精神と心理

意外と知らない?統合失調症の症状と原因をわかりやすく説明。

2014年12月5日

統合失調症とは?その言葉は知っていても、具体的な症状や原因は意外と知られていないのではないだろうか。

そこにはたくさんの誤解と偏見があり、統合失調症を持つ人たちは苦しんでいる。

今回は統合失調症の原因と症状、そして治療法をわかりやすく説明してみたい。

120人に1人は発病!統合失調症の発病率

統合失調症の発病率は0.7~0.8%となる。だいたい120人に1人は発症する確率だ。

しかもこの統合失調症の恐ろしい所は、男女で発病率に差がないばかりか、世界中のどの国で調べても大体同じ発病率なのだ。

はたしてその原因はなんなのか?

統合失調症の発症原因

まず結論を言うと、統合失調症の原因にはこれだ!!といったモノが未だ発見されていない。

一説には遺伝とも言われているが、一卵性双生児でも発病の一致率は50%となる。まったく同じ遺伝子を持っているのにだ。そこで関係が疑われるのがストレスなどの環境要因。しかし同じ環境に育ったからって統合失調症にはならない。脳内物質ドーパミンの分泌異常や神経発達障害などの説もあるが、どれも全てを説明するには不十分な仮説でしかない。

つまり遺伝的要素は確実にある、しかし環境要因もまた確実にあるのだ。

これら二つの要素が複雑に影響して発病すると考えられている。

自殺率の高い寒い国の人間と、お気楽極楽な南国の島の人間を比べても発症率は同じってんだから、不思議なものだ。まるで神の意志でも介在しているよう。

統合失調症の主な症状

統合失調症には陽性症状と陰性症状がある。特に陰性症状は、あんまり知られていない。

陽性反応

・幻覚・妄想

「毒電波がおれに指令を送ってくる」「世界が破滅する!!!!」

・自分を批判する幻聴

「通行人がおれに悪口を言っている!!」「死ねとず~っと言われてる」

自分しか知らないような恥ずかしいコンプレックスを話題にした会話の幻聴も聞こえるらしいから、ほんとに最悪だ。

・作為体験(自分の考えや行為が、他人によってさせられていると感じる)

「毒電波に操られてやったんだ!!おれじゃない!!」

・思考奪取

自分の考えが周りに伝わっているという妄想。

・思考伝播

みんなに自分の考えていることが筒抜けになってる!!という妄想

 

大昔に神と対話したという高名な宗教家は、こういった陽性反応的現象を体験していたのではないか?という説もある。

超リアルな幻覚や幻聴、そんなのが続いたら精神的にもまいってしまうよね。

陰性症状

感情鈍麻 意欲の低下 無関心

つまり何かを整理立てて考えることが出来なくなる。料理や掃除なんてもうムリ。加えて意欲が低下して、なんにもやる気がなくなる。

陽性症状は派手でわかりやすく、一般的に知られているが、陰性症状はわかりずらい。陰性症状だけ見てうつ病と勘違いしてしまい、統合失調症の治療が遅れる、なんて場合もあるから注意が必要だ。

陽性症状は薬なんかで治まるが、この陰性症状は急激に良くなることがなく、ある意味陽性症状より厄介なのだ。

 

これらの陽性症状や陰性症状には、もちろん個人差があり、どういった症状が出るのかも人それぞれ、軽度の人も重症の人もいる。統合失調症だからふつうの生活が出来ないなんて、そんなことは全然ないのだ。

 

統合失調症の治療

治療の方法は大きく分けて二つ。

「投薬」「精神的なケア」

良くなってきたからって勝手に薬をやめたり、家族の統合失調症への理解がなかったり…投薬と精神的なケアのどちらが欠けても治りが悪くなる。

逆に言えば、統合失調症は正しい対応をすれば、必ず良くなる病気ということだ。

 

そして、治療を左右する最も重要なポイントは「早期治療」と言われている。

 

統合失調症には3種類あり、それぞれ発病の時期が違う。

思春期に発病する事が多い破瓜型、20歳前後に発症する場合が多い緊張型、30歳前後に発症する事が多い妄想型、の3種類だ。

発症の疑いがあれば早期に病院に行くことが、今後の人生を左右しかねないくらい重要だ。

 

荒治療!?統合失調症に効く電気治療!!

統合失調症で特に危険な状態の患者に行われる「電気治療」を紹介しよう。

電気治療、電気けいれん療法ともいわれるそれは、左右のこめかみに電極を付け脳に電流を流すという、一昔前の悪の組織の洗脳実験の様な治療法だ。

これ戦前に行われてたんですか?というような一見原始的な方法だが、専門医が行うことでとても安全で有効な治療法となる。

しかもこれ、いまだになんで効くかわかっていない!

でも脳に電流を流すと症状が良くなるという経験則で行われているのだ。麻酔もなんで痛みが感じなくなるのか判明していないって話を聞いたことがある。医学というのは、圧倒的に理由よりも結果が求められるのだ。

 

統合失調症とひきこもり

社会と適合できずにひきこもりになってしまう、その事情は千差万別だ。ひとりひとりが、特有の生きづらさを抱えている。

ひきこもりの原因には挫折や人間関係の問題もあるが、うつ病や発達障害などの精神疾患が原因のものもある。

先ほど書いたように統合失調症は120人に1人の割合で発生する、ポピュラーな病気だ。

日本中にいるひきこもりの中で、統合失調症の為にひきこもりせざるを得ない状況に置かれている人もたくさんいるはず。そして家族はひきこもりの原因を、その性格や育て方のせいにして諦めている。正しい治療を受ければ改善するかもしれないのにだ。

そうった悲劇を起こさないためにも、統合失調症に対する正確な知識を持つことは大事だ。

 

まとめ

統合失調症はだれでも発病するリスクを持っている。その原因は様々で、親の育て方のせいだ!遺伝のせいだ!学校や会社のせいだ!なんて一概に言えない。

陽性症状や陰性症状は患者にとってはとってもつらいもの。周りの統合失調症に対する理解が不可欠だ。

そして統合失調症の症状を緩和するには、薬と共に家族の支援や精神療法がめっちゃ大事なのだ。

 

脳というのは不思議な器官だ。

「梅干を見ただけで唾が出る」という反射反応のように、「感じた想い」が脳の中でフィジカルに脳内物質の分泌という形を取って、物理的な影響となって表れる。

統合失調症はその「想い」に不都合が現われる病気だ。自分の想いが「統合」出来ていない状態。

そのつらさは健常者では想像すら出来ないが、統合失調症への理解が深まることで、少なくとも誤解や偏見はなくなっていくのではないだろうか。

 

 

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