「A型の人は気配り上手で真面目だけど、B型の人はマイペースで自己中心的な性格をしているんだよね~」
…といったふうに、血液型で性格を判別する「血液型性格診断」が日本人は大好き!!
科学的な根拠はまったくないものの、大真面目に「なんといわれようが血液型によって性格には明らかな”傾向”がある!これは事実だ!」と信じている人はいる。
まあ、血液型性格診断を信じていようが、信じていまいが、自分の血液型がどんな性格なのかを知るのは面白いもの。
実際に血液型に関する本がベストセラーになったり、血液型を題材にしたテレビ番組も高視聴率になる。
だけど、昔に比べて血液型をとりあげるテレビ番組が圧倒的に少なくなっていると感じないだろうか?
その原因を探っていくと、2004年に起きた”ある事件”が関係していそうだ…。
血液型を取り上げるテレビ番組が少なくなっている理由
ちょっと前のバラエティ番組では、血液型による性格の違いについて、いろいろと面白おかしく紹介していた。
けれど最近ではそんな番組はまったく見かけなくなってしまった。
たまに血液型についての番組が放送されるときも、「血液型性格診断は科学的根拠がない」という話ばかり。
何故なのか?
この原因の元をたどると、どうやら2004年のある事件が発端のようだ。
2004年に「発掘! あるある大事典2~春の芸能人血液型スペシャル~」というバラエティ番組が放送された。
この番組では「血液型による性格分類は正しいのか?」を検証するために、さまざまな実験を行った。
その中のひとつに「幼稚園児を使った行動観察実験」があった。
運動場に枠線をひき、「この中で鬼ごっこをしてね」というルールを決めて遊んでもらう。
すると、A型の子どもたちはちゃんとルールを守って枠内で逃げ回るのだけれど、他の血液型の子どもは枠の外まではみ出してしまう。
その他にも「箱を開けちゃだめだよ」といって大人が席を外し、子どもが言いつけを守るか見守る実験や、違う血液型同士で迷路を脱出する実験など、いろんな実験が行われたわけだけど…
結局のところ、B型は自己中心的で自分勝手で最悪な性格だ!!というイメージを視聴者に印象付ける内容になっていた。
B型に酷い目にあったA型の意見を面白おかしく紹介したりもしていたし。
この番組が血液型による差別を助長すると問題になり、BPOの審議対象となったのだ。
*2004年当時は「発掘!あるある大事典」以外にも「脳力探検! ホムクル!! ABOAB血液型性格診断のウソ・ホント!」TBSや「決定! これが日本のベスト100」テレビ朝日で放送された血液型別データも問題になっている。
BPOは度重なる真偽の結果、「血液型で人を分類するのは差別につながる」と結論付け、テレビ番組の制作者側に配慮を求めた。
放送局が血液型をテーマとした番組を作る背景には、血液型に対する一種の固定観念とでもいうべき考え方や見方が広く流布していることがあげられる。
しかし、血液型をめぐるこれらの「考え方や見方」を支える根拠は証明されておらず、本人の意思ではどうしようもない血液型で人を分類、価値づけするような考え方は社会的差別に通じる危険がある。血液型判断に対し、大人は“遊び”と一笑に付すこともできるが、判断能力に長けていない子どもたちの間では必ずしもそういうわけにはいかない。こうした番組に接した子どもたちが、血液型は性格を規定するという固定観念を持ってしまうおそれがある。
また、番組内で血液型実験と称して、児童が被験者として駆り出されるケースが多く、この種の“実験”には人道的に問題があると考えざるを得ない。
参照元:「血液型を扱う番組」に対する要望(BPO)
2004年のこの事件以降、テレビ番組では血液型性格診断を扱うのが難しくなってしまう。
面白おかしくやればやるほど、それは差別につながってしまうからだ。
確かに園児たちを実験に使う姿勢には疑問を持つし、その結果だって製作者側の意図に沿うように都合よく編集されたものに違いないだろう。
ちなみに「発掘!あるある大事典」は2007年に「納豆でダイエットできる」という番組でデータをねつ造して問題になり、打ち切りになっている。
心霊・オカルト番組が消えてしまった理由
昔はたくさんの心霊番組が放送されていて、稲川淳二、池田貴族、大槻ケンヂなどのオカルトに詳しい有名人が活躍していたし、冝保愛子や小田無道、カゼッタ岡などの怪しげな霊能者やUFOコンタクティも大いに活躍していた。
だけど最近では、そういった心霊・オカルトに関する番組が凄く少なくなってきている。
その理由のひとつに、この2004年の血液型性格に関する事件があるかもしれない。
先ほど紹介した血液型性格診断に関するBPOの見解は、このような文章で終わっている。
青少年委員会は、放送各局に対し、自局の番組基準を遵守し、血液型によって人間の性格が規定されるという見方を助長することのないよう要望する。
同時に、放送各局は、視聴者から寄せられた意見に真摯に対応し、占い番組や霊感・霊能番組などの非科学的内容の取り扱いについて、青少年への配慮を一段と強められるよう要請したい。
参照元:「血液型を扱う番組」に対する要望(BPO)
血液型診断には問題があるってことなんだけど、同時に非科学的な内容の番組全体についても配慮を求めている。
「心霊・霊能などの非科学的な番組を制作するときも注意してくださいね!!」
…と、天下のBPOはそう申しているわけだ。
つまりこの事件以降、血液型と同時に心霊・霊能に関する内容も、過剰に面白おかしく放送することが困難になっている可能性がある。
だとしたら、寂しい限りだ。
少なくとも、心霊やオカルトは差別を助長しないと思うのだけど。
とにかく今の世の中は、カゼッタ岡のような奇妙キテレツなUFOコンタクティの居場所はないみたいだ。
これは”誰もが平等で平和な世界”かもしれないけど、”多様性を失ったつまらない世界”になってしまったともいえるのかもしれない。
オカルト系の番組が少なくなっていった歴史的背景
ちなみにこの事件の前からオカルト番組は少しずつ少なくなってきていた。
その決定的な理由は1995年にオウム真理教の起こした地下鉄サリン事件や、その他の一連の事件だといわれている。
オウム真理教や麻原彰晃を、当時のメディアは面白おかしく取り上げていて、ビートたけしと対談なんかもさせていた。
それがオウム真理教の信者獲得に一役買っていたのは紛れもない事実。
地下鉄サリン事件などの真相が暴かれると、オウム真理教をネタにしていたテレビ局が非難の的となった。
オウム真理教は超常現象やオカルトを信者獲得のためにうまく利用していた。
そのためオウム事件の後、テレビ局は超常現象やオカルトを扱う番組に二の足を踏むようになっていったのだとか。
さらに時は過ぎ、20015年ごろ。
世の中は再びスピリチュアルブームが巻き起こった。
江原啓之や細木数子がゴールデンタイムで番組を持つくらい大人気に。
それと同時に、悪質な霊感商法詐欺も急増!!
霊感商法の被害対策弁護団は、この背景にはテレビ局が面白おかしく取り上げたスピリチュアル・ブームがあると指摘。
そのため「霊界と交信できる」「守護霊が見える」といった自称霊能者をテレビ番組に取り上げることが少なくなったという。
血液型で性格が決まるわけがない!
血液型診断に書いてある性格なんて、誰にでも当てはまるような曖昧な事柄ばかり。
このような人間の持つ心理的なクセを”バーナム効果”と呼ぶ。
バーナム効果は、誰にでも当てはまるような事柄をわざと曖昧な表現で提示することで、「当たってる!」と思い込ませてしまう自己認知の歪みのこと。
(中略)
血液型性格診断は、わざと曖昧な表現を多用することで、あたかも自分に当てはまっているかのように錯覚させているにすぎないのだ。
血液型診断をもとにして相手の性格を決めつけたりするのは、まさに愚の骨頂!!
血液型で性格なんて決まるわけないのだ。
だから、B型が自己中心で自分勝手だという風潮も間違っている!!
ちなみにわたしは両親ともにB型の家庭に生まれた、生粋のB型人間だ。
血液型診断大国である日本に住んでいる限り、初対面の人や知り合ったばかりの人と血液型の話になるときはやっぱりある。
そんなときに「血液型ですか、B型ですよ」と答えると、ほとんどの場合「やっぱりね!!」といわれる。
つまり、わたしはいわゆるB型っぽい性格をしているわけだ。
だからといって差別されたりしたこともないし、B型であることで損をしたこともない。
マイペースで何を考えているかよくわからないといわれることはあっても、決して自分勝手で自己中心的ではないぞ!!(多分)
しかし個人的には血液型診断はなくなってもいいのだけれど、怪しげでいかがわしい心霊・霊能番組がなくなっちゃうのは困る。
どうみてもただの木の陰にしか見えない写真を見て、真剣な顔で「これはこの場所で亡くなった少女の地縛霊ですね…」なんていっちゃうアヤシイ霊能者がいないテレビなんて、わさびのない寿司や、クリープを入れないコーヒーみたいなものだと思いませんか!?