限界効用逓減(ていげん)の法則を知っているだろうか?
限界効用逓減の法則を知れば、自分が物事から得られる価値の心理的な効果がわかり、より人生を楽しめるヒントになるかもしれない。
食べ放題ランチを例に、限界効用逓減の法則を活用する方法を考えてみよう。
限界効用逓減の法則とは!?
限界効用逓減の法則とは「財の消費量が増えるにつれて、財の追加消費分から得られる効用は次第に小さくなる」という考え方の事。
ラーメンで例えると「財の消費量が増える」とは、おかわりして2杯目3杯目のラーメンを食べる事。「財の追加消費分から得られる効用は小さくなる」とは、1杯目のラーメンより2杯目、2杯目より3杯目の方が満足感(効用)は減り続けるという事を指している。
まあ、よく考えればわかるが、同じものを追加で頼めば頼むほど満足感は減り続ける。それは味に飽きてきたというのもあるだろうし、お腹がいっぱいになってきたという理由もあるだろう。
反復した消費によって、同じもので払うお金は一緒なのに得られる価値は下がるのだ!
その他にもたくさんの例がある。
- ひと口目のビールが一番うまい
- 一本目のタバコが一番うまい
- 最初に買った自動車が一番満足感が高い
- マッサージも最初の方が満足感が高い
- テーマパークも始めていった時が最も面白い
- ポッキーは一本目が一番うまい
支払う金額がいつも同様の価値をもたらしてくれるというわけではないと、この限界効用逓減の法則は教えてくれる。
食べ放題で元を取る最も有効な作戦とは!?
食べ放題で元を取る方法はあるのだろうか?
元を取っているかどうかはわからないが、大食漢でも小食でも食べ放題の満足感を最大化する作戦はある。
それには「元を取る」という価値観の変革が求められる。
食べ放題のコツでよく言われるのが「食べ物の原価」を考えること。原価の高い食べ物をたくさん食べるとか、炭水化物はお腹がいっぱいになるので最初に食べないとか、そういった考え方だ。しかしそういった食べ方では、本当の満足感を得ることが出来ない。
なぜなら最も大切なのは金銭的に元を取ることがではなく「どれだけ幸福感を得ることができるか」という事だからだ。
先ほど説明したように、限界効用逓減の法則は「最初のひと口が最も価値が高い」という事実を示している。それを食べ放題に活用してみると「並んでいるすべての食品を少しずつ食べる」というのが、もっとも食べ放題を満喫する食べ方となる。
食べ放題で効率的に満足感を得るには「どれだけの量を食べたのか?」という量の価値観から「どれだけの種類食べたのか?」という質の価値観へのパラダイムシフトが要求される。
量の価値観では大食漢のフードファイターが必ず最も高い満足感を得ることが出来る。しかし質の価値観で見れば、大食漢でも小食でも同じように食べ放題を楽しめるだろう。たくさん食べたからって、それがちょっとしか食べられない人と比べて幸せとは限らないのだ。
自分が食べれそうな量を考えて、たくさんの種類の食べ物をちょっとずつ楽しむ。デザートの種類も確認し、すべてを少しずつ食べられるように計算すれば、食べ放題をもっとも楽しむことが出来るだろう。
量から質への価値観の変更。これが食べ放題を、そして人生をもっとも楽しむことが出来るコツなのだ。
お金と得られる価値は常に同じではない
限界効用逓減の法則を理解すると、反復された消費行動は得られる満足感を下げて行く効果があるとわかる。
いわゆる大金持ちが「心が満たされない」とか「人生に満足できない」なんて戯言を吐いて怪しげな占い師にハマったりするのを、貧乏人である自分は冷ややかな目で見てこう思っていた。
「使い切れないほど金を持っていて満足できないなんてアホか!!」と。
しかし限界効用逓減の法則によると、同じ消費行動の満足感はだんだん減り続けるわけだ。高い服を買っても満足できない、高くて美味い料亭の飯も普通に感じる、高級車を買っても貧乏な頃かった中古車の方が嬉しかった、家を買っても嬉しくない…。そう考えると、心が満たされない金持ちの気持ちも少しは理解できる。まあ、金持ちのくせに不幸っていうのなら、それは人生の物差しが「カネ」しかないってことの現れなのかもしれないが。
自分にとってもっとも価値のある消費はなんなのだろうか?
限界効用逓減の法則は、支払うお金と得られる満足は常に一定ではないということを教えてくれる。
この事実を覚えておけば、今後の消費活動を本当の自分の幸せを基準に考え、判断できるようになるのではないだろうか。