いま、大人の発達障害が注目されている。
今回はその中でもADHDについて紹介しよう。
ADHDとは注意欠陥・多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)のことであり、小学校低学年の5%程度に見られ、そのほとんどが男児である。
- 多動(授業中に席に座ってじっとしていられない)
- 不注意(ひとつの事に集中することができない)
- 衝動性(我慢できず、順番を待つことが苦手)
この3つがADHDの主な症状。
こどもの頃にこような症状があらわれるけれども、成長に伴ってほとんどの場合はごく自然に改善される。社会経験や学習によってADHDの症状が軽くなることもあるし、まったくなくなることもある。
しかし、大人になってもADHDの症状が改善されないことだってある。
この場合、これを大人の発達障害のひとつと考える。
今回は、ADHDをたった6つの質問に答えるだけで、セルフチェックできるテストを紹介したい。
自分が大人の発達障害であるかをチェックする6つの質問
まずは、たったの6問でADHDを診断できるテストを紹介しよう。
- 直接話しかけられているにもかかわらず、その内容に集中することが困難だと感じることはあるか
- 会議といった着席すべき場面で離席してしまうことはあるか
- 余暇にくつろいだり、リラックスして過ごしたりすることが難しいと感じることはあるか
- 誰かと会話しているとき、相手の話がまだ終わっていないのに途中で割り込んで相手の話を終わらせてしまうことはあるか
- ぎりぎりまで物事を先延ばしにすることはあるか
- 日常生活を円滑に送るために誰かに依存することはあるか
スクリーニング対象者は、これら6項目について①全くない②ほとんどない③時々ある④頻繁にある⑤かなり頻繁にある―の5段階で回答。いずれの項目も「全くない」場合は0点とする一方、最高得点は項目ごとに2~5点の範囲で重み付けされ、合計点数0~24点で評価するツールとした。
参照元:わずか6問で、大人のADHDを発見(あなたの健康百科)
なんと、マサチューセッツ工科大学などの研究グループが開発した6つの質問に答えるだけで、簡易的に自分がADHDかどうかを判断できるという!!
ただし先ほどの記事では、どのように回答を点数化して、どのように自分がADHDなのかを判断すればいいのかにまったく触れていない。
そこで、この6つの質問から自分でADHDかどうかを判断する点数の計算方法を紹介したい。
質問ごとに配分されている点数が違っているので注意して欲しい
。過去6か月の自分の行動を思い浮かべて答えよう。
①直接話しかけられているにもかかわらず、その内容に集中することが困難だと感じることはあるか?
- 全くない…0点
- ほとんどない…1点
- 時々ある…2点
- 頻繁にある…4点
- かなり頻繁にある…5点
②会議といった着席すべき場面で離席してしまうことはあるか?
- 全くない…0点
- ほとんどない…1点
- 時々ある…2点
- 頻繁にある…4点
- かなり頻繁にある…5点
③余暇にくつろいだり、リラックスして過ごしたりすることが難しいと感じることはあるか?
- 全くない…0点
- ほとんどない…1点
- 時々ある…2点
- 頻繁にある…4点
- かなり頻繁にある…5点
④誰かと会話しているとき、相手の話がまだ終わっていないのに途中で割り込んで相手の話を終わらせてしまうことはあるか?
- 全くない…0点
- ほとんどない…1点
- 時々ある…1点
- 頻繁にある…2点
- かなり頻繁にある…2点
⑤ぎりぎりまで物事を先延ばしにすることはあるか?
- 全くない…0点
- ほとんどない…1点
- 時々ある…2点
- 頻繁にある…3点
- かなり頻繁にある…4点
⑥日常生活を円滑に送るために誰かに依存することはあるか?
- 全くない…0点
- ほとんどない…1点
- 時々ある…1点
- 頻繁にある…2点
- かなり頻繁にある…3点
これら6つの質問の合計点数で、ADHDかどうかをセルフ・チェックできる。
満点は24点だけれど、合計点数が14点以上だとADHDの疑いがある!!
参照元:6 Questions for Recognizing ADHD in Adults
ただし、この6つの質問は精神科医が怠けるため…
ではなく、ADHDの診断を迅速に行うために開発されたものであり、この質問で14点以上だからといってもADHDであると確定したわけではない。
14点以上であった場合は、より詳しく診察を行い、判断する必要があるだろう。
もし自分が大人の発達障害(ADHD)かもしれないと思ったのなら、近くのクリニックに相談に行ってみるといいかもしれない。
ADHDの原因は色々と考えられているけれども、脳内伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンなどの神経系に機能不全がある可能性がある。
投薬治療が有効な場合もあるので、生活や仕事に支障が出ているのなら、専門の医療機関に相談に行くといいだろう。
遅発型の大人のADHDもある!
こどもの頃にADHDの症状がなくても、大人になってからADHDの症状が現れるケースも存在する。
これを遅発型ADHDと呼ぶ。
英ロンドン大学キングスカレッジの研究の研究では、ADHDの成人を調べてみると、その68%で子どもの頃にADHDの症状がなかったという。
この研究の結果、こどもの頃から持続したADHDは全体の3割程度であり、大人のADHDの約7割は”大人になってから”発症している可能性があることがわかった。
子どもの頃に発症するADHDと成人期のADHDは、違う原因で発症すると考えられているが、まだまだ詳細はわかっていない。
しかし小児期のADHDよりも遺伝的要因の影響は低いことがわかっているので、その発症には成人に至るまでの環境やストレスがかかわっているのかもしれない。
多動、不注意、衝動性、これらのADHDの特徴は、子どもの頃なら笑い話でも、大人になるととっても困る。
仕事や人間関係が上手くいかないだけならいいけれど、犯罪や事故、依存症などのリスクを上昇させてしまう可能性もあるだろう。
とはいえ、「大人のADHD=ダメ人間」ということでは、けっしてない。
確かに苦手なことも多いけれど、興味のある事柄に対しては圧倒的な集中力を発揮することある。
レオナルド・ダ・ヴィンチや坂本龍馬、エジソンやアインシュタインといった世界を変えた天才たちもADHDだったといわれている。
ADHDはひとつの”個性”であり、良いところはたくさんあるのだ。
大人の発達障害とADHDについて
本稿では「大人の発達障害=ADHD」ということで話を進めてきたが、大人の発達障害はもっと大きな意味を持っている。
大人の発達障害には、ADHD以外にも、アスペルガー症候群を含む”自閉症スペクトラム”やその他の発達障害も含まれるのだ。
(遅発型ADHDは発達障害の区分に入らない可能性もある)
もし、学校や職場、家族や友人との人間関係で”生きづらさ”を感じているのなら、それは大人の発達障害かもしれない。
その場合は、専門の医療機関でカウンセリングを受けてみるのもいいのではないだろうか。
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