なんと、まだ甲羅のない時期の亀の化石が見つかったという。なんて無防備なのだろうか。
この発見は亀の進化過程の解明に大きく貢献すると期待されている。
その記事を紹介しよう。
甲羅のない亀の化石発見!
ドイツ南部の約2億4000万年前の地層で、まだ甲羅のないカメの祖先の化石を見つけたと、独米の研究チームが発表した。
25日付の英科学誌ネイチャーに論文が掲載される。甲羅に進化しつつある肋骨(ろっこつ)はあるという。チームは「これまでに見つかっている最古のカメの仲間と、より原始的なカメの祖先の間をつなぐ化石だ」と指摘している。
チームによると、見つかったのは頭や肩、胸などの骨で、体長は推定約20センチ。ギリシャ語で「カメのおじいさん」を意味する「パッポケリス」と名づけられた。
カメの祖先をめぐっては、理化学研究所などのチームが2013年、カメのゲノム(全遺伝情報)を解読し、約2億5000万年前に他の爬虫(はちゅう)類から分かれ、独自の進化を始めたと発表している。
動物の進化に詳しい理研の平沢達矢研究員の話「カメの甲羅という奇妙な構造がいつ、どのように進化したのかを解明するのに役立つ発見だ」
参照元:6月25日 読売新聞
甲羅のない亀なんて、クリープを入れていないコーヒーのようなものだろう。
シワシワの身体、のんびりしてて覇気のない顔…甲羅を取っちゃった亀を想像してみても、貧弱そうでとても弱肉強食の世界で生きていけそうにない。
今でこそのんびりとした動きだけれど、ひょっとしたら当時は甲羅がない分以外とすばしっこいのかもしれない。現在のカメの口はくちばし的な形状だけど、パッポケリスには歯があったという。それですばしっこかったら、ただのトカゲじゃ…。
では甲羅のない亀のどの部分が、ゆくゆくは甲羅になっていくというのだろうか?
亀の甲羅は何から出来ているのか?
亀の甲羅は何から出来ているのだろうか?
今回の記事で発見された亀には「甲羅に進化しつつある肋骨」があったという。
亀の甲羅の起源については、いろいろとトラブルのあったあの理化学研究所が、2013年に研究結果を発表している。
亀の胚の発生プロセスの組織学的な解析と三畳紀の化石の調査による研究の結果、亀の甲羅は肋骨だけが拡張・変形して進化してきたという。
今回のパッポケリスの発見は、この研究結果を裏付けるものだろう。
亀の甲羅は、背骨や肩甲骨あたりではなく「肋骨」が進化したものなのだ。
確かに人間でも、肋骨って内臓を守るようなフォルムをしているよね。きっとそれが進化して、身体全体を守るようになったのだろう。
動物の進化とは神秘的なものだ。
進化の神秘「こたつ人間」
パッポケリスの気持ちがわかる…。
ある動物は進化の過程で、鋭い牙や爪を手に入れた。
ある動物は進化の過程で、素早い動きを手に入れた。
ある動物は進化の過程で翼を手に入れ、大空を舞った。
ある動物は進化の過程で、擬態能力を手に入れた。
ある動物は進化の過程で、海へと戻った。
ある動物は進化の過程で、首が伸びたり鼻が伸びたりした。
パッポケリスは進化の過程で甲羅を手に入れ、その中に隠れた。
まさにウェアラブルな引きこもり。
一見矛盾した概念だが、すばらしい。
自宅に引きこもりながらも外出しているのだ。
私も嫌なことがあったら首をすぼめて、何も見えない聞こえないでじっとしていたい…。
ちょっと顔を出しては、雑草をはみはみと食べて過ごしたい…。
うう…パッポケリスの気持ちがわかる。きっとのんびり屋さんで空想好きで、現実逃避癖があったのかもしれない。
いま社会問題になっている、引きこもり問題。
ひきこもりの人たちも何億年後には肋骨が、冬の暖房器具の最高傑作「こたつ」みたいに進化してたりして…。
こたつから顔や手足を出して、危険が迫ったらひょいっと隠れる。こたつ人間。
みかんを食べるこたつ人間。
お雑煮食べるこたつ人間。
家族に煙たがられるこたつ人間。
だけど平気な顔をしているこたつ人間。
そんな人に、私はなりたい…。