健康とダイエット

空腹感や飢餓状態で健康になるのは本当なのか?その5つの理由と注意点

2016年11月29日

ある程度の飢餓状態は健康に良い影響を与えるといわれている。

空腹感を感じると長寿遺伝子である”サーチュイン遺伝子”が活性化するといわれているし、ファスティングやプチ断食といった適度な食事制限をするダイエットはデトックス効果があり、健康的に体重を減らせるともいわれている。

飢餓状態であることは健康長寿につながる。

その秘密は「オートファジー」「オートシリス」「アポトーシス」といった細胞のシステムに秘密がありそうだ。

それらの細胞の機能と健康長寿の秘密を紹介しよう。

空腹感が長寿につながる5つの理由

飽食の時代である現代は、食べ過ぎていることが寿命を縮めていることの原因になっている。

いつまでも健康で長生きするには、日常的に空腹感を感じることが大事だという。

百寿者たちと早死にする55歳以下の“若者”たちの寿命の長短を決めている要因は、肉・卵・牛乳・バター・マヨネーズに代表される高脂肪食の摂取の多寡、筋肉労働や運動の量の差などであろうが、ひとつにしぼれといわれると、私は日常的に「空腹」を経験したことがあるかどうかという点を指摘したい。

空腹の効能については、空腹のときに「オートファジー」「オートリシス」「アポトーシス」などの現象が発現するほかに、細胞の中の「sirtuin(サーチュイン:長寿)遺伝子」が活性化することを、2000年に米国マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授が証明している。

最低でも1日1回、空腹の時間を設けること、そしてお腹が空いてから食事をする(空いていないなら食べない)ことなどを心がけることによって、健康・長寿を心がけたいものである。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

参照元:病気で早死する若者増で「親が子の葬式」多発…空腹のなさ&食の西洋化で短寿命化(ビジネスジャーナル)

この記事では飢餓状態が身体に及ぼす良い影響を5つ紹介している。

①オートファジー

②オートシリス

③アポトーシス

④白血球の活性化

⑤サーチュイン遺伝子の活性化

それぞれを簡単に説明しよう。

オートファジー

栄養を失って飢餓状態に陥った細胞が、生き延びるために自らを食べる作用。細胞内の異常なたんぱく質を分解したり、細胞に侵入した病原生物を排除する。

人が遭難した時に何日も食べずに生きていけるのは、オートファジーの機能で自分自身の細胞をエネルギーとして利用しているからだという。人間が飢餓状態に陥った時、確かに細胞は細胞自身を分解して栄養とするが、その際には不必要な部分から分解していくのだろう。

飽食の時代である今、それが長期的な健康につながるというのもうなずける。

オートシリス

動物が飢餓状態にさらされたときに、正常細胞が過剰な糖分、脂肪、タンパク質や病的細胞などを食べて栄養にして生き延びようとする現象。

これもオートファジーと似た現象だ。ダイエットで食事制限をすると、エネルギーを食事から得られないかわりに、お腹の脂肪をエネルギーとして消費する。これも広い意味でオートシリス現象と言えるのだろう。

アポトーシス

身体全体の健康を維持するために不要な細胞が自ら消滅するシステム。

我々の体内では毎日がん細胞が発生している。それでも体中ががん細胞だらけにならないのは、アポトーシスでがん細胞が無くなることによって体内から取り除かれているからなのだ。

*ただし、飢餓状態のがん細胞はアポトーシスの頻度が低下するという研究結果もある。がんの種類によっては飢餓状態が逆効果になり得るのかもしれない。

白血球の活性化

先ほどの記事では人間が飢餓状態に置かれると、免疫機能が活性化すると紹介されていた。

確かに飢餓状態で白血球が増加するという研究報告は存在する。

南カリフォルニア大学長寿研究所のヴァルテル・ロンゴ教授らの研究によると、半年に一度、2~4 日間の断食によって血液や免疫系の生成にかかわる造血幹細胞が活性化して、白血球が増えることがわかったという。

免疫の要である白血球が増えれば、病原菌に対する抵抗力も劇的に向上するだろう。

サーチュイン遺伝子の活性化

飢餓状態は長寿遺伝子とも呼ばれる「サーチュイン遺伝子」を活性化することができる。

サーチュイン遺伝子が活性化すれば、脳の機能が向上したり、肌の老化を防いだりと、様々なアンチエイジング効果がもたらされる。

適度な空腹は最高の老化予防というわけだ。

おすすめ記事:断食や食事制限で健康&アンチエイジング効果が凄い!サーチュイン遺伝子を活性化して永遠の命を手に入れろ!!

本当に長寿には空腹が大切なのか!!?

確かに健康的に長生きするには、適度に空腹感を感じることは大切だろう。

空腹というストレスが細胞に与えられると、それを刺激に細胞の活動が活発化するのだ。

しかし、物事には限度があるし、個人差や年代による差もあるだろう。

一概に飢餓状態が長寿につながるとは言えない。

 

特に気を付けて欲しいのが「高齢者」だ。

高齢者はたんぱく質の摂取効率が悪くなるので、若い時と同じ量の肉や魚を食べてもたんぱく質不足になってしまう場合がある。

ただでさえ、消化吸収能力が落ちて、食事量が減る傾向がある高齢者は、飢餓状態よりも、むしろたんぱく質を中心とした高カロリー食品をしっかりと食べる方が長寿につながるといえる。

 

もちろん、お腹周りに脂肪がたっぷりとついてしまった中年期には、ある程度の空腹感を感じた方が健康になる。

ガリガリに痩せた思春期の女の子は、空腹感を感じても絶対に健康にはならないし、女性ホルモンが減って女性らしさがどんどん失われてしまうはず。(脂肪は女性ホルモンの分泌を増す働きがある)

 

空腹感や飢餓状態は、誰にでも健康効果をもたらすわけではなく、その人の体調や年齢も大きく関係するってわけだ。

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