最近はめっきりCDを買わなくなってしまったが、そんな中でも気になる作品はちゃんと買っている。
とはいえ、ここ半年で買ったCDと言えばレッチリの「The Getaway」、Fall Out Boyの「American Beauty」、特撮の「ウィンカー」くらいのもの。
そんな中で久々に買ったCDがロバート秋山竜二のオモクリ名曲全集 [第二集] だ。(1年前に発売されているCDだし、今更感が凄いけど…)
これがもう名曲ぞろいで、あっという間に今年買ったCDのベスト1に輝いた。
その内容をレビューしたい!!
ロバート秋山竜二のオモクリ名曲全集 [第二集]全曲紹介!!
- TOKAKUKA
- マスター
- おいら土下座の半三郎 with 八代亜紀
- ワンスモア
- 愛のOCEAN
- 音尾さんとお父さんのタンゴ
- 能登の山
- うちのとなりのおにいちゃん
- 願い
TOKAKUKAが好きすぎてアルバムを買ってしまった…。
というわけで、収録曲全曲の感想をお伝えしたい。
1:TOKAKUKA
4つ打ちのバスドラ、シンセサイザーを多用した1990年代のポップ・ロックをオマージュした作品。
TMネットワークや初期のB'z、acsessのようなノリが良くてメロディアスな楽曲。
1曲目を飾るにふさわしい名曲だ。
「限界モードさ 都か区か?市か区か? 今夜も眠れない 都か区か?市か区か? せめて おれの そばにいてくれ」
曲調も歌詞もなんとなく懐かしい!!
2:マスター
The虎舞竜の「ロード」の完全なるオマージュ。
ライブハウスのマスターに「秋田は一度は行くべきところだ」と言われ、秋田に行くことを決意する男にさまざまな誘惑が襲いくる。その悲哀を歌った曲。
「2夜連続ドラマの1話目をみせられた」
「一昨日買った腰に優しいマットレスが届く日だった」
「近所に家が建ってモチを配る日だった」
果たして男は秋田に行けるのだろうか?
3:おいら土下座の半三郎 with 八代亜紀
唯一のデュエット曲。秋山の相手は大御所歌手の八代亜紀。
曲調はどこか懐かしい、軽快な歌謡曲。
天草に旅立つ男の最後のわがままが切々と歌われている。
「やらせて欲しい」と女に土下座する男。
その男の想いを秋山が、女の想いを八代が歌上げる。
秋山「やらせて欲しい♪」
八代「バカでしょ♪」
秋山「ちょっとだけ いや5分だけ♪」
八代「ごめん生理的に無理ぃ~♪」
大御所歌手に何を歌わせるのか!?
しかし秋山と八代の圧倒的な歌唱力と曲の良さが相まって、すごく聴かせる曲に仕上がっている。
4:ワンスモア
過去に二度ほど訪れた”奈良”について歌った曲。
「かぁ~こぉ~にぃぃ~ かこにかこにかこにいうぃいぃ~♪」
「にぃどぉほどぉ~ にどほどぉ~うぉぉ~にどほどぉ~ にどほどぉ~ にどほどぉ~ にどほどぉ~♪」
抑えたアレンジの中で、秋山が熱唱する。
そしてサビで一気に爆発!
「ならぁぁぁぁぁ~~~~~!!!」
ホイットニー・ヒューストンの「 I Will Always Love You」のオマージュであろう。
秋山の歌唱力が冴えている。
5:海のオーシャン
秋山のセリフが入るものの、ほとんどインストの異色作。
夏のビーチを想わせる軽快なビート。軽いスラップ・ベースとカッティング・ギターがあたかもT-SQUAREのようで、とっても聴きやすい。
曲が終わって数秒後に秋山のセリフが入る。
「アイラブユー、アンド、オーシャン…へっ」
6:音尾さんとお父さんのタンゴ
「赤鬼と青鬼のタンゴ」のオマージュ。
初夏の月夜に山奥で、故郷の旭川に思いを馳せながら酒を飲む音尾さん。
会社帰りにふらりと山奥に訪れた、娘が結婚して落ち込んでいるお父さん。
「音尾さんとお父さんが踊りだす♪」
2人のおっさんが出会って山奥でタンゴを踊りだす、意味不明な曲だ。
7:能登の山
あたかもデューク・エイセスの様な、昭和っぽいレトロ歌謡曲。
曲の合間に少女とおじいさんのセリフが入る。
「おじいちゃん、どこにいるの?」
「へへっ、おじいちゃんはね、能登の綺麗なお空のお月様なんだよ…はっはっは…難しいかぁ」
聴いているこっちも、難しすぎて理解できない。
8:うちのとなりのおにいちゃん
少女に扮した秋山が”となりのおにいちゃん”について延々と歌う。
前半は児童向け歌謡曲のような曲調だけれど、後半にはサンバのリズムに変化するというわけのわからない展開に。最後にはラップのように畳みかけるような歌になるというのだからスゴイ。
9:願い
秋川雅史が歌う「千の風になって」をオマージュした感動的な作品。
元ネタの「千の風になって」は「私のお墓の前で泣かないでください」という歌いだしで始まる。死者の視点で、生者に対する願いを語っているのだ。
「風となって自然に還り、あなたを見守っているよ」という想いを感動的に歌い上げている。
対して、秋山竜二が歌う「願い」は、生者の視点で鮮烈なまでに”生者”の願望を歌っている。
「私は体重4キロ落としたい 願いはそれくらい 今はそれくらい」
それくらいと言っているにもかかわらず、願いはさらに続く。
「あとはぁ~… 今週髪切り行っときたい」
「お盆に親と会っときたい」
「スタバのバナナの飲んどきたい」
「ハワイのエッグの食べときたい」
「大きな薬局寄っときたい」
「鎧塚さんの作ったお菓子を食べてみたい」
日常にあふれるささやかな”願い”をソリッドに切り取って見せつけることで、生きるということの本質をありありと浮かび上がらせている。
この秋山の「願い」を「千の風になって」のアンサーソングとしてとらえた場合、その凄まじさがわかるだろう。
秋山はただ単に面白いから、そんな理由で深く考えずに作詞したのかもしれない。
だけど、聴いているだけで涙が流れるのはなぜだろうか…。
死者は「死んじゃったけど、そんなに悲しまないでね」と願う。
生者は「このところ体が重い だから 無理せず4キロ落としたい」と願う。
生きるということは、そういうことなのだ。
秋山の圧倒的な才能が堪能できる!!
全曲作詞を秋山が担当している。作曲はプロが担当しているものの、一部のメロディは秋山が創作しているので、クレジットでは共作扱いになっている。
まさに、ロバート秋山の才能が爆発した一枚と言っていいだろう。
しかも秋山はただのコミックソングで終わらせない歌唱力をもっている。その”表現の幅”はプロの歌手をも凌駕しているといっていいだろう。
イチオシのCDなので是非とも聞いてみて欲しい!!