”オルトレキシア”とは、行き過ぎた健康志向のおかげで身体に良いとされる食物しか食べなくなり、栄養不足となってしまう摂食障害のひとつだ。
オルトレキシアの人はスーパーで食品を買い物をするとき、必ずラベルをチェックする。
合成着色料が入ってたらダメ!保存料もダメ!トランス脂肪酸ダメ!遺伝子組み換え食品なんて絶対ダメ!果糖ぶどう糖液糖もダメ!動物性脂肪だってダメ!
…結局何も買うことができず、野菜や果物などを食べるしかない。
筋肉を鍛えまくるボディビルダーが、鍛えすぎるせいで抵抗力が低下して風邪をひきやすくなる現象と似ていなくもない。
このオルトレキシアの症状と自己診断チェック表、そして改善する方法を紹介しよう。
恐怖のオルトレキシアとは!!
オルトレキシアの正式名称は「オルトレキシア・ネルボーザ」(Orthorexia Nervosa)であり、1997年にスティーブン・ブラットマン博士が摂食障害のひとつとして提唱し始めた。
つまり、オルトレキシアは拒食症や過食症などの摂食障害の仲間ってことになる。
過食症や拒食症を英語で表記するとわかりやすい。拒食症は”Anorexia nervosa”(神経症的食欲不振)であり、過食症は”bulimia nervosa”(神経症的過食)となる。
オルトレキシア・ネルボーザのOrthorexiaは「正しい食欲」という意味でNervosaは「神経症的」という意味を持っている。
つまりオルトレキシアは「神経症的な健康志向の食生活」ってことになるだろう。
過食症は自分の意志で食べる量をコントロールできず、過剰に食べ過ぎてしまう精神疾患。拒食症は食べると太るという恐怖などから、食べることに罪悪感を感じてしまう精神疾患。
そしてオルトレキシアは、少しでも健康に害のある食品を食べることに、過剰な罪悪感や嫌悪感を感じる精神疾患ということになる。
「行き過ぎとはいえ、健康的な食生活してるなら、そんなに不健康にならないでしょ?」
そう思うかもしれない。だけど、オルトレキシアは実はけっこう危険だ。
その理由は2つある。
ひとつは、そもそも健康や食べ物に関する情報は間違いが多いし、個人差も激しい。「健康に良い食品」とか「健康に悪い食品」とか、テレビやネットの情報は間違っていることもすっごく多い。それに、アレルギーや体質や好き嫌いなどの好みの個人差も激しいので、ある人にとっては健康的な食生活も、そのまま自分に当てはめることはできない。
もうひとつは、当然のことながら摂取する栄養素が偏ってしまうこと。
特に、糖質・脂質・たんぱく質の3大栄養素が不足してしまうのは危険。3大栄養素をたくさん食べないとカロリー不足で痩せてしまうし、病気になりやすくなったり、脳の機能が低下したり、ハゲたり、シミやシワが増えて老け込んでしまうだろう。
健康に気を使っているというだけならそれは良いことだけど、過剰になりすぎると不健康なのだ。
では、自分がオルトレキシアかどうかをセルフチェックしてみよう。
オルトレキシアかどうか自己診断してみよう!
海外サイトで紹介された、オルトレキシアかどうか自己診断できる10の質問を紹介したい。
- 一日3時間以上健康的な食品について考えている?
- 明日の献立を考えている?
- 食事の質が向上する度に生活の質が低下していない?
- 自分自身に厳しくなっていない?
- 自尊心は健康的な食事をしたらアップする?
- 健康的な食事をしていない他人を見下してない?
- ”正しい”食品を食べるがために、大好きな食べ物を我慢する?
- その食生活のせいで家庭での食事が難しかったり、家族や友達を距離が開いてたりしない?
- 普通の食事をした時に罪悪感や自己嫌悪感を感じる?
- 食べる状態の時に完全に自分をコントロールできてる?
これらの質問で2~3個当てはまるとオルトレキシアの疑いあり。
多ければ多いほどオルトレキシアの傾向があり、全部当てはまったらパーフェクト・オルトレキシアだ。
参照元:Orthorexia: Good Diets Gone Bad(WebMD)
範馬勇次郎に正しい”食”を学ぶ
では、オルトレキシアだった場合、どうすればいいのか?
そのヒントが漫画「範馬刃牙」に登場する範馬勇次郎のセリフにあるので紹介したい。
主人公の範馬刃牙は、父親であり史上最強の男でもある範馬勇次郎を倒すために厳しい戦いを繰り返していた。ある日刃牙は、父親でありながら最大の敵であり目標でもある範馬勇次郎と食卓を囲むことになる。
…異常事態!!
その凄まじい迫力と存在感に圧倒される刃牙。
緊張の中、刃牙は食卓に上がったパックのメカブを範馬勇次郎に説明する。
「そのメカブ…最近よく食べてるんだ。カラダにいいからね。パックだから…色々入ってんだろうけど…」
化学調味料や保存料などが入ったメカブ、だけど健康のために食べるんだと語る刃牙。その言葉に勇次郎は圧倒的な迫力で答える。
防腐剤…着色料…保存料… 様々な化学物質 身体によかろうハズもない
しかし、だからとて健康にいいものだけを採る。これも健全とは言い難い。毒も喰らう 栄養も喰らう
両方を共に美味いと感じ-
血肉に変える度量こそが食には肝要だ
防腐剤や着色料、保存料、トランス脂肪に人工甘味料、それは確かに身体に悪いけど、それすらも美味しく食べることが大事。良いもの、悪いもの、そんなことを気にせずにすべてを受け入れる器の大きさを持て!!と。
範馬勇次郎のこの言葉を前にすると、「これは発がん性があるから食べられない」とか「こっちは体脂肪が増えるからダメ」とか言っているのがなんとも小さく感じてしまう。
ヤバい…泣きそうだよ
この言葉を受けて、さすがの刃牙も感動で泣きそうに…
この名シーンはコミックス「範馬刃牙」の30巻に収録されている。
もしオルトレキシアに悩んでいるのなら、是非とも範馬刃牙をなんども熟読して生きること、そして食べることを学んでほしい!!
そしてもし!!範馬刃牙を呼んでもオルトレキシアが良くならなかったとしたら…
オルトレキシアはれっきとした摂食障害のひとつなので、普通にメンタルクリニックや心療内科で専門の医師に相談してみましょう。