2016年2月8日のこと。
新潟県で幻の深海魚「リュウグウウノツカイ」が網に引っ掛かって捕獲された。
このリュウグウウノツカイは蛇のような、ウナギのような、細長いフォルムをした奇妙な深海魚だ。
普段は海の底にいて、浅瀬には近づいてこない。そんなリュウグウウノツカイが浅瀬で発見されると大地震の前兆になる、そんな言い伝えがある。
台湾、神奈川、茨城と、最近地震が頻発しているが、大地震の発生が近づいているのだろうか?
リュウグウウノツカイと地震発生の関係、その真相を探ってみよう。
怖い!リュウグウウノツカイと地震の不吉な噂
大地震発生の前には動物たちが異常行動を起こすと言われている。
有名なのが”ナマズ”だ。大地震の前になるとナマズが騒ぎ出す。関東大震災直前にも、ナマズが騒いだ例があるという。
他にはイルカやクジラが海岸に打ち上げられて、あたかも集団自殺をしたような異常行動を起こす場合もある。
ネズミなどの小動物が騒いだり、犬や猫なんかが異常に鳴き続ける、なんて噂もある。
人間だってそう。
大震災の前に頭痛がしたり身体が痛くなったり、そんな何らかの違和感を感じる人だっている。
そんな動物たちの異常行動の原因は、地震発生前に起きる電磁波だと言われている。
地震発生前には、地中深くでプレート同士が激しくぶつかりあい、すさまじい圧力が生まれる。
その圧力で地中の岩が粉々に粉砕されてしまうと、その割れるパワーによって電磁波が生まれる。
プレートの圧力が、地中深くから広範囲にわたり電磁波が発生させる原因になるのだ。
その電磁波の影響を受けた動物たちが、異常行動を起こすというわけ。
そしてそれは、深海魚であるリュウグウウノツカイも例外ではない。
電磁波の影響で方向感覚を失ったリュウグウウノツカイは、深海から浅瀬へと迷い出てしまう。
たとえ深海に戻そうとしても、方向感覚がなくなったようにまた浅瀬に舞い戻ってしまうという。
地震の前に発生する異常な電磁波。
その影響で深海から浜辺へと、まるで自殺するように打ち上げられるリュウグウノツカイ。
リュウグウノツカイがあらわれると地震が起きるという恐ろしい噂も、信ぴょう性があるのではないだろうか!?
リュウグウウノツカイと地震は関係ない?
では、リュウグウウノツカイが現れて、その後に地震が発生した事例を紹介しよう。
事例1
1995年1月13日、三重県度会郡でリュウグウウノツカイが網にかかる→4日後の17日、阪神淡路大震災発生!
事例2
2011年1月19日、小田原の定置網でリュウグウウノツカイが捕獲される→2か月後、東日本大震災発生!
事例3
2014年4月7日、メキシコでリュウグウウノツカイが撮影される→11日後の18日にメキシコ・ゲレロ州を震源とするM7.4の地震が発生!
なんだか、これだけみるとホントにリュウグウウノツカイが地震発生の前兆に見えなくもない。
リュウグウウノツカイと地震には、何か関係があるのだろうか?
リュウグウウノツカイが打ち上げられるのは珍しいことではない
さて、最初に紹介した通り、2016年2月8日新潟県にリュウグウウノツカイが現われたわけだけれど、本当に地震は発生するのだろうか?
…たぶん、発生しないだろう。
なぜなら、幻の深海魚といいつつも、リュウグウウノツカイはけっこうな頻度で我々の前に姿を現すからだ。
- 2015年12月石川県でリュウグウウノツカイ発見
- 2015年12月福井県でリュウグウウノツカイ発見
- 2015年11月富山県でリュウグウウノツカイ発見
- 2015年7月福井県でリュウグウウノツカイ発見
- 2015年3月長崎県でリュウグウウノツカイ発見
これだけリュウグウウノツカイが発見されているにもかかわらず、致命的な大地震は起きていない。
特に富山湾では冬になると、けっこうな確率でリュウグウウノツカイが網にかかるという。リュウグウウノツカイが現れた後に、たまたま地震が起きる場合もあるだろうが、リュウグウウノツカイと地震の間には何の関係もないだろう。
リュウグウウノツカイはルックスがヘンテコで不気味なので、見かけると記憶に残る。その後に地震が起きたりすると、記憶に残っている分、よけいに関連付けて考えてしまうのかもしれない。
リュウグウウノツカイが現れると地震が起きるなんて言い伝えは、あくまでも迷信なのだ。
しかしリュウグウウノツカイと地震には何の関係もないというだけで、南海トラフ地震や首都圏直下地震の危機が去ったわけではない事を、我々は忘れてはいけないだろう。
結局、2016年2月以降に新潟で地震が起きることはなかった。
やっぱりリュウグウノツカイがあらわれると地震が起きるってのは迷信みたいだ。
追記:深海魚が地震の前兆現象ではないという調査結果が発表される!!
深海魚が浜辺に打ち上げられるのは地震の前触れ。
そんな都市伝説をちゃんとした大学の研究者が調査し、その結果を発表した。
普段は姿を見せない深海魚が海岸に漂着したり、漁網にかかったりして出現すると大きな地震が起きるという言い伝えは、統計的にみて迷信だと断定する研究結果を東海大と静岡県立大の研究チームが論文にまとめ、26日発表した。
この言い伝えは、1743年に刊行された江戸時代の奇談集「諸国里人(りじん)談」にも記録されており、古くからよく知られている。科学的に事実なら、防災に役立つとみて検証した。
昭和3年から東日本大震災が起きた平成23年までの間に、地震の前兆といわれる「リュウグウノツカイ」など8種の深海魚が出現した事例を調査。学術文献や新聞に掲載された336件について、30日以内に半径100キロ以内でマグニチュード(M)6以上の地震が起きたかどうか調べた。
その結果、該当したのは新潟県の沖合で深海魚が漁網にかかってから約1カ月後に起きた19年の新潟県中越沖地震(M6・8)だけだった。このため深海魚の出現と地震の発生に統計的な関連はなく、伝承は迷信だと結論づけた。
参照元:「深海魚は地震の前兆」は迷信 東海大調査(産経新聞)
深海魚の出現と地震には統計学的な関連は見られない!!
当然といえば当然だけど、そんな常識的な結果が得られた。
やっぱり、深海魚と地震には何の関連性もないみたい。
深海魚が打ち上げられたというニュースをみても不安になる必要はまったくないようだ。