インド、ヒマラヤ山脈の奥地にひっそりと存在するループクンド湖。
このループクンド湖の沿岸には、なぜか大量の人骨が転がっている。
見つかっただけでも、800人分以上の人骨があるのだとか。
そのため、ループクンド湖は「スケルトンレイク」や「ミステリーレイク」と言った名で呼ばれることもあるという。
現在は剥き出しの枯れた骨ばかり。
しかし1942年に最初に発見された時には、多くの人骨にまだ肉が付着している状態だったとか。
ループクンド湖がある場所は標高5000メートルを超えており、雪に囲まれた極寒の中にある。
とてもじゃないが、人が住める場所ではない。
そこに誰が、何のために訪れ、そしてなぜこんなにたくさんの人たちが死んでいったのか?
研究者は突然の暴風雨で亡くなったものだと結論付けたのだが、それだけじゃあ謎はすべて説明できない。
そこでインドやアメリカの研究者がループクンド湖に打ち捨てられた人骨から38体を持ち帰り、詳細に解析を行った。
すると、解析の結果は驚くべきものだった…!!
ループクンド湖と神の山ナンダ・デヴィ
人骨が発見された1942年当時は、第二次世界大戦の真っ最中。
イギリス当局はこの謎の人骨を、日本軍が秘密裏に侵入し、その途中で犠牲となったものではないかと予測した。
なぜ日本軍がインドの山奥に侵入しなければいけないのかよくわからんが…。
しかし発見された人骨があまりにも古いために、その説は否定された。
当時はそう考えてもおかしくないくらい、日本軍が脅威だったのだろう。
もっとも信ぴょう性の高いのは、ループクンド湖の近くにある”霊峰””が関係してくる説だ。
謎多きスケルトン・レイクであるループクンド湖の北東には、インド第二の高峰ナンダ・デヴィという山がある。
ナンダ・デヴィといのはサンスクリット語で「祝福された女神」という意味で、ナンダ・デヴィはインドの女神パールヴァティと同一人物なのだとか。
霊峰ナンダ・デヴィには女神を祭った神社があり、12年に1度、大規模な巡礼の祭りがあるという。
この巡礼の祭りは「ナンダ・デヴィ・ラージ・ジャート」と呼ばれ、何千人もの参加者が、21日もの時間をかけて、聖地を巡礼する。
実は、この巡礼の旅の途中にループクンド湖がある。
そのためループクンド湖にある大量の人骨は、ナンダ・デヴィへの巡礼者がループクンド湖にたどり着き、そこで何らかの事故にあったのではないかと思われていた。
しかし研究者が人骨を調べたところ、予想外の結果が!!
なんと、調べた人骨はルーツの違う3つのグループに分かれ、死亡した時期も1000年近く離れていたのだ。
現在のインド人の祖先であるグループ:23体
地中海にルーツを持つグループ:14体
東南アジア人の祖先であるグループ:1体
この中でインド人の祖先であるグループは、死亡したのがだいたい西暦800年頃であることがわかった。
だけど、それ以外のグループは西暦1800年くらいの人骨であることがわかったのだ。
また、個人個人の死んだ時期も異なっており、ただ一度の大規模な災害で全員が死んだわけではないことがわかっている。
なぜ、ループクンド湖に時代を超えて人々が集まり、どのように死んだのか?
研究者はこの結果に頭を抱えてしまったという。
ループクンド湖に眠る人骨の真相
常識的に考えれば、やはりこれらの人骨は「ナンダ・デヴィ・ラージ・ジャート」の巡礼者のものであると考えるのが妥当だ。
何千人もの人々が参加する巡礼の祭典。
過酷な巡礼の旅の途中、その巡礼者の一部がこの泉にたどり着き、吹雪か何かで亡くなった。
でも…
1800年頃に亡くなったとされる、地中海にルーツを持つ人たちや、同じ時期に亡くなった東南アジアにルーツを持つ人は、なぜループクンド湖に行ったのだろうか?
ループクンド湖はインドの北の北、中国との国境近くになる。
5,000メートル以上の標高で、暖かい気候の地中海の人たちが行くべきところじゃないし、何の用もないだろう。
それは東南アジアをルーツに持つ人骨にもいえる。
そもそも、地中海と東南アジアじゃあ、地理的に真逆。
同じグループで一緒に行動していたと考えるのも不自然だ。
考えられるのは…
たとえば戦争や強盗などで大量の人たちが虐殺された。
その死体を隠ぺいするために、山奥の泉に破棄した…とか。
あるいは地中海の仏教徒やヒンドゥー教徒の人たちが、聖地巡礼のために旅立ったけど、途中で大吹雪にあって全員死んでしまった…とか。
もしかしたら、インド軍の秘密部隊が違法な人体実験を繰り返し、その実験で死んでしまった被験者を不法に投棄したとか…。
「人体実験!?バカな…」
と思うかもしれないが、これは荒唐無稽な話ではない。
新宿で見つかった100体以上の人骨の謎
1989年7月22日、新宿区戸山の国立予防衛生研究所建設現場で100体以上の謎の人骨が発見された。
まさに新宿のど真ん中!!
新宿区は当時の厚生省に人骨の身元を特定するための鑑定を依頼したが、厚生省は調査を断固拒否!!人骨を鑑定せずに焼却して埋葬しようとした。
新宿区はその対応に反発し、独自に人骨の鑑定を依頼するが…。
なぜかどこの機関も、人骨の鑑定依頼を受け入れてはくれなかった。
そんな中で、唯一鑑定を引き受けてくれたのが、元国立科学博物館人類研究部長の佐倉朔教授。
佐倉教授の鑑定結果がこちら。
- 土に埋まっていた期間は数十年から100年以下
- 個体数は100体以上(前頭骨だけで62体)
- 性別は男性:女性=3:1、大部分が成人であるが、少なくとも一体の未成年者を含む
- モンゴロイド系の複数の人種が混在(一体だけモンゴロイドではないと思われるもの在り)
- 複数の頭骨にドリルによる穿孔、鋸断、破切などの人為的加工の痕跡(そのうちには脳外科手術の開頭術中耳炎の根治手術などに類似するものも)
- 切創、刺創、銃創の痕跡。また四肢骨の鋸断したものあり
- 一部にフォルマリン等で固定されたもの、晒し骨の乾燥標本と思われるものもあった
ドリルで穴を開けられた頭蓋骨。
切断された四肢の後。
佐倉鑑定では、これらの人骨が日本軍による人体実験の証拠であることが示唆された。
実はこの場所、戦時中には日本軍の秘密部隊である731部隊の研究施設があった場所だという。
731部隊は秘密裏に細菌兵器や化学兵器の開発を行っており、非人道的な人体実験が繰り返されていたとか…。
その残虐非道な実験によって得られたデータはトップシークレットとして、戦後処理の中、密かにアメリカ軍の手に渡ったという。
ループクンド湖の謎まとめ
ひょっとしたら、ループクンド湖で発見された800人もの謎の人骨も、731部隊のような秘密の組織が人体実験を行った結果なのかもしれない。
或いは狂信的な宗教の生贄や呪術、何らかの儀式、そんな可能性もあるだろう。
最後に、ループクンド湖の人骨を調べてわかった事実をまとめてみよう。
- 人骨の死亡時期にはばらつきがあり、すべての人骨が1回の災害で発生したわけではない。
- 人骨の死亡時期は、最大で1000年もかけ離れていた
- 人骨には人種的に最低でも3つのグループに分かれていた
なぜたくさんの人たちが山奥の小さな湖でしかないループクンド湖にやってきたのか?
なぜこんなにも大量に死んでしまったのか?
この謎を解くには、これからさらに研究を進める必要があるみたいだ。