2011年の東日本大震災以降、日本人の地震への認識が一変した。
それに呼応するように、TwitterやFacebookで”地震の体感”というものを公表する人も増えてきた。
地震体感とは、地震が発生する前に頭痛、耳鳴り、身体が揺れる感じ、吐き気、めまいなど、さまざまな身体的不調が現れる現象のこと。
地震の体感を感じる人たちはSNSで「今強い体感を感じているので、数日は大きい地震に注意してください!」といった発言をしている。
そしてこれが実によく当たるらしい。
では”体感”は本当にあるのだろうか?
例えば大震災が発生する直前にネズミが全部逃げたとか、カラスが異状に騒いだとか、なまずが暴れたとか…そういった前兆現象が報告されることがある。
なまずなどの一部の魚類には「ロレンチーニ器官」という微弱な電流を感知する器官があるし、渡り鳥は地球の磁場を感知することができるといわれている。
地震発生前の地盤の圧力で発生した電磁波を動物たちが何らかの形で感知していたとしたら…地震の前に異常行動を起こすのもわかる気がする。(科学的根拠はないけど)
そしてもし、動物にそういった地震前の異常を感知できる能力があるのだとしたら、一部の感覚の研ぎ澄まされた人間でも前兆を感知できるのかもしれない。
それこそが”地震体感”の正体なのだろうか?
今回は地震体感の正体を考えてみたい。
地震体感の正体とは?
まず最初に、”地震体感能力者”が地震の前に感じる症状を確認してみよう。
- 頭痛
- 耳鳴り
- めまい
- 心臓がドキドキする
- 倦怠感
- 喉や胃の違和感
- 身体がユラユラ揺れる感覚
こういった奇妙な感覚のあとに、きまって日本のどこかで地震が発生する。
これらの感覚が”地震体感者”に発生する原因はなんなのだろうか?
地震体感の原因は電磁波過敏症かも!?
「ここ…WIFI飛んでるなぁ!!」
これはメイプル超合金のネタだけど、ホントにWIFIを感じてしまい体調不良になってしまうことがあるという。
それが「電磁波過敏症」だ。
電磁波過敏症は、携帯電話や基地局、家電製品や送電線などから発生する電磁波に晒されることで身体に様々な悪影響が発生する疾患のこと。
- 皮膚がチクチクとする
- 頭痛
- 疲労
- 精神的ストレス
- 睡眠障害
- 筋肉痛
- 集中力の低下
- めまい
- 吐き気
- 動悸
- 消化器の障害
このような症状が発生する。
これを見る限り、なんとなく地震の体感と酷似している。
とはいえ「電磁波過敏症」は医学的にその存在が認められたわけではなく、いま研究が勧められているところだ。
電磁波過敏症そのものも、医学的でありながら、オカルト的な要素が含まれているってわけ。
もし地震発生前に地盤への圧力によって空気中に多量の電磁波が放出されるとしたら…その強力な電磁波を人体が感知してしまい、いろんな体調不良が発生する可能性もあるだろう。
症状も似ているし、地震体感の正体とは電磁波過敏症なのではないだろうか!!?
地震体感に対する常識的な回答
…とはいえ、もっと常識的に考えるのなら、地震の体感は気象病の一部なのかもしれない。
気象病は気圧や温度、湿度などの変化によって発生する体調不良の総称。
雨が降る前の湿度や気圧の変化を敏感に感じる人はいるし、高気圧と低気圧で体調が変化する人もいる。
気象状態の変化は、誰しもが無意識に感じているところだろう。
最近では気象病の原因として”微気圧変動”が注目されている。
微気圧変動は大きな気圧の変動を伴わない微小な気圧変動のことで、その変化は1hPa以下。
その微小な気圧変動が1日を通して繰り返し晒されると、体調不良を引き起こす。
高気圧だろうが低気圧だろうか、大きな気圧の変化がなかろうが、微気圧変動が発生すると気象病が発現してしまうだろう。
そんな気象病の具体的な症状は、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、関節痛、肩こり、ぜんそく、古傷がうずく、うつ症状など。
これまた、地震の体感と酷似している。
特に気圧の急激な変化は耳の奥にある”内耳”に負担をかける。
それによって平衡感覚がおかしくなり、乗り物酔いにも似た”グラグラ揺れる感覚”を感じる可能性もあるだろう。
気象病が原因の身体的不調の後に、偶然にも地震が発生する。この偶然が例えば3回連続で発生したとしたら…?
おそらく普通の気象病を「この耳鳴りは地震の前兆なんだ!」なんて勘違いしてしまう人もいるだろう。
特に東日本大震災以降には日本列島全体の地震頻度が跳ね上がっているので、そんな勘違いもしやすいはずだ。
追記:人間にも磁場を感じる器官が存在した!
動物は地球の磁場を感じることができるといわれている。
大地震の前にネズミが逃げ出したとか、カラスが異常に騒いだとか、浜辺に深海魚が打ち上げられたとか…そんな動物の異常行動も地震発生前の磁場の異常を敏感に感じ取っているからだとか。
そんな磁場を感じる感覚「磁覚」を、じつは人間も持っていることが最新の研究で判明した。
東京大学とアメリカのカリフォルニア工科大学の研究チームが、人間は地球の時期を感じ取る能力を秘めていることを明らかにした。
人間の感覚は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つと思われてきた。
しかし次の感覚、つまり第六感があることがわかったわけだ。
ひょっとしたら地震体感者は、生まれつき磁覚が発達している人で、地震前の磁場の乱れを敏感に感じ取っているのかもしれない!!
…まあ、その場合予知できるのは自分が住んでいる地域限定だろうけど。
地震体感を勘違いしやすい人の3つの特徴
でも、普通であれば、ちょっと頭痛がしたとか耳鳴りがしたとかを地震発生と結びつけないもの。
そこで「自分の体感が地震発生の前兆現象だと勘違いしやすい人」の特徴を心理学的に考えてみたい。
特徴1:心の発達が未熟
こういった地震体感も含めた心霊的、超能力的な勘違いは10代~20代の若い世代に多く、30代以上は激減する。
35歳以上となれば、全体の数%ほどとなるだろう。
地震体感者が10代や20代であればただの勘違いである可能性が高く、30代以降であれば精神的な成熟が進んでいない可能性が高い。
特徴2:女性である
女性は感受性が強く、些細な変化に敏感に反応する。
対して男性は鈍感で、些細な変化に気づかない。
この女性の特徴はメリットが多い反面、オカルト的な勘違いを引き起こしやすくもある。
些細な体調の変化に敏感に反応するし、その都度偶然どこかで地震が起きていたら「地震と体調不良が連動している!??」と勘違いしちゃうのもしょうがない。
普通の人間であれば、3~4回程度体調不良と地震が同じタイミングで発生したら、その2つの関連性があると思っちゃう。
あるAという事象が起きたとき、その直後にBという現象が発生した。
じゃあAとBの間には関連があるんだな。
そう思うのは人間にとってごく自然なこと。
こういった優れた予測と想像が、人間がここまで繁栄してきた理由でもある。
ただし必ずAとBに関連があるというわけではなく、このような勘違いは歴史上何度も繰り返されてきた。
特徴3:劣等感が強い
「地震体感を感じる自分は特別な人間である」という勘違い、その裏には強い劣等感と、自分を特別視して欲しいという自己顕示欲、自分は特別な人間である(ありたい)という願望がある。
強い劣等感は、他者への強い攻撃性としてあらわれる。
また、劣等感を消し去るために、「他人を助けたい」という強い思いに転じることもある。(介護や福祉関係、ボランティア活動に熱心な人は強い劣等感を持っている可能性が高い)
強い自己顕示欲は、尊大な態度や上から目線の言動にあらわれる。
地震体感を発信している人がいるとしたら、その人の言動にも注意して見てみよう。
そうすればその人がホンモノかどうか、しっかりと判断がつくだろう。
もし地震体感者がこのような特徴を兼ね備えている場合、その体感は勘違いである可能性が非常に高い。
もちろん、ホントに地震の前兆を感覚としてとらえることができる人もいるかもしれないが…。
適当に地震を予知しても、だいたい当たる
ちなみにこの記事を書いている2017年11月13日現在で、直近数日間に発生した大きめの地震を挙げると…
- 2017年11月13日三陸沖マグニチュード5.7 最大震度2
- 2017年11月11日宮城県沖マグニチュード4.9 最大震度4
- 2017年11月9日八丈島東方沖マグニチュード6.1 最大震度1
などがある。
おそらく「今強い体感を感じています。ここ1週間はマグニチュード5~6くらいの地震に注意してください」と発言したとしても、50%くらいの確率で当たるだろう。
これを踏まえたうえで、地震体感を発信している人の内容を冷静に判断しよう。
ちなみに直近で大きめの地震が発生したとしたら、その地域を指定して地震予知しておけばだいたい当たる。
たとえば○○という地域でマグニチュード6の地震が発生したとしたら、「同じ地域で1週間以内にマグニチュード4以上の地震が発生する」という地震予知が当たる確率は6割を超えるだろう。
もちろん、中には”ホンモノ”もいるかもしれない。
電磁波過敏症なんて病気があるかもしれないんだし。しかしその殆どは”自分自身が本当に地震の体感を感じれていると思い込んでいる普通の人”のはずだ。
それこそ、信じるか信じないかはあなた次第!!ってわけだ。
追記:予測通り3日後の2017年11月16日18時43分頃、八丈島東方沖でM6.2の大地震発生!!おれは地震体感者なのかっ…!?
地震体感予知がホンモノかニセモノかを判断する方法
世の中にはたくさんの自称地震体感者が存在する。
その中からホンモノを見極めるにはどうしたらいいか??
まず、もっともシンプルで確実な方法は「過去の地震予知の実績」を調べること。
先ほど示した通り、地震予知というの当てずっぽうでいったとしてもだいたい当たってしまう。
日本は地震が多いから。
つまり、マグニチュード5.0以下の地震を範囲を絞らずに地震予知していたとしたら、それは本物の、実用性のある地震予知とは言えない。
例えばマグニチュード3くらいの地震であれば、「3日内に三陸沖で発生する」なんて適当に予測しても、かなりの確率で当たる。
だけど地震規模が大きくなればなるほど、発生の確率は下がっていく。
つまりマグニチュード6以上の地震を、発生する期間や地域を限定して予知し、それが本当に発生していたとしたら本物である可能性が高い。
「マグニチュード6.5以上の地震が、5~8日の間に、○○県の沖合で発生します」
ぐらいの限定された予知を当てていたとしたら、その地震体感者はホンモノである可能性が高い。
また、地震体感者の発言にも注目したい。
ニセモノの地震体感者は精神的に未熟で、発言が幼い傾向にあり、自分の思い通りにならないとすぐに怒ったりへそを曲げたりする。
逆にホンモノの地震体感者であれば、精神的に成熟している可能性が高し、わりとちゃんとした受け答えが出来る。
その発言も筋が通っているし、他者への対応も冷静で合理的になるだろう。
①大きな地震を地域や期間を絞って当てている
②発言の内容が大人である
以上の2つが、ホンモノの地震体感者の特徴。
もちろん確実とはいえないけれど、ある程度は参考になるはず。
多くの地震体感者が、”過去に偶然当てた体感の経験”を引きずっており、そこから抜け出すことができていない。
「5回連続で地震当てたんだよ!ぜったい地震を感じ取れてるんだって!」
みたいな。
この勘違いはとても強烈で、なかなか捨て去ることはできない。
これは他人事ではなく、自分だってトンデモナイ勘違いをずっと持ち続けている可能性だってある。
”勘違い”は予測と想像力に優れたの脳の機能のひとつといっていいのだから。
というわけで、先ほどもいった通りほとんどの地震体感による地震予知はだたの勘違い。
だけど、中にはホンモノの地震体感者がいる可能性もゼロではない。
地震体感者がホンモノであるかどうか見極め、その人の予知を生かすことができれば…
いつか必ず発生するであろう南海トラフ巨大地震も、事前に対策が打てるかもしれない!