占い師は何故人の過去や未来を当てることが出来るのか?
そこには、心理学的に高度なテクニックが隠されているという。
「ホットリーディング」、そして「コールドリーディング」。
イカサマ占い師に騙されないためにも、このふたつのテクニックの概要を紹介しよう。
占い師の使うふたつの心理テクニック
占い師は人の過去、未来をビシバシと当てる事があるが、そこにはちょっとした心理テクニックが隠されている場合がある。(もちろんガチの占いで当てる場合も、透視能力で当てる場合もあるだろうが)
そのテクニックがホットリーディングとコールドリーディングだ。どういったテクニックなのだろうか?
ホットリーディングとは?
ホットリーディングとは事前の入念な下調べを行うことで、相手の過去や人となりを見破るというテクニック。
探偵を雇う事もあれば、第三者を装って家族に接触を図ったり、小学校の名簿から過去の記録を探ったり…とにかくなんでもやってその個人の情報を事前に入手しておく。
事前の下調べ以外にも、占いを見るまでの待合室みたいなところで、協力者が何気ない会話を装い情報を集めたりする場合もある。今の時代ならSNSを使った情報収集なども考えられるだろう。何年も前の日記の事なんで自分でも忘れているはずだ。
種明かしをしてしまえば、「なんだよ、ただのズルじゃん!」と思うかも知れないが、占い師の巧妙な話術でもってこのホットリーディングをやられると純粋な人ならば「すっげーー!」と信じ込んでしまうだろう。
コールドリーディングとは?
コールドリーディングとはホットリーディングと逆に、何の予備知識もないのにその場で相手の事をズバズバと言い当ててしまう技術の事だ。
これはこれで凄いんだけど。
コールドリーディングを行うには心理テクニックや深い洞察力、経験が必要になってくる。
そのテクニックの一例を紹介しよう。
立ち振る舞いで推測する
占い師は人を見抜く力を持っている。
例えば部屋に入って来て目の前の椅子に座るまでの動作、これだけで占い師は無意識にかなりの情報を得ている。
さらに占いを始める前に交わす会話、しゃべり方、声のトーン、使う言葉の種類、そんなものを複合的に解釈すれば、初対面の人でもある程度の人柄は見抜くことが出来るだろう。
例えば席に座るまでの歩く動作がゆっくりのんびりな人だったとする。そんな人は大体しゃべり方もゆっくり、性格もマイペース。「食事を食べるが遅いでしょう?」なんて聞いたらほとんど「イエス」と答えるだろう。人間の一部分の特徴は、その人全体を表すのだ。
立ち振る舞いで相手の人となりを推測するってことは、我々一般ピープルも無意識に行っているが、占い師のそれはレベルが違うのだ。
占いの結果を相手に解釈させる
占い師は占いを始める前から、その人の動作や会話でもってかなりの情報を集めている。そこでさらに占いというとっかかりで、相手の心の奥深くを覗いていく。占いの種類とか方法なんかはどうでもいい。
その心理テクニックはいろいろとあるんだけど、そのメインに「占い師とお客さんが協力して占いを解釈する」というものがある。
占い師は(エセ超能力も)「それは○○ですね」と断言しない。
まず、占いの結果であるあやふやなイメージを提示する。(曖昧な表現で話すテクニックのことをストックスピールと呼ぶ)それをお客さんは自分の中の問題と合わせて解釈する。
これはある意味で、お客さんが知りたかった答えをお客さん自身から引き出す手伝いをしていると言っていいだろう。
相手に話をさせる
腕のいい占い師ほど「お客に自分の事を話させる技術」がすごい。いつの間にか自分のこどもの頃の事をしゃべってたりする。逆に自分の事を全然しゃべらないで「さあ…」「わかんないですね」「思い当たる節がないですね」「思い出せないなぁ」なんて事ばっかり言っていたら、占い師は困ってしまうだろう。
或いは「自己開示が下手」「人見知り」「協調性がない」「暗い」「ネガティブ」といった性質を悟られてしまうかも知れない。
「あんた…友達がいないね?」
「!!…あ、当たってる」
なんてこともあり得る。
ともあれ、占い師と会話をすればするほど、占い師はお客さんの人となりを把握し、現在の悩みの問題点を指摘することが出来るだろう。
ホットリーディングとコールドリーディングは、巧妙に組み合わせて使われる場合もある。そんな時、占い師は「○○ですね」という断言とストックスピールを使い分け、「そんなこと、自分しか知らない!」「誰にも言っていないのに!」みたいな事柄も言い当ててしまうだろう。
因みに、過去テレビで放送された霊能力者の透視能力のほとんどが、このコールドリーディングで説明がつくと言われている。
占い師は当たるか?
実際のところ占いは当たるのだろうか?
「占いは過去の膨大な情報をまとめた統計学である」という話を聞いたことがある。
○○という出来事が起きたら、○○が起きる。そんな経験的知識の集積が占いの元になっている可能性がある。
もしかしたら吉兆占いで亀の甲にヒビが入ったら凶!なんてのも科学的な根拠があるのかも知れない。(空気が乾燥していて雨季が遅くなり、結果飢饉が起こりやすい…みたいな)
星座占いなんかも、過去の膨大な人生の統計の結果だとしたら、当たっていてもおかしくはない。
占いは「当たるも八卦当たらぬも八卦」と言われるように、当たっても当たらなくても楽しむスタンスが大事だ。
良い占いなら信じるし、悪い占いだったら信じない、そんな感じでいいのかもしれない。
ただ、先に紹介したホットリーディングとコールドリーディングについては、純粋なテクニックだ。知っていれば、目の前の占い師が純粋に占いの結果をしゃべっているのか、はたまた心理的テクニックを使っているのかわかるだろう。(ほとんどの場合は占いとコールドリーディングを併用しているだろう)
ホットリーディングやコールドリーディング=悪というわけではないけれど、使えば信頼を得ることも簡単なので悪用している人もいる。特に金持ちや会社の社長さんは気を付けて欲しい。
流石のホットリーディングやコールドリーディングでも、未来の事はわからない。おっちょこちょいな人に「交通事故に気を付けな」というくらいしかできないだろう。
本当に良い占い師かそうでないかは、過去の出来事ではなく、未来の出来事のについてどれだけ具体的に言い当てることが出来るか、的確にアドバイスすることが出来るか、なのではないだろうか。
…まあ、占いが外れてもあたかも当たっていたかのように解釈を捻じ曲げてしまうテクニックもあるんですけどね。