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映画ズートピアの感想と、ズートピアに暮らす肉食動物は何を食べているのか?という疑問について(ちょっとネタバレあり)

2016年5月19日

先日ディズニー映画「ズートピア」を劇場で観てきた。

草食動物と肉食動物が仲良く暮らすズートピア。そこで肉食動物が狂暴化する奇妙な事件が発生する!

それを捜査する新米警察官のウサギのジュディと、ひょんなことから捜査協力することになったサギ師であるキツネのニック。はたしてその騒動の結末は…!?

簡潔に紹介するとこんなストーリー。

その感想と、ズートピアの肉食動物は何を食べているのか?という視聴後に思った素朴な疑問を検証したい。(真相には触れないものの少しネタバレがあるので観てない方は注意してね)

ストーリーに潜む差別という問題

ズートピアは実は「差別」をテーマにした映画なのではないかといわれている。

実際、登場キャラクターは様々な差別を受けているし、差別はストーリーの根幹をなす要素でもある。

 

主人公であるウサギのジュディは、こどもの頃から警察官になるという夢があった。しかし身体の小さなウサギであるというだけで警察官になることはできないといわれる。その後、超努力して警察学校を首席で卒業し、花形であるズートピア配属になるが、そこでもウサギであるということの差別を受け、駐車違反取締の部署に配属される。

もうひとりの主人公であるキツネのニックは、キツネであるということで「ずる賢い悪いヤツ」というレッテルを張られ、こどもの頃にいじめられる。そうしてひねくれたサギ師になってしまう。

 

ズートピアは肉食動物と草食動物が仲良く暮らす、動物にとってのユートピア。

大昔、動物たちはその本能のままに生きていた。しかし進化の過程で”理性”を身に着け、肉食動物は他の動物を襲う事もなくなり、草食動物たちと仲良く暮らせるようになったのだ。

しかし肉食動物が野生を取り戻し狂暴になるという謎の事件が巻き起こり、その結果「肉食動物は結局生まれつき危険な動物なんだ!」という嘘の情報が報道され、肉食動物が一転して差別の対象になる。

 

かわいい動物キャラクターのおかげでその表現はマイルドになっているが、そのまま人間世界にも当てはまるようなへヴィーな問題ばかりだ。

ズートピアが伝えたかったこと

ウサギのジュディは身体の小ささをものともせずに、優秀な警察官になった。

キツネのニックも、ひねくれた性格は表向きだけで、じつは真面目で繊細で頭のいい性格であった。

ズートピアに暮らす肉食動物たちも、最初から最後まで草食動物と仲良く暮らしていて、一貫して”被害者”であった。

 

ストーリー上では事件は解決し、ズートピアに平和が戻る。だけど、動物間の差別は依然として残ったまま。しかし、ジュディやニックのように、差別を乗り越えて夢を叶えることができる動物たちもいる。

 

ラストシーンでジュディのスピーチシーンがある。そこで彼女は「世界をより良くするには、自分を見つめ、自分を知り、自分を変えることが大事」とみんなに伝える。

これこそがズートピアのテーマなのではないだろうか?

宗教や人種差別などを考えると、その問題のスケールのデカさに頭が痛くなるが、結局のところひとりひとりが変わっていくことが世界を変えるきっかけになるのだ!

ズートピアの肉食動物は何を食べているのか?

…というように、映画の”テーマ”を考えるなんて、不粋で野暮な行為だろう。

そんなことよりも、この映画を見た後に思った素朴な疑問がある。

 

「ズートピアの肉食動物は何を食べているのか?」

 

ズートピアは肉食動物と草食動物が仲良く暮らす楽園ということになっているが、映画の中ではほとんど食事シーンが描かれていない。描かれているのは「ニンジンを食べる」「ブルーベリーを食べる」「アイスキャンディーを舐める」「ケーキを食べる」といったシーンばかりで、肉食動物の食事シーンはまったく登場しないのだ。

では、ズートピアに暮らす理性的でマジメな肉食動物たちは何を食べているのだろうか?よもや、隣人の草食動物を食べたりはしていないだろう。

 

動物を擬人化したCGアニメはたくさんあるが、その殆どが”食料”に関して深くは切り込んでいない。アンタッチャブルでデリケートな問題だ。そんな中、私が観た中では唯一「マダガスカル」が、食料問題を描いていた。

映画マダガスカルの主人公であるライオンのアレックスは、動物園の人気者であった。しかし安全な動物園から一転、野生動物の天国であるマダガスカルに放り込まれる。そこで生活しライオンの野生を取り戻し始めると、だんだんと肉が食べたくなってくる…。あげく、仲間のシマウマが肉に見えて尻に噛みつく、といったシーンまであるのだ。結局最後には、肉を食べたいという欲望は魚を食べることで解決する。みんな仲良く生活できて、めでたしめでたし。(まあ、ファインディング・ドリー的視点から見たら、とんでもない話だろうが)

 

ズートピアではトガリネズミからアフリカ水牛まで、たくさんの動物が登場する。しかしその全てが哺乳類ばかりで、鳥類や両生類、魚類は1匹も登場していない。ただの1匹もだ。

オオワシのキャラクターやワニのキャラクターなんか登場してもおかしくないと思うのだけれど…。

この事から推察するに、ズートピアの世界で肉食動物は「鳥肉」「魚」「カエル」などをタンパク源としている可能性がある。

きっとどこかでニワトリを繁殖させて卵や鶏肉を食べたり、魚を養殖して刺身や焼き魚にして食べたりしているのだろう。だって、肉食動物は動物性たんぱく質がどうしたって必要なのだから。

ズートピアの感想を

まあ、食糧事情については置いておいて、最後にズートピアの感想を。

ズートピアは差別をテーマにした、奥深いストーリー…ではないと思う。そういった側面も確かにあるけれど、結局のところ、とっても面白いバディものの映画だ。(バディもの=対照的な2人のキャラクターがコンビを組んで事件を解決するドラマ・映画のこと)

基本的には事件が発生して、それを捜査する警察官がいるという主軸がある。さらに黒幕がいて、しかもその黒幕が実は○○という、なんともベタだけどおもしろい展開。

問題を乗り越えること、努力すること、夢と希望を持つこと、諦めないこと、そのすべてが詰まった映画。つまり、ディズニーらしい極上のエンターテインメントに仕上がっているわけだ。

 

「3つコブのあるラクダの話、知ってる?」

そうニックが交通局のナマケモノに話しかけるシーンは、爆笑ものであった。

堅苦しく考えずに楽しめる映画なので、ぜひとも観て欲しい。おもしろいよ!

 

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