社会 雑学

貧乏と金持ちの生活習慣の違いを調べた厚生労働省の調査が面白い!!その内容を紹介。

2015年12月15日

厚生労働省が行った、貧乏と金持ちの生活習慣の違いを調べた調査が面白い。

収入の差で肥満の割合に違いはあるのか?

飲酒や喫煙に差はあるのか?

食生活は?

 

その内容を紹介しよう。

収入と生活習慣の関係

厚生労働省が行った「平成26年国民健康・栄養調査」は、世帯所得を3つに区分して調査された。

「200万円未満」

「200万以上~600万円未満」

「600万円以上」

この3区分だ。これらの収入の差によって、生活習慣はどの様に変化するのだろうか?

収入による食習慣の差

穀物、つまりごはんやパンや麺類は、男性では「200万円未満」「200万円以上~600万円未満」で多く摂取していた。

つまり、収入600万円以上の金持ち男性は、穀物をあんまり食べないってこと。

女性の場合は「200万円未満」だけで穀物の摂取量が多いという結果だった。

 

対して野菜の摂取量は、男女ともに「600万円以上」がとっても多いという結果。

収入が低いと、安くてお腹がいっぱいになるご飯や菓子パンなんかをたくさん食べるって事なのだろうか。

 

また食品を選ぶ際の判断基準も調査を行っている。

「美味しさ」「栄養価」「大きさ」「季節感」「安全性」「簡便性」等の基準があったが、世帯収入が高ければ高いほど、それらの要素を重視する比率も上昇した。つまり、収入が低い世帯は「食べ物にこだわりを持っていない」といえるだろう。

面白いのは「価格」という要素。

一番価格を重視する割合が高かったのは「200万円以上~600万円未満」で、その次は「600万円以上」、最後が「200万円未満」という結果になったのだ。

本来ならば、金持ちこそが金に糸目をつけず食べ物を買うはず。だけど実際は、200万円未満の世帯が一番お金を気にしていないという意外な結果に。

 

収入が低いのに、食べ物には気にせずにお金を使う…。そのくせ、食べ物にこだわりがない。

 

周りに思い当たる人はいないだろうか?

これは経済感覚が欠如しているというか、ファイナンシャルリテラシーが低いというか…だからこそ世帯収入が低いのかもしれない。

喫煙の割合

男性の喫煙率女性の喫煙率
世帯所得200万以下35.4%15.3%
世帯所得200~600万33.4%9.2%
世帯所得600万以上29.2%5.6%

喫煙は男女ともに「600万円以上」の世帯は低いという結果が現れた。

やはり「喫煙=低所得」という事なのだろう。

社会全体が禁煙一色になっている中で、それでも喫煙しているという事は「禁煙できない=意志が弱い=努力できない=金持ちになれない」なんて図式が成り立つのかもしれない。

飲酒の習慣

男性の過剰飲酒率女性の過剰飲酒率
世帯所得200万以下11.5%9.7%
世帯所得200~600万17.0%8.8%
世帯所得600万以上15.0%9.2%

これは「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合」を調べたわけだが、これは予想を裏切る結果だった。

女性では収入による差はそれほど見られなかったが、男性は「200万円未満」が飲酒している割合が低かった。

「低所得者は酒浸り」そんなイメージは、実際のところ間違っているようだ。

「仕事をクビになる→貧乏→ヤケ酒→アル中→生活が荒れる→嫁とこどもが出ていく」といった固定観念があったが、寧ろ収入200万円未満の方が飲酒していない。アルコールって意外と高いし、ガンガンに飲めるほどの収入がないというのが理由なのかもしれない。

逆に高所得者は、ビジネスなどで人とかかわる機会が多く、食事会での飲酒も増えるのだろう。

貧乏なほど太るのはなぜ?肥満の割合

男性の肥満率女性の肥満率
世帯所得200万以下38.8%26.9%
世帯所得200~600万27.7%20.4%
世帯所得600万以上25.6%22.3%

肥満の割合は男女ともに、200万円未満の割合が最も多かった。

つまり貧乏なほどデブになるということ。

 

一昔前のドラマや映画では、成金の金持ちはみんな太っていたし、貧乏人はみんな痩せていた。

しかし現代では、そのイメージは逆転している。

「太っていると貧乏に見える」

そんな時代なわけだ。

 

では、なぜ貧困層のほうが太りやすいのか??

同調査では、200万円未満は穀物、つまり炭水化物を摂取する量が多く、その分野菜や肉を食べていないということがわかっている。

このような炭水化物過剰の食生活が、肥満に繋がっているのだろう。

さらに問題なのは食べる炭水化物の内容だ。

貧困層の多くが、価格が安くて量が多い高カロリーなスナック、ジャンクフードを食べて腹を膨らましている。

これらの炭水化物はビタミンやミネラルがあまり含まれておらず、カロリーだけはいっぱい。

大切な栄養素が不足しているのにカロリーだけは十分に摂取している状態を「新型栄養失調」なんて呼ぶこともあるくらいだ。

 

この低所得者が肥満になる傾向は、アメリカでも社会問題となっている。

アメリカといえばピザ、ピザといえばデブ。

安くて高カロリーなファストフードばかりを食べていると、栄養価が低いのに太ってしまい、健康を害してしまう。それが結果的に莫大な医療費に繋がり、財政を圧迫する。

 

肥満→食べるのを我慢できない→自制心がない→仕事で成功しない→貧乏

また、太っている人は意志が弱くわがまま、だから金持ちになる確率が低い。

金持ちになれないからデブは貧乏が多い。

…ホントかウソか、そんな説もある。

個人的にはこの考えは正しくなく、やはり安くて量の多い食生活に問題があると考える。

 

もっとも質の良いダイエットの方法は、食事を制限するのではなく、逆に食事にお金を掛けてしっかりとバランスのとれた食事をするってことなのかもしれない。

きちんと食べ物にお金をかければ、健康で肥満にもならないのだ。

所得別、歯の本数

男性で歯が20本以下の割合女性歯が20本以下の割合
世帯所得200万以下33.9%31.2%
世帯所得200~600万27.5%26.5%
世帯所得600万以上20.3%25.8%

歯の本数が 20 歯未満の者の割合は、男女ともに「600万円以上」が最も低かった。

逆に考えれば、所得が低ければ低いほど、歯の本数も少ないということになる。

 

低所得ともなると、歯の治療にお金をかけられないかもしれない。

「こども時代の家庭環境が荒んでいると虫歯が多くなる」という事実があることから、「世帯収入が少ない=家庭が荒む=虫歯が増える=歯が少なくなる」という図式が成り立つ可能性もある。

貧乏な家の親は教育熱心ではなく、子供時代に歯磨きをしっかり躾けていないため、大人になっても虫歯が多くて、歯が残らないわけだ。

収入と生活習慣の関係まとめ

では、金持ちと貧乏の生活習慣の違いをグラフでまとめてみよう。

金持ち貧乏
穀物が少なく野菜が多い食生活穀物が多くて野菜が少ない
栄養価や季節感、安全性にこだわる食へのこだわり食へのこだわりはなく、値段も気にしない。
低い喫煙率高い
適度に飲酒する飲酒習慣飲酒する割合は低い
肥満になりにくい肥満率肥満になりやすい
歯の本数が維持できている歯の本数少なくなりがち

これらの結果をまとめると、世帯収入が低い人物のキャラクターが見えてくる。

食にこだわりがなく、値段も気にしない。煙草は吸うけれど、酒は飲まない。歯は20本以下で、ちょっと太っている。

逆に高収入の人物はこうだ。

食にこだわりがあり、食べ物の値段も気にする。煙草は吸わないが、酒は適度に飲む。歯はきれいで、標準体重。

なんとなく、わかるような、わからないような…。

 

しかし、この厚生労働省の世帯所得と生活習慣についての調査で、もっとも驚くべきことはこれらの調査結果ではないだろう。

それは3つの区分の定義。

世帯所得の区分が200万円未満・200万以上~600万円未満・600万円以上と分けられている事の方が驚きではないだろうか?

200万円未満が低所得、200万以上~600万円未満が普通、600万円以上が裕福、ってこと。

 

なんとな~くではあるが、低所得の境目が300万円未満であるような気がしていた。世帯所得だから、家族全員の収入の合計の事だろうに200万とは…。これも時代の流れなのだろうか。

「年収は最低でも600万円以上が希望です!!」なんて、軽々しく口に出来ない時代なのかもしれないね。

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