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お見合い結婚と恋愛結婚はどちらが幸せになれるのだろうか??

2019年10月12日

コロンビア大学の教授シーナ・アイエンガーの「選択の科学」を読んでみたのだけれど、これがとっても面白い!!

「今日のランチは焼肉定食にしようか、それとも焼き魚定食かな…?」

なんて。

人生は困難な選択の連続なわけだけど、そんな私たちが普段無意識に行っている”選択”について、この本は科学的なアプローチで掘り下げている。

 

さっそくだけど、選択肢があるのとないの、どっちがいいだろうか?

 

「そりゃ選択肢があった方が自由があるし、いいにきまってるでしょ!?」

そう思うかもしれない。

 

しかし、それがそうとも言えないという。

 

選択と幸福の関係は不思議なもので、選択肢が多いから幸せになれるというわけではないし、選択肢がないから絶対不幸というわけでもない。

自由恋愛で結婚した夫婦でも離婚したり不幸な結果になることもある。

逆に家族に結婚相手を”半強制的に”決められた夫婦でも、ずっと幸せに暮らすことができる。

 

選択肢と幸せの関係とは?

お見合い結婚と恋愛結婚はどちらが幸せになれるのだろうか??

選択肢と幸せの関係

自由の国アメリカでは、選択肢が多ければ多いほど幸せと考えられてきた。

考えるまでもない常識だ。

実際、多くの心理学的実験でも”選択肢”は人間にとってポジティブな影響を与えることがわかっている。

 

人間は本質的に選択権がないと、満足感がなくなり、不健康になったりストレスを感じるのを、数多くの実験が証明しているのだ。

 

しかし「選択肢がある=幸せ」という図式は、文化や個性によって変わってくることがわかった。

 

アングロサクソン系の文化圏では、自由こそが幸せであるという考え方が主流だ。

選択肢があることや、自分の裁量権が大きい方が、自分の能力を発揮する。

 

対してアジア系の文化圏では、個人よりも集団をより重要視する。

個人の選択肢よりも集団の利益を考えるわけだ。

そんなアジア系の人たちは「自由にやっていいよ」というよりも「○○をやってください」という指示を出した方が、より自分の能力を発揮できるという。

 

どちらも一長一短だが、選択というのは文化によって認識が変わってくる。

それが一番よくわかるのは、結婚という制度なのだとか。

お見合い結婚と恋愛結婚はどちらが幸せか?

インドのラージャスターン大学の心理学者ウシャ・グプタとプーシパ・シングが「取り決め婚と恋愛結婚はどちらが幸せか?」を調べる研究を行った。

取り決め婚は日本で言うところのお見合い結婚みたいなものだ。

取り決め婚は親同士がお似合いのカップルを決めて結婚させる制度。

夫婦は結婚式のときにはじめてお互いの顔を見ることになる。

いまでもインドではいまでも90%以上の夫婦が取り決め婚なのだとか。

対象はインドのジャイプールに住んでいる50組の夫婦。

25組が取り決め婚、25組が恋愛結婚で、結婚期間は1年から20年と大きな開きがあった。

これらの夫婦に「ルービンの恋愛尺度」というお互いの恋愛度を測るテストをやってもらった。

 

その結果は驚くべきものだった。

恋愛結婚をしたカップルの恋愛スコアは、結婚1年未満の場合、91点満点中平均で71点。

やっぱりお互いに情熱的な感情を持っている。

だけど結婚期間が長くなるにつれて、恋愛スコアは少しずつ低下していく。

結婚期間が10年以上のカップルともなると、平均で40点くらいになってしまった。

 

では、取り決め婚はどうか?

取り決め婚で結婚したばかりのころは、平均点数が58点くらい。

ほとんど初対面の夫婦だし、恋愛スコアはそれほど高くない。

しかし結婚期間が長くなるにつれてスコアは少しずつ上がっていき、結婚期間が10年目ともなると平均で68点になったのだ。

 

つまり恋愛結婚は最初に愛情が高く始まり、徐々に下がっていく。

取り決め婚は最初は愛情が低いものの、徐々に高まっていく。

 

じゃあ老後まで考えると取り決め婚の方が幸せなんじゃ?

と思うけど、結局のところ結婚という制度には文化が強く影響を及ぼしていてどちらの方が幸せになれるとは一概に言えない。

そんな風に「選択の科学」では結論付けている。

 

自分の選択で選んだこと、他人に決められたこと、その選択の価値や、結婚という制度の役割は、時代や文化で大きく変わっていくからだ。

 

日本でも昔は結婚と言えば取り決め婚だった。

武士と農民は結婚できなかったし、武将同士で娘を嫁に出したり受け入れたりという政略結婚が普通だった。

恋愛結婚なんてほどんどなかった。

それは結婚という制度が、生存率を高め、家を繁栄させるためのシステムだったからにほかならない。

結婚は血筋の違うふたつの家族間に絆を生み、強める。

夫婦とその子どもで労働を分担する経済的利益もあるし、なによりも血筋を絶やさないことが重要視された。

これらが大切な結婚の役割だった。

しかし現在は子どもを産み育てるのに親族の支援が必要なくなっているし、親族全体の期待に応える必要がなくなった。

だからこそ恋愛結婚は増え、核家族化が進んでいる。

 

結局のところ、取り決め婚だろうが、お見合い結婚だろうが、恋愛結婚だろうが、幸せになれるとは限らないし、不幸になるとも限らないわけだ。

結婚で末永く幸せになるための方法

激しく愛し合って結婚したとしても、将来的にその結婚が幸せな結末を迎えるとは限らない。

どれだけ情熱的な恋愛感情もいつかは冷めていくだろうし。

恋愛結婚での”幸せの尺度”は”お互いへの愛”になりがちだ。

 

相手を強く愛している→素晴らしい夫婦

相手を愛していない→ダメな夫婦

 

この価値観を持ったままだと、結婚という制度そのものがとっても軽率なものになってしまう。

「相手への愛情がなくなったから離婚するわ」

そんなことになっちゃう。

しかし結婚というものは、ふたりの恋愛感情だけでは決まらない、とても深く広い制度だ。

 

もちろん恋愛感情は薄れたとしても、それは家族への愛情へと変わっていくだろうし。

恋愛感情が少なくなったからといって、それが結婚の満足度を下げるわけではない。

 

「わたし、恋愛と結婚、ぜんぜん別だから」

なんてクールな考えも、幸せな結婚をするためには一理あるだろう。

ただし、結婚の”義務”を果たせれば。

究極の幸せは、選択を行うことではなく、義務を果たすことで得られるのだ。

という選択の科学の一行に感銘を受けた。

結婚で幸せになるには夫婦がお互いの義務を果たすことが愛情よりも大切なのかもしれない。

 

夫婦としての義務。

父親としての義務。

母親としての義務。

親族の中での義務。

社会の中での義務。

 

義務というと堅苦しく感じてしまうけど、要はみんなの幸せを考えるってことが大切。

それは恋愛結婚だとしても、お見合い結婚だったとしても、変わらない。

 

アメリカは離婚率がめちゃくちゃ高いけど、それは「選択肢があることが幸せだという文化」「集団よりも個人を優先する文化」だからなのかもしれない。

アジア圏にある日本は、個人の選択よりも集団(家族)を優先できる文化を持っている。

家族の幸せを自分の幸せと捉えることができる。

それを忘れないことが、結婚生活を末永く幸せに過ごすコツなんじゃないだろうか。

 

情熱的な恋愛の末に結婚すると、まず一番に「2人の愛情」がきちゃって「結婚に対する義務」(みんなの幸せ)がおろそかになりがちになっちゃうのかもしれないね。

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