宇宙の法則 精神と心理

ダニング・クルーガー効果とは?無能ほど自信満々になる心理バイアスのメリットとデメリット。

2017年4月11日

あなたの周りにもいないだろうか?

仕事ができないのに、なぜか口だけは達者なやつ。

勉強ができないのに、人に教えたがるやつ。

嫌われているのに、人気者だと思ってるやつ。

このように「能力が未熟なのにもかかわらず自分を過大評価しがちな人間の思考のクセ」のことをダニング・クルーガー効果と呼ぶ。

ダンニング・クルーガー効果の実験と、そのメリット・デメリットを紹介しよう。

ダンニング・クルーガー効果とは?

能力の低い人ほど自信満々な傾向がある

こんなヘンテコな事実を発見したのは、アメリカ・コーネル大学のデビット・ダニング教授とその弟子であるジャスティン・クルーガー教授。この奇妙な認知バイアスは、彼らの名前から「ダニング・クルーガー効果」と呼ばれている。

クルーガー教授たちは、学生を使って、自分の成績と自己評価についての実験を行った。

その実験は学生たちに文法やユーモアの理解度などのテストをやってもらい、テストの後に自分の予測点数を答えてもらうというもの。

実験の結果、テストの成績が悪い学生ほど、自分の得点を高く見積もっていたし、テストの成績が良いグループは自分の得点を正確に見積もるか、或いは若干低く見積もっていた。

 

ダンニング教授とクルーガー教授はその他にもいろんな実験を行ったけれども、その結果は同じ。

つまり大学生の成績と自己評価の関係を調べてみると、成績優秀な人は自分自身を実際より過小評価しているのに比べて、成績が悪い学生は自分自身を過大評価していることがわかったのだ。

 

「高い能力を持った人物の誤較正(実際の能力の過大または過小評価すること)は、他者に関して見誤ることに起因する。一方、無能な人物の誤較正は、自己に関して見誤ることに起因する」

と、ダンニング教授は結論付けた。

頭の良い人間は、他人の能力を正確に判断できずに、必要以上に自分を評価しない傾向がある。

対して頭の悪い人間は、他人の能力を正確に判断できないのはもちろん、自分の能力も正確に判断できないので、そのため不必要に自信満々になるってわけだ。

 

仕事ができない人間は、自分が会社にとって必要不可欠な人材であると思い込んでいる。

仕事ができる人間は、自分の代わりなんていくらでもいると思い込んでいる。

 

魅力的ではない人間は、人間関係のなかで自分が人気者だと勘違いしている。

本当に魅力的な人間は、自分自身の人気に気付いていない。

そんな傾向は確かにあるようだ。

 

自分自身がダニング・クルーガー効果の罠に陥らないためには、適切な自己評価をする必要がある。

そのためには、物事を客観的に判断する思考力や観察力を鍛える必要があるだろう。

ダンニング・クルーガー効果のメリット・デメリット

では、誰しもが持っている脳のクセである「ダンニング・クルーガー効果」のメリットとデメリットを考えてみよう。

ダンニング・クルーガー効果のメリット

一番大きなメリットは、やっぱり自己評価が上がるってことだろう。

極論を言ってしまえば、自分に自信を持つには、ある程度は”無知である必要がある”のではないだろうか?

  • 自分は性格が良いと思っている。
  • 自分は仕事ができると思っている。
  • 自分は運転が上手いと思っている。
  • 自分はなんだかんだで何とかなると思っている。

このような自己評価は、実際の技能がどれほどであっても、無知である証拠といえるだろう。知識を増やせば増やすほど、自分の未熟さを知り、自信にはつながらないからだ。

しかしそれはそれで、悪い事ではない。

自信があるからこそ、行動できる。行動できるからこそ、世界を変えられるし、より幸せになれる。

自分の部屋に閉じこもって本を読みながら、世界を怖がっていても、それは幸せとは言えないだろう。

ダンニング・クルーガー効果のデメリット

ダンニング・クルーガー効果の悪影響が最もわかりやすく表出しているのは、近年問題になっている高齢者の運転事故だ。

MS&AD基礎研究所は、日常的に自動車を運転している人を対象に、「自動車運転と事故」をテーマとするアンケート調査を実施。

(中略)

20代から60代前半にかけては徐々に「自信がある」割合は減少していくが、その後65歳から運転に自信を持つドライバーの割合は急カーブを描いて上昇し、80歳以上では何と72.0%が「運転に自信あり」と回答している。

参照元:意外と多い?80歳以上の高齢者の7割が「運転に自信あり」(エキサイトニュース)

驚くべきことに、高齢者ドライバーの7割以上が自分の運転に自信を持っているという。

きっと何十年も事故を起こしたことがないという経験による判断なんだろうけれども、明らかに自分の能力を正確に判断できないという脳の働きが影響している。

これを他人事と言って笑うことはできない。

 

「健康診断で数値が悪かったけど、まあ大丈夫でしょ」

「老後のために貯金してないけど、最悪、生活保護があるでしょ」

「南海トラフ地震が起きるかもしれないらしいけど、まだまだ来ないでしょ」

このような「自分だけは大丈夫」という思いは、多かれ少なかれ誰しもが持っている。

もちろん自信を持つことは大事だし、すべてのことにいちいち心配していたら心が持たない。しかしながら、そういった認識の錯誤が原因の誤った自信は、自分にも周りにも大きな不幸を呼び込む可能性があるのだ。

ダンニング・クルーガー効果を理解して人生を快適に

大切なのはダンニング・クルーガー効果をしっかりと理解して、自分の能力を客観的に、正確に把握するよう努めること。

正しい自己判断は、時に自分を傷つけるかもしれないけれども、その先には正しい成長が待っているはずだ。

もちろん、他人と比較して過度に自信を喪失するのもいけない。過度の自信喪失の原因も、他人の評価を適切に行っていないことが原因の場合が多いからだ。

 

しっかりと自分と他人の能力を評価することができれば、まわりに迷惑なほど自信過剰になることもないし、適度な自信喪失は成長への原動力になるのではないだろうか!?

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