「若いうちの苦労は買ってでもしろ」という格言は間違っているかもしれない。
なんと、若いうちの苦労は老化を促進させる可能性があるとの研究論文が発表されたのだ!!
よくニートや引きこもりは見た目が幼いといわれるが、それも科学的正しかったという事なのかもしれない。
そんな苦労と老化についての研究論文を紹介しよう。
困難を乗り越える度に人は強くなり、そして老ける!!
年齢による見た目の変化ってのは、意外なほどに個人差がある。
しっかりした人間、精神的に成熟した人間、リーダーシップがあって頼れる人間ってのは、若くても見た目が大人っぽい。
それはどうやら見た目だけじゃなく、細胞的にも老化しているようなのだ。
逆にフワフワした人間、ナヨナヨした人間、ダラダラした人間ってのは、ルックス的にも幼く頼りない。
これは脳的にも身体的にも本当に幼いからかもしれない。
さっそく米国科学アカデミー8月13日号に掲載されたノースウェスタン大学からの論文を紹介しよう。
タイトルは「社会的貧困層の若者では、自己統制は心理的社会的状況の改善をもたらすがエピジェネティックな老化を早める」だ。
なんだか、タイトルがもう難しい。
自己統制は”努力や苦労”と置き換えてもいいだろう。
エピジェネティックってのは”後天的な細胞の変化”のようなニュアンス。まったく同じ遺伝子をもつ一卵性双生児も、環境の影響によるエビジェネティックな変化によってまったく同じ大人には育たない。
先ほどの小難しい論文タイトルを簡単に表現すると「めっちゃ貧乏で努力して成り上がった人間って老け顔が多いよね」ということになる。
では、その内容を紹介したい。
米国の最大の問題は社会格差と貧困で、成長に対する最も大きなリスクになっている。
この階層の若者が窮地から自力で離脱させるために自己統制を身につけさせる教育が進んでいるようだ。
ところがこの教育で自己統制を身につけ、社会的にも貧困から抜け出た若者に心臓病の確率が高いと分かってきた。
この研究では、ジョージア州の貧困家庭に属する17歳の若者292人を集めて、22歳まで追跡している。このとき、さまざまなテストで自己統制を確立できているかどうかを調べ、自己統制ができたグループとできなかったグループの社会的、心理的状態を調べるとともに、白血球の「メチル化DNA」をゲノムレベルで調べる
結果は心臓病についての研究を支持しており、確かに成人した後の心理的、社会的状態は自己統制を身につけたグループの方が良い。
しかし、血液細胞のDNAメチル化状態から計算される老化度は、社会経済的問題を自己統制で乗り越えたグループほど高いという結果だ。
特に、克服した困難が大きいほど老化度が高い。
参照元:セルフコントロールは老化を推し進める
この研究によると、若いうちの苦労は心臓病のリスクを高め、細胞の老化も早めるという事になる。
懸命に努力した人間、苦労した人間は、貧困を抜け出し社会的に成功するが、細胞の老化も早まるなんて切なすぎる事実と言っていいだろう。
しかも、乗り越える困難が大きければ大きいほど、その老化度が高いなんて…。
また、貧困家庭に育って努力で成功した人間は見た目が老けるばかりか、病気の発症リスクが上がったり、平均的な寿命が短くなってしまうという。
困難を乗り越えるには、すさまじい自制心が必要になる。
この”自己コントロール能力”を使うと身体がストレス反応を起こす。
体内のストレスホルモン”コルチゾール”が増加し、血圧などが上昇、こんな状態がながいこと続くと健康に悪影響を及ぼしてしまう。
つまりトマ・ピケティの「21世紀の資本」を読んでいる人より、週刊少年ジャンプを読んでいる人の方が若々しい。
ノンキャリアのたたき上げの刑事(デカ)よりも、限界集落の交番にいる笑顔のやさしいお巡りさんの方が若々しい。
政治家よりフリーターの方が若々しい。
努力家よりなまけものの方が若々しい。
血液型は几帳面なA型よりいいかげんなB型の方が若々しい。
多少強引だし、一概のそうとも言えないが、そんな”傾向”はあるのかもしれない。
いつまでも若々しさをキープする方法
この研究結果を踏まえて若々しさをキープする方法を考えてみよう。
それは「なまける」という事に他ならない。
ストレス・努力・我慢なんかは老化を早めるのだ。
さらに運動もダメ。
運動は肉体の酸化を早めてしまう。
マラソン選手をみてみるとわかるが、シワシワで老け顔の人が多い。
これは日光の紫外線とハードな運動の悪影響が考えられる。
もっとも若々しさをキープする方法は、太陽の光を浴びずに部屋に引きこもって、ずっとゲームとかネットをすることなのだ!!
ときたまテレビに登場する引きこもりたちの、あの青白く不健康な若々しさは、これらの考えの証明と言っていいだろう。
苦労人は老けるが科学的に証明されるまとめ
今までの人生を振り返り、鏡の中の自分を見つめる。
いつまでも若くいられることを嬉しく思うのか、それとも恥ずかしく思うのか。
老けていることを誇りに思うのか、それとも残念に思うのか。
人生に何を求めるのかは人それぞれだ。
ずっと若々しく健康に生きていたいと思う人もいれば、努力してでも金持ちになりたいと思う人もいるし、人の上に立って導きたいという人もいるだろう。
自己統制による老化促進は、こどもの頃もそうだけど、大人になっても変わらないだろう。
ずっと若々しく生きたい場合は、なるべくストレスを感じないように、楽にのんびりとに生きる。
社会的に成功したい場合は、厳しい自己統制を課して努力と根性で生きる。
どちらにしろ、得るもとの失うものをよく考えて、自分の大切なものを見極めるのが幸せな人生を歩むコツだろう。
ただ願わくば、金持ちの家に生まれて何の苦労もせずに若々しく生きたかった…。