KYBという油圧機器メーカーが、建物に使われる免振・制振装置を15年以上にわたり改ざんしていたことが判明した。
不正改ざんされた免振・耐震装置が使われた建物は、想定よりも遥かに地震に弱い可能性がある!!
このKYBの制振装置は、なんとスカイツリーでも使われているとか…。
もし、免振構造や制振構造のマンションに住んでいるとしたら他人ごとではないだろう。
自分が住んでいるマンションにKYBの免振・制振装置が使われているのか調べる方法はあるのだろうか?
自分が住んでいるマンションは大丈夫??
まず最初に言っておくと、油圧機器メーカーのKYBは問題のある免振・制振装置が使われた建物を公表していない。
KYBの記者会見の様子がこちら。
記者「物件を公表しない理由を教えてください」
KYB「関係者の合意が得られれば順次…」
記者「いつ地震が来るかわからない状況で速やかに公表しないという判断は」
KYB「やはり所有者さまの許可が必要と考えていますので…」
記者「所有者の許可よりも安全性が重視されるという考えはないのでしょうか」
KYB「…」
なんとも歯切れの悪い回答だ。
データ改ざんがあったのは、オイルダンパーという地震の横揺れを抑える装置。
問題のオイルダンパーは全国の986件の建物に使われていて、その中でも住居用マンションでは265件で使われているという。
オイルダンパーは免震構造の建物や、制振構造の建物に使われている。
そこで、まずは耐震構造と免震構造と制振構造の違いを簡単に説明しよう。
耐震構造と免震構造と制振構造の違い
耐震構造
耐震基準を満たした地震に強い素材で作られている建物のこと。
築30年以上の木造住宅は耐震構造ではないことが多いが、近年建てられたマンションのほとんどは耐震構造になっている。
制振構造
制振構造は地震による揺れを制御する方法。
建物に揺れのエネルギーを吸収する構造を組み込み、建物自体のダメージを軽減することができる。
制振構造はオイルダンパーを使用する方法と間柱型鋼板ダンパーを使用する方法がある。
オイルダンパーはドロドロした油(オイル)の特徴を使って振動を軽減する。使われるオイルの定期的なメンテナンスが必要となるので、一般的なマンションでは間柱型鋼板ダンパーを使用することが多い。
耐震構造
免震の”免”とは”まぬがれる”(害を受けないで済む)という意味。
つまり免震構造は建物の揺れを免(まぬが)れる方法のこと。
耐震構造の建物よりも、免震構造の建物の方が地震に超強い!
マンションの下面と地面との間に稼動するゴムやオイルダンパーなどを設置し、振動を吸収。建物自体の揺れを軽減させることができる。
自分の住んでいるマンションが大丈夫か調べる方法
まず最初に、自分が住んでいるマンションの建築された時期を確認しよう。
KYBが問題のオイルダンパーを出荷していたのは、2005年1月~2018年9月の時期。
その間に建築されていない建物であれば、高い確率で問題のオイルダンパーは使用されていないはず。
次に住んでいるマンションの構造を調べる。
耐震構造だけであれば、免振・制振装置は使われていない。
しかし自分の住んでいるマンションが免震構造や制振構造であった場合は、KYBのオイルダンパーが使われている可能性はある。
KYBの発表では、問題のオイルダンパーは住居では265件で使われているが、その内訳は免振用オイルダンパーが253件、制振用オイルダンパーが12件となっている。
なので自分のマンションが制振構造であった場合は、全国でたったの12件なので使われている可能性が低いだろう。
免震構造の場合は全国で253件なので、使われている可能性が高まる。
とはいえ、自分で調べられるのはここまで。
最終的には施工会社に問い合わせるか、KYBの発表を待つということになる。
ちなみに私自身が住んでいるマンションも調べてみたのだけれど、耐震構造だけの物件であることがわかった。
KYBのオイルダンパーはデータ改ざんはあったものの、震度7程度の揺れには問題なく対応するという。
つまり、耐震構造の建物よりも、免震構造や制振構造の建物の方が遥かに地震に強いということ。
耐震構造だけのマンションは、それはそれでなんだか悲しい。
当社の基本方針としては、不適合品を早急に交換することはもちろんとして、現在、書き換えの有無が不明な製品についても交換を前提として、引き続き調査を進めてまいります。
KYBはこのように発表している。
もし自分が住んでいるマンションが免震構造で問題のオイルダンパーが使われている可能性があったとしても、慌てずにKYBの対応を待った方が良いだろう。