イギリスにあるカーディフ大学の研究者ネッタ・ウェインスタインの調査の結果、不満の多い生活を送っていると、繰り返し悪夢を見る可能性が高いという。
「なんだ、当たり前じゃあないか!」
と思うかもしれないが、ウェインスタイン博士の実験は、日々感じている不満や不安と夢との関連性を探る初の研究だという。
その研究内容と悪夢を見ない方法を紹介したい。
悪夢があなたのフラストレーションを反映する
カーディフ大学のウェインスタイン博士は、悪夢を調査するために2つの実験を行った。
まず200人の実験参加者を集め、自分が普段から繰り返し見る夢についてよ~く思い返してもらった。
次に、110人の実験参加者に、3日間”夢日記”をつけてもらった。
これは、日常の中の心理学的ニーズに関連した経験が、夢の内容と深いレベルで関連しているかどうかを探るために行われた。
2つの実験の結果、いわゆる”悪夢”というものは、私たちの日常の経験の不完全であったり、処理しきれない部分の”残骸”であるかもしれないことがわかった。
私たちは、起きている時間の生活に完璧に満足していたとしたら、悪夢を見ることはないだろう。
日常的に欲求不満であったり、ストレスを感じていたり、恐怖や不安を感じている場合、それが悪夢と関連していることがわかったのだ。
つまり悪夢の正体は、日常の中に潜むフラストレーション(欲求不満)が反映されたもの。
しかも悪夢をたくさん見る人は、自分が見た夢をネガティブに解釈する傾向も認められたという。
たとえ普通の夢だったとしても、それを怖い夢、嫌な夢と思いがちってこと。
毎日毎晩悪夢を見る人は、ふたつの特徴を持っていることになる。
①日常生活の中でネガティブな感情を持っている。
②夢そのものを悪いように感じがち。
そのため、悪夢ばっかり見てしまうようだ。
悪夢についての研究を行ったウェインスタイン博士はこう語っている。
“Negative dream emotions may directly result from distressing dream events, and might represent the psyche’s attempt to process and make sense of particularly psychologically challenging waking experiences,” explains Weinstein.
参照元:Recurring Nightmares Could Reflect Your Daily Frustrations(neurosciencenews)
「悪夢で感じる恐怖の感情は、その悪夢そのものによってもたらされているかもしれない。そしてそれは、感情を処理する試みのひとつであり、特に起きているときの心理的な挑戦を理解しようとする試みを意味しているのかもしれない」とウィンストン氏は説明している。
…と、意訳してみた。
なんかよくわからないけど、つまり日常の中のネガティブな経験や不安や恐怖などの気持ちを、自分自身の心が頑張って処理しようとしていて、その結果として悪夢を見るってことなんじゃないだろうか。
悪夢を見ないために
明日が楽しみな遠足だった場合、遠足に行く夢を見ることが多い。
明日が緊張する社長の前でのプレゼンだったとしたら、プレゼンで大失敗する夢を見ることが多い。
自分の心の状況が、見る夢に影響を及ぼしているのは自分自身の経験からも理解できるだろう。
悪夢を見る人や悪夢症の人たちは、日常生活のなかで強いフラストレーションを感じている。そのフラストレーションが悪夢となって表れているわけだ。
そしてもうひとつ、自分の見た夢をネガティブに解釈する傾向もある。
日常生活の欲求不満を解消するのが一番の解決策かもしれないが、もしそれが難しいのなら”悪夢の捉え方”を変えるのがいいかもしれない。
悪夢を見るってことは、自分の心が頑張ってフラストレーションを処理しようとしているってこと。
そんな自分の”心”を褒めてあげてみてはいかがだろうか?
「今日も悪夢をみせてくるなんて、心、頑張ってるなぁ~!毎日ゾンビに追いかけられて、もう怖くてしかないよ!えらいぞっ!!」
…なんて思えれば、悪夢の回数も減っていくかも!?