精神と心理

ポリアンナ症候群とは?その症状と行き過ぎたプラス思考が陥る罠について。

2015年10月26日

「大丈夫、何とかなるよ!!」

世の中はポジティブシンキング至上主義になっていないだろうか。

本屋の店頭では、楽観的になる為のハウツー本がひしめいている。ネガティブ=悪で、ポジティブ=善という図式。

しかし果たして本当に楽観的であることは、人生にとって良いことなのだろうか?

過剰なポジティブシンキングが引き起こす「ポリアンナ症候群」というものがある。このポリアンナ症候群の症状と、楽観的であることの弊害を考えてみよう。

ポリアンナ症候群とは?

ポリアンナを知っているだろうか?きっと知っている人はかなりの大人だろう。

ポリアンナとは、人名である。

ではポリアンナとは誰なのか?

これはアニメの主人公の少女の名前だ。

かつて日曜の夜に「ハウス名作劇場」というアニメ枠があった。これは世界の児童文学をアニメ化して、いたいけな少年少女の情操を教育しようという、素晴らしいシリーズだった。

その中で「愛少女ポリアンナ」というアニメが放送されたことがあった。原作は「少女パレアナ」という児童文学。

このポリアンナは孤児で、不幸な生い立ちなんだけれど、日々の生活の中で”良かった事や嬉しかった事を探す遊び”を行う。

辛い時や苦しいの時にも、この「良かった探し」をすることで、ポリアンナは前向きに頑張ることが出来たのだ。

 

ポリアンナ症候群はこのいたいけな少女ポリアンナから名付けられた心的疾患のひとつ。

その症状は、すっごいプラス思考と楽天的な性格でもって、目の前の問題を直視せず現実逃避しまくるというもの。

 

「いや、でもオレよりもクズはいっぱいいるさ。オレはマシな方だ!」と、引きこもりの部屋でテレビを観ながら呟く。

「自然な出会いで結婚したい!わたしにもいつかきっと素敵な出会いがあって結婚できるはず!!」と、根拠もない自信を持ち婚活もしていない。

「次は絶対当たる、だから、やらせてくれ!やらせてくれーっ!!」と、パチンコで給料日にスッカラカン。

「きょうはたまたま、たまたま調子が悪かっただけですよ。ははは…」と、優勝のかかった試合でイージーミス、その所為で負けた後の感想。

「太っている方がタイプっていう人もいるよ!!」と、ピザのラージサイズをひとりでペロリと平らげて一言。

 

こんな人たちがポリアンナ症候群であると言えよう。

過剰なプラス思考で問題と向き合わないスタンス。これによって、向上心をまったく持てない。

ポリアンナ症候群は本当にポジティブ・シンキングであるというよりも、現実逃避のひとつなのだ。

死んでない嬉しい2

ポリアンナ症候群の弊害

ポリアンナ症候群?いいじゃんいいじゃんポジティブ・シンキング、暗いやつよりはマシだよ!

と思うかも知れない。しかし、このポリアンナ症候群は本人よりもむしろ周りの人間に悪影響なのだ。

現実逃避ばかりで、なんの成長もしない人間だったとしたら、回りが迷惑だろう。

 

ネガティブ思考にはもちろん、たくさんの弊害があるが、ある意味では問題点を認識できていると言っていい。現実と向き合っているからネガティブにもなるし、その現実から逃げてしまう。ポリアンナ症候群は現実から逃げていること自体を認識していない分、質が悪い。

問題はそのバランスという事なんだろう。物事の悪い面と良い面をバランスよく認識して、問題を提起し、それを解決するために努力する。

論語の中に「中庸」という概念がある。なにごとも極端にならずに、バランスとれてる方が良いよね!という考え方。つまり「過ぎたるは及ばざるが如し」ってことだ。

「自分ってポジティブだからさ~」そんな風に思っているポジティブシンキングのあなた、それって問題から逃げているだけかもしれないよっ!!

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