精神と心理

刹那的な快楽主義者と努力家はどちらが幸福を感じやすいのか?

将来の幸せために今を犠牲にし、しっかりと勉強する。

不確かな将来より、今を楽しむためにゲームしたり漫画やYoutubeを楽しむ。

 

どちらを重視した方が「最終的な人生の満足度」が高くなるのだろうか?

 

まあ、普通に考えて「努力したほうがいい!」ってことになる。

若いころの苦労は買ってでもしろ、なんて格言もあるし。

 

しかし結論から言うと、どちらも大切ということになるのだとか。

なんだか当たり前すぎて拍子抜けするが、そんな研究をチューリッヒ大学の研究者が発表した。

 

研究者が着目したのは「快楽を追求する能力と幸福との関係」だ。

(これはスイスの大学で発表された研究だけれど、とくに日本人は努力して目標達成することが美徳とされる民族なのでこの研究結果を理解するのは大切だと思う)

 

とにかく、わたしたちは子どものころから無条件に努力を強要される。

「今頑張って勉強すれば、いい大学に行けるし、将来の選択肢が増える。収入だってよくなるし、幸せになれるぞ!!」

なんて。

 

ここで必要となるのが、自制心、セルフコントロールの能力だ。

我慢して頑張り、目標を成し遂げる力。

あらゆる人生において、もっとも重要な能力のひとつといっていいだろう。

 

問題は、日本はもとより世界中で「自制心をもって頑張れば将来幸せになれますよ」という考えが盲目的に正しいとされているってところ。

 

チューリッヒ大学の研究者は集めた被験者にアンケートを行い、「快楽を追求する能力」、つまり「今この瞬間を楽しむ能力」について違いがあるかどうか、そしてそれが幸せとどう関連するかを調べた。

 

すると、結果は驚くべきものだった。

 

自制心のある努力家であったとしても、「快楽を追求する能力」が低いとリラックス状態で不安感やストレスを感じてしまうという。

 

誰だって思い当たるだろう。

漫画を読みながら(ホントは掃除しなきゃいけないんだよな~)と思っちゃう。

ソファーでゴロゴロしながら(ホントは勉強しなきゃならないんだよな~)と思っちゃう。

そう思い始めると、もう心の底から楽しめなくなって、むしろストレスを感じてしまう。

 

楽しいことをやっているのにストレスを感じてしまうなんて最悪だ。

勤勉な努力家は、その努力で目的を達成できるかもしれないけれど、ちょっとした趣味や楽しみで心からリラックスできない可能性があるってわけだ。

 

しかし「今を楽しむ能力が高い人」は、たとえやらなきゃいけないことを後回しにして遊んでいても、しっかりと楽しむことができる。

そんな芸当ができる人は、全体的に幸福度が高くなり、うつや不安に苦しむ可能性も低くなるという。

 

わたしたちが幸せな人生を送るには、自制心だけでなく、楽しむ能力もすごく大切。

 

これらふたつの能力は矛盾ぜず、どちらも幸福と健康のために必要不可欠。

どちらか一方だけに偏ると、トータルでの人生の満足感が減ってしまうという。

 

努力至上主義でもダメ。

快楽主義に偏ってもダメ。

 

今の世の中、頑張れ頑張れで、自制心だけがもてはやされる。

「楽しむ能力」って「そんなのあるの?」って感じだし、軽視されがち。

だけど世の中が混乱して将来が不確かになっている今だからこそ、快楽を追求する能力が大切になってくるのかもしれませんね。

 

ちなみにチューリッヒ大学の研究についてはこちらを参照しています→Hedonism Leads to Happiness(快楽主義は幸福につながる)

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