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ゲーム 精神と心理

勇者が世界を救う動機、魔王が世界を滅ぼす動機、トロッコ問題で考えるそれぞれの言い分の正しさ

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「この世界は腐り果てている…貴様も見てきただろう、人間という生き物の愚かさを!!この世界を浄化し、もう一度すべてをやりなす必要があるのだよ!…もう、誰にも止められないぞッ!!!!」

長年のRPGファンである私がときたまお目にかかる、魔王(ラスボス)の世界を滅ぼす動機がこれだ。

それに対し、主人公の勇者はこう切り返す。

「たしかに人は過ちを繰り返しているかもしれない…だけど…人は変われる!オレはこの世界を、そしてこの世界に住む人たちを守りたい!!全力でアンタを…アンタの過ちを…止めて見せるッ!!!」

こういったパターンや、それに類似した展開がたくさんある。(セリフはいま適当に考えたので、元ネタはありませんよ。念のため)

 

はたしてこの二人、どちらが正しいのだろうか?

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倫理学で考える、勇者の言い分と魔王の正しさ

倫理学の有名な思考実験に「トロッコ問題」というものがある

トロッコ問題の内容

あなたは線路の上を暴走するトロッコ列車に乗っている。ブレーキはぶっ壊れていて効かない!そしてなんと、前方には暴走トロッコにまったく気づいていない5人の作業員が、線路の補修作業をしているのだ。

このままでは、5人全員を轢き殺してしまう!!!

しかし前方に線路の分岐レバーが!これを切り替えれば、進路を変更でき、5人のところに突っ込むことはない。しかしよく見ると、分岐した先の線路ではひとりの作業員が仕事をしている最中だったのだ。

レバーを切り替えれば、5人は助かる。だけど尊い命の火が一つ消えてしまう…。

 

5人の命か、1人の命か…。

レバーを切り替えるのか、そのままにしておくのか…。

あたなはどっちを選びますか!!??

この究極の選択が「トロッコ問題」だ。

 

あなたはどちらを選んだだろうか?

 

この質問への回答で、人の考え方は”功利主義”と”義務論”のふたつにわかれるといわれている。

功利主義と義務論

功利主義は”結果”を重要視する。その判断がもたらす結果としての全体の利益を最大化することが、もっとも大切な基準となるのだ。

トロッコ問題においては、もちろん「レバーを切り替えて5人を助ける」を選択する。1人の命よりも、5人を助ける方が合理的。当然の選択だ。

 

対して実務論は結果ではなく、自分の”信念”を大切にする。その行動の結果を重要視するのではなく、ひとつひとつの判断が自分の信念(正義)と沿っているのかが最も大切な基準となるのだ。

トロッコの問題においては「切り替えないで1人を助ける」を選択する。結果はどうであれ、自分の行動で人を殺めてはいけないという規範に沿って行動する。

人間を救う勇者と世界を救う魔王

もし暴走トロッコに勇者と魔王が乗っていたとしたらどうするだろうか?

魔王は5人を救うためレバーを切り替え、勇者はそのままにしておくだろう。

魔王は功利主義で、勇者は実務論に沿った行動をしているのだ。

 

これではちょっとわかりにくにので、類似した思考問題を考えてみよう。

「あなたはボートで5人の溺れた人を助けに向かっている。しかし途中で溺れている一人の人を発見した。その人を助けていれば5人はその間に溺れ死んでしまう。その人を助けて5人を諦めるべきか?」

勇者は溺れている目の前の人を助け、魔王は目の前の人を見捨てて5人を助けるだろう。

 

「病院に5人の患者がいて、それぞれが異なる臓器の移植を必要としている。そこに臓器はいずれも健康な患者が現れた。彼を殺して臓器を移植すれば5人を助けることができる。彼を殺して内臓を取り出すべきか?」

勇者は”彼”を殺すことが出来ないが、魔王は迷わずに5人の患者を助けるだろう。

 

最初に紹介した世界を滅ぼすうんぬんのストーリーは、功利主義と実務論を語る上では不適切だったかもしれないが、あえて分けるとするならこうなるはずだ。

世界を滅ぼそうとする魔王は、合理的な判断力を持っている功利主義者。ゲームによっては、世界を守るために人間だけを滅ぼそうとしてたりする。人間を滅ぼすことに苦悩し、その痛みを乗り越えてたどり着いた信念だけに、揺るぎない強さを持っていたりする。

人間を救う勇者は、感情的な熱血漢で自分の中に揺るぎない信念を持っている実務論者。

自分の中に”正義”の揺るぎない信念を持ち、それを貫く精神力を持っている。その信念の為に、誤解されたり間違った行動をとるものの、最終的には世界を救っちゃう。

 

では、ストーリーを進めて、勇者が魔王に勝つとどうなるか?

魔王はかつて勇者と同じように揺るぎない信念を持っていたものの、度重なる悲劇でその信念を折られてしまう。そうして間違った方法で世界を救おうとしていた…な~んて自分の悲しい過去を語りだす。そして勇者の”強さ”と、自分の中の”弱さ”に気づいた魔王は「ふふ…私の負けだ…」なんて言っちゃうのだ。

最後には残る力を振り絞って、崩れ落ちる魔王城から勇者たちを安全な場所にワープさせた後、「勇者よ…おまえたちの作り上げる世界を見てみたかったな…」なんてセリフを呟きながら瓦礫と共に地下深く埋もれてしまうのだ。(生死は確認できず、続編で勇者にピンチに駆け付ける場合もアリ)

勇者は魔王との戦いの中で、世界の矛盾と魔王の悲しみを理解し、それを糧に仲間たちと新しい世界を作り上げるのであった。

めでたしめでたし。

実務論の方が人望があるらしい!

話が大いに逸れてしまったが、結論を語ろう。

オックスフォード大学とコーネル大学の共同実験によると、トロッコ問題等の思考実験では、ほとんどの人が「功利主義」を選択したという。

学校でも仕事でも常に”結果”を求められる、資本主義の申し子たる我々であるからして、当然の結果だろう。

しかし研究の結果、「功利主義」ではなく「実務論」を選んだごく少数の人間は、功利主義よりも人望が厚くリーダー的な人物像であることが多かったというのだ。

勇者と魔王、どちらの方の部下になりたいかといえば…どちらかといえば勇者の方と答えるかもしれない。勇者の部下だと苦労するだろうけど楽しそう、魔王は利益を追求して使えない部下をすぐリストラしそうだ。

 

まあ、功利主義と実務論は、どちらが正しいというわけではない。

実務論も悪く言えば、目先のことしか考えないバカ!と捉えられるし、功利主義も行き過ぎれば、結果のために手段を選ばない冷血人間になってしまうだろう。

しかし少なくとも人の上に立つ立場の人間であれば、実務論的に行動した方が人望を得られるようだ。

 

え?トロッコ問題で私はどっちを選んだのかだって?

もちろん迷わずにトロッコの前に飛び出して、命をかけてでも暴走トロッコを止める!!そして6人とも救うさ!!

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