危機対策

東京で震源が30kmより浅いM5.0以上の地震が発生したら首都圏直下地震の前兆かもしれない。

2016年8月26日

今までの常識だと、巨大地震の後に発生する地震は、本震より規模の小さい”余震”であるとされてきた。

しかし2016年4月に発生した熊本地震をきっかけに、今までの常識が覆され、根本的に見直されることとなった。

でっかい地震の後に、もっとでっかい地震が発生するかもしれない。それはもう”余震”ではなく”本震”だ。

どのような特徴を持つ地震が危険なのか?特に地震が連続して発生しやすい地域は?

地震調査研究推進本部地震調査委員会が発表した資料の中から紹介しよう。

連続して大地震が発生する確率は?

地震を発生前に予測するのはとても難しい。だけど、大きな地震が発生した後に続く”余震”であれば、地震学の技術で確率を割り出せる!!

というわけで、地震調査委員会は平成10年に「余震の確率評価手法について」というレポートをまとめた。余震の確率を発表することで被害を未然に防ぐためだ。

この手法は「大地震→余震」という大前提があった。しかし、2016年4月に発生した熊本地震は、その常識を根底から覆した。

「大地震(M6.5)→もっと大きな本震(M7.3)」

これが熊本地震の発生パターンであった。

「大きな地震が起きたからって、次にはそれよりも小さい地震になるってわけじゃない」

この事実を受け、地震調査委が1923年から2016年6月までの地震を再調査したところ、M5以上で震源の深さが30キロ以内の内陸地震は563回あり、このうち、前に発生した地震より規模が大きかった地震は35回(全体の6%)あったという。

大地震が発生した後に、さらに大きな地震が発生する可能性はゼロではないのだ!!

この地震調査は「日本の内陸で震源が浅い地震」を対象にしたもの。その詳しい調査内容とともに、大きな地震が連続して発生する確率の高い危険な地域を紹介しよう。

内陸の震源が浅い地震

先ほども紹介したけれども、

  • 内陸で発生した地震
  • 震源は30kmより浅い
  • 規模が大きい地震

これらの条件を満たしている場合、6%の確率で最初の地震よりも大きな地震が発生するかもしれない。

”内陸”の定義は下記の図の点線の範囲内。つまり、日本全国と考えていい。

nairiku

画像:大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方より参照

内陸の地殻で震源が30kmより浅い場合、連続して規模の近い地震が発生する確率は6%になる。

日本が6%であるのに対して海外はどうかというと、大きな地震が発生した後にさらに大きな地震が発生した確率は2.2%となっている。世界に比べて、日本のほうが立て続けに大きな地震が発生する確率が高いということが分かった。

首都圏直下地震は震源が浅いといわれている。首都圏直下地震発生する直前に、M5.0くらいの東京を震源とした地震が発生するかもしれない!!

内陸の震源が深い地震

内陸の震源が浅い地震の次は、内陸の震源が深い地震の場合はどうなのだろうか?

先ほどは震源が30km以浅であったが、震源が30km~80Km以浅の深い地震を見てみよう。

深い震源で発生したM5.0以上の地震のうち、最初の大きな地震より規模の大きな地震が発生した事例は559個のうち3個でたったの0.5%という結果になった。

この検証結果から、震源が30kmより深い地震は、連続した巨大地震の危険性がかなり低いってことになるだろう。

地震の”続発地域”が存在する海域の地震

kaiiki

次は海域の地震について。

上記の日本地図の中に、黒線で囲まれた地域がある。「三陸沖」と「択捉沖」だ。ここは連続して大きな地震が発生しやすい”続発領域”として指定されていた。

「ほんとに続発してるの??」

今までの常識が覆された熊本地震を機に、いろいろと検証しなおしているわけで…この続発領域もホントに大きい地震が連続する確率が高いのか、改めて過去の地震発生パターンを検証しなおしてみま。

調査対象は、1923年~2016年6月に海域で発生したM6.0以上の地震だ。その結果、やっぱりこの地域はほかの地域に比べて大きな地震が続発する可能性が高いことが判明した。

2011年3月9日三陸沖M7.3 → 2日後 → 3月11日三陸沖M9.0(東日本大震災)

2011年の東日本大震災も続発領域で連続して発生した地震だった。

 

海域の続発領域以外で発生した地震の場合は、続発領域内の地震よりは危険度が低くなる。「最初の大きな地震と同程度の規模の地震を念頭に置いた注意喚起」が適当とされている。

さらに海域で発生した地震でも、震源が80kmよりも深い地震については、連続した地震発生の危険性はほとんどないという結果になった。

連続した大きな地震が発生する危険性まとめ

では、地震調査研究推進本部地震調査委員会が調査した、「連続した大きな地震のリスク」についてまとめてみよう。

まず第一に、地震の震源が80kmよりも深い場合、場所に限らず連続した大地震発生のリスクは低くなる。

問題は、震源が30kmより浅い地震の場合。内陸では6%の確率でさらにデカい規模の地震が発生する。「三陸沖」と「択捉沖」も同じくらい危険だ。

直近のデータを見ると、「2016年8月20日14時20分ごろ三陸沖M5.3深さ約10km→8月20日18時06分ごろM6.0深さ約10km」という連続した地震が当てはまるだろう。

とはいえ、東日本大震災以降の三陸沖は、かなりの頻度でM5.0以上の地震が発生している。連続して大きな地震が発生するのは、もはや日常茶飯事になっている部分がある。

 

気を付けたいのは、内陸で発生したM5.0以上で震源が30kmより浅い地震

データ的には6%の確率で、その地震よりも大きな規模の地震が連続して発生するってこと。

6%という数字が高い確率が低い確率なのかはわからないが、大きな地震が発生した後に「もう大きな地震はしばらく来ないだろ…」と安心するのは間違っているようだ。

 

東京を震源とした首都圏直下型地震の発生が危惧されている。もし首都圏を大地震が襲ったら、都市機能が停止してしまい、莫大な被害が及ぶだろう。人口が密集しているため、その死傷者もすさまじい数に上るかもしれない。

もし、東京で震度の浅いM5.0以上の地震が発生したら…その場合はその後にさらに大きな地震が、つまり首都圏直下型地震が発生する可能性があることを頭に入れておいたほうがいいだろう。

-危機対策