危機対策

北海道東方沖に超巨大地震が迫っている!?その発生確率と気をつけるべきこと。

2017年12月19日

政府機関である地震調査研究推進本部が、北海道東方沖の千島海溝沿いで、近い将来にマグニチュード9クラスの超巨大地震が発生する可能性が高いと発表した。

どれくらいの確率で巨大地震が起きるのか!?

そしてそれはいつ頃に起きると考えられているのだろうか!?

十勝沖では超巨大地震が繰り返し発生している!?

北海道東部の地質を調査すると、17世紀ごろに沿岸から4キロも内陸まで津波の痕跡が確認された。その地震はマグニチュード8.8以上であったとされる。

地震調査研究推進本部の発表によると、それと同じ規模の巨大な地震が発生する確率は、今後30年以内に40%にもなるという!!

…とまあ、そんな衝撃的な報道がされているわけだけれど、実際のところはどうなんだろうか?

 

今回問題となっているのが、十勝沖から択捉島沖までを含む千島海溝沿いの地域だ。

千島海溝はプレートとプレートがぶつかり合う地域であり、その境界線には相当の”ひずみ”が蓄積されているという。

この地域で過去に発生したプレートが連動する巨大地震の歴史を見てみよう。

  • 1843年:マグニチュード8.0
  • 1952年:マグニチュード8.2
  • 2003年:マグニチュード8.0

このように、千島海溝周辺では時たま大規模な地震が発生する。

…が、地質を詳しく調査すると、さらに驚くべき事実が判明した。

 

さらに遡って17世紀(1600年代)には、先ほど紹介した3つの巨大地震を遥かに超えるレベルの超巨大地震が発生していたという。

1611年~1637年の間に発生したと予測されるが、くわしくはまだわかっていない。

このときに発生した地震は東日本大震災のときの地震とよく似ていて、マグニチュード8.8に相当する規模であったという。

地質をさらに深く調査した結果、このような超巨大地震は(17世紀の地震も含めて)過去6,500年の間に最多で18回も発生したと推定されている。

6,500年÷18=約361年

もし十勝沖の地域が「プレートにひずみが溜まる→解放と共に大地震が発生する」というサイクルを繰り返していると仮定するのなら、北海道東方沖の超巨大地震は単純計算で約360年に1度発生している計算になる。

実際のところ、地震の発生間隔は100年~800年とばらつきがあるようだが、平均するとやはり340年~380年に1度は発生しているようだ。

 

…しかし、この地域の巨大地震は17世紀の初めごろに発生して以来、約400年もの間発生していないことになる。

 

では、簡単にまとめてみよう。

①十勝沖を含めた千島海溝沿いでは、東日本大震災レベルの巨大な地震が、過去何度も発生していた。

②その超巨大地震が発生する感覚は、平均すると約340年~380年である。

③しかしながら、この地域では1600年代初頭に超巨大地震が発生して以来、400年間も同じレベルの地震は発生していない。

以上の事実から、地震調査研究推進本部は千島海溝沿いの地域でいつ超巨大地震が発生してもおかしくないと発表したわけだ。

北海道東部の津波堆積物調査の結果から、今後 30 年以内の地震発生確率は 7~40%、規模は M8.8 程度以上と評価した。

参照元:千島海溝沿いの地震活動の長期評価

その発生確率は、今後30年以内に7~40%とされている。

7%~40%って…なんだか随分と曖昧な感じがするけど、ホントにそんな巨大地震の危機が差し迫っているのだろうか?

北海道東方沖で超巨大地震はいつ起こるのか??

今、日本で最も危惧されている地震のひとつに「南海トラフ巨大地震」がある。東南海地方の沖で100~150年周期で発生するといわれているマグニチュード9.0レベルの大地震だ。

今後30年の発生確率は、なんと60~70%といわれている。

この地震予測を最初に発表したのは、地震調査研究推進本部の前身である「地震予知計画」という政府組織。

1978年頃にはすでに「東海地方で地震が起きるから気をつけろ!!」と警告されてきたのだが…それから40年近くたってもまったく巨大地震は発生していない。

この南海トラフ巨大地震の根拠となっているのが、プレートテクトニクス理論だ。

地面の下には巨大なプレートがあり、マントルの流動と共に少しづつ動いている。その結果、プレートとプレートの境目には、少しずつ”ひずみ”が溜まっていく。限界まで溜まったひずみに力が解放されるとき、巨大な地震が発生する。

これがプレート境界地震発生の仕組み。

「プレートに力が溜まる→解放される」の繰り返しで地震が発生するため、ある程度のサイクルがあると考えられている。

 

はたしてこの考え方は正しいのだろうか?

今回発表された北海道沖の超巨大地震については、その根拠がプレートテクトニクス理論をもとに行われていて、南海トラフ巨大地震の予測根拠とまったく一緒ということがわかる。

 

よ~く考えてみると、いや、よく考えなくても、30年以内に7~40%という数字にはまったく意味がないと言わざるを得ない。

 

過去の調査結果からは、北海道東方沖の超巨大地震の発生間隔は約 100~800 年とかなりのばらつきがあることがわかっている。

ということは、最大で800年も間隔が空く可能性もある。その場合は、2,400年くらいまで超巨大地震は発生しないことになるだろう。

プレートテクトニクス理論が正しいのか間違っているのかはわからないが、北海道東部の地震は明日起きるかもしれないし、100年以上発生しないかもしれない。

地震の発生確率と気をつけるべきこと

過去の地震調査委員会の発表を見てわかる通り、地震の発生確率なんかにはまったく意味はない。

「地震はいつ起こるかわからないから、常に備えをしておこうね!!」

と、結論はこうなるし、地震調査委員会が言いたいことも同じだろう。

 

日本に住んでいれば地震への備えは十分にしておくべき。

だけど特に北海道東部に住んでいる方々は、地震対策はもとより、しっかり津波対策も行う必要がある

たしかに地震予測は当てにならない。だけどこれがわかっただけでも素晴らしい研究結果なのではないだろうか。

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