今の日本では、2つの有料地震予測サービスがある。
ひとつは村井俊治東大名誉教授らのグループが提供する「MEGA地震予測」
もうひとつは、日本地震予知学会代表理事、電気通信大学の早川正士名誉教授のグループが提供する「予知するアンテナ」。
どちらも毎月数百円の利用料で、独自の理論をもとにした地震予測情報を提供してくれる。
今回は村井教授の「MEGA地震予測」の方を取り上げたい。
2018年9月6日に北海道で観測史上初の震度7を記録した「北海道胆振東部地震」が発生した。
北海道は大きな地震が少なく、誰もが予想しなかった大地震であった。
が、MEGA地震予測では2018年の7月下旬から、北海道の南部地域の地震リスクについてメルマガで注意喚起してきたという。
このMEGA地震予測が導き出す、次に地震が起きるかもしれない危険地域はどこなのだろうか??
MEGA地震予測マップを紹介!
女性セブン2018年9月27日号では、北海道胆振東部地震の発生を受けて、「MEGA地震予測が示す次の危険地域」いう特集記事が組まれた。
「胆振地方は今年6月頃から、地表の沈降が目立っていました。これまでの研究でわかってきたことは、沈降が長く続くのは危険のシグナルで、その後に大地震がくることが多い。なので、7月下旬からメルマガで注意を喚起していました」(村井氏)
そこで本誌・女性セブンはJESEA協力のもと、「MEGA地震予測MAP」を作成。今年2月下旬からの約半年間で、地表に5cm以上の高さ変動があった地域をもとに、村井氏が予測した警戒ゾーンを記した。
参照元:北海道地震を予測した東大教授が予測する「今、危険なエリア」(女性セブン)
女性セブン誌で紹介された「MEGA地震予測MAP」がこちら。
村井氏は全国に配置された電子基準点のGPSデータをもとにして、地表の隆起や移動を綿密に調査することで地震を予測している。
過去の地震を調べると、地震の前兆現象として地表が隆起したり沈んだりしているとのこと。
これまでの統計では、われわれが変異を察知した地域で地震が来なかったというケースは9%。
半年以内に90%以上の確率で震度5以上の地震が発生しています(村井氏)
MEGA地震予測で異常を察知した地域では、半年以内に90%の確率で地震が発生するという!!
だとしたら、今回作成されたMEGA地震予測マップで危険とされた地域は、半年後の2019年3月くらいまでに90%の確率で地震が起きることになる。
これは、なんとも恐ろしい話だ。
はたしてどの地域が危険と指摘されたのだろうか?
2019年3月までに首都圏に大地震が!?
MEGA地震予測によると、山梨県の小菅で1週間に7.1cmの地表の上下動が観測され、神奈川・山北では8.07cmの動きが観測された。
さらに静岡県の御前崎や伊豆諸島周辺でも、異常な地表変動が観測されたとのこと。
「静岡県東部から関東にかけてのエリアが最も警戒が必要です」
と村井氏は語る。
日本で一番危険なエリアは首都圏なのだ!!
7cm以上の変動があった地域
- 山梨・小菅
- 神奈川・北山
- 東京・三宅島
5cm以上7cm未満の変動があった地域
- 東京・町田
- 神奈川・小田原周辺
- 静岡・伊豆周辺
- 静岡・大無間山周辺
東海・南海の危険地域
MEGA地震予測によると、四国と紀伊半島全域にも強い変動が観測されている。
ここらへんで大きな地震が発生すれば、南海トラフ巨大地震の引き金になる可能性もゼロではないだろう。
7cm以上の変動があった地域
- なし
5cm以上7cm未満の変動があった地域
- 徳島・雲早山周辺
- 高知・安芸周辺
- 愛媛・四国中央
- 愛媛・久万高原
北陸・北信越の危険地域
長野県には糸魚川-静岡構造線断層が走っていて、この断層にはひずみが蓄積しているともいわれている。
その影響なのかはわからないけれど、長野県でも地表の変動が観測されているようだ。
7cm以上の変動があった地域
- なし
5cm以上7cm未満の変動があった地域
- 長野・栄
- 長野・白馬
- 福井・敦賀
九州エリア
2016年の熊本地震以降、九州エリアの地震活動も活性化している。
それを証明するかのように、九州全域で地表の変動が観測されている。
特に宮崎県では、県全体の約4分の3が沈降しているという。
7cm以上の変動があった地域
- 福岡・直方
5cm以上7cm未満の変動があった地域
- 長崎・国見
- 佐賀・鹿島
- 熊本・泉
- 鹿児島・垂水
- 鹿児島・大根占
- 宮崎・えびの
- 宮崎・油津
- 屋久島
奥羽山脈警戒ゾーン
東北地方では、特に秋田の鳥海で7センチ以上の変動が観測されている。
秋田でも時たま大きな地震が発生するので、特に注意が必要だろう。
7cm以上の変動があった地域
- 秋田・鳥海
5cm以上7cm未満の変動があった地域
- 岩手・雫石
- 宮城・大和
- 宮城・白石
- 福島・安達太良山周辺
MEGA地震予測マップを見た感想
というわけで、MEGA地震予測マップで変動が観測されている地域をひとつひとつピックアップしてみたのだけれど…
日本のほとんどが危険じゃあないか!!
というのが正直な感想。
これらの地域で半年以内に地震が起きるといわれても、警戒ゾーンが広すぎて、参考になるようでいて参考にならない。
日本に地震安全ゾーンなどない、そんな事実を突きつけられているようだ。
まあ、MEGA地震予測マップが予測しているのが「震度5以上の地震」であれば、年に何度か発生しているし、当たる確率は高くなる。
「半年以内」
「震度5以上」
「広範囲の予測地域」
この3つが揃えば、地震的中率90%を十分に可能と思われる。
そういえば、村井氏は2015年に関東南部の警戒レベルを最大限に引き上げている。
異例の出来事だ。震度5以上の地震を本誌で幾度も的中させてきた村井俊治・東大名誉教授の「MEGA地震予測」が創設以来初めて南関東の警戒レベルを最大に引き上げた。
「近いうちに大地震が起きる可能性が高いと考えられます」村井氏
参照元:週刊ポスト2015年8月21・28日号
しかし、未だに関東南部に大きな地震は発生していない。
地震予測はあくまでも予測。
あまり当てにせず、日本に住んでいる限り、どこの地域でも地震に備えた方がいいってことなのだろう。
追記:ホントに地震は起きた??
2019年3月が終わったので、予測が当たったのかを検証してみよう。
2018年9月以降で、大きめの地震、具体的には震度5以上の地震が発生した地域をピックアップしてみよう。
- 2018年9月6日:胆振地方中東部 最大震度7
- 2018年10月5日:胆振地方中東部 最大震度5弱
- 2019年1月3日:熊本県熊本地方 最大震度6弱
- 2019年1月26日:熊本県熊本地方 最大震度5弱
- 2019年2月21日 胆振地方中東部 最大震度6弱
というわけで、大きな地震が発生したのは胆振地方と熊本の2か所。
「東京・神奈川・静岡東部が今最も危険!!」
という予測は、まったくハズレてしまった。
もちろん、東京・神奈川・静岡東部にこれから大きな地震が来る可能性はゼロではないけど…。
そもそも予測の範囲が広くて曖昧だったし、可もなく不可もない予測だった感じですね。