんびりと幸せに暮らしたい」という大きな目的の前に、パチンコをしつこくやり続けることは正しいのか?

おそらくそれは正しくないだろう。

新しく仕事をすることかもしれないし、競馬をやることかもしれないが、より大きな目的に目を向けるとき、もっと違う解決方法が見えてくることがある。

もし「のんびり幸せに暮らしたい」という目的の上に「世界人類の幸せ」なんてスケールのでっかい目的があったらどうだろう?そんな大きな目的や生きる理由なんてものに目を向けるとき、ゼロベース思考がやりやすくなるんじゃないだろうか。

スティーブ・ジョブス流のゼロベース思考の実践方法

企業というのは人間と違って、その存在理由はいたってシンプル。

 

つまり”金儲け”。

 

そんな企業ですらコンコルドの開発を諦めきれずに失敗した。

だとしたら、人間がゼロベース思考で意思決定を行う事は、もっと難しいだろう。

費やしたものが大きければ大きいほど、正確な判断は出来なくなっていくのだから。

 

If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?

「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」

これは元アップルのCEOスティーブ・ジョブスの名言だが、実に的確にゼロベース思考を表現している。

 

「今日を、明日を生き抜くために、やりたくない仕事を続けている、そんなのしょうがないじゃないですか!もし今日死ぬなら仕事サボって最高級の焼肉食べに行きますよ!ジョブス、貴方とは違うんだッ!!」

…そんな風に考えてしまう自分は、まだまだゼロベース思考では物事を考えられないようだ。

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