昔のテレビ番組は、良くも悪くも今よりも規制が緩く、激しい内容のものが多かった。その無茶な企画によって死にかけた芸人がいる。
「松村邦洋」だ。
彼は進め!電波少年の一企画で本当に死にかけた。どうして、どんな状況で死にかけたのか?その詳細を語ろう。
芸人殺しのバラエティ、進め電波少年!
あの猿岩石を輩出したアポなしバラエティ「進め!電波少年」を知っているだろうか?
本当にアポイントメントをとらずに、いろんな有名人に突撃したり、いろんなチャレンジに挑戦するといった無謀極まりないお笑いバラエティだった。
その企画のひとつで「豪邸のプールで泳ぎたい!」というものがあった。
この企画でスタッフと共にアラブ首長国連邦を訪れた松村邦洋は、砂漠のど真ん中の一本道をガイドやスタッフと共に爆走していた。
しかし、その移動途中に車がエンストしてしまう。修理しようにも、どうにもこうにも車は動く気配がない。まわりはな~んもない砂漠が地平線まで広がっている。
砂漠の真ん中で遭難してしまったのだ!!
動揺する松村。冷静を装う現地ガイド。
協議の結果、現地のガイドを含めたスタッフ数人は近くの町に助けを求めるために、炎天下を歩き出す。松村と2人のスタッフは車に残る選択をした。
すれ違う松村と救助隊
車で待ち続ける松村達三人。しかし日が暮れても助けは来なかった…・
無くなっていく食料、そして飲料水。募る不安を暗闇が増長する。
助けを求めに炎天下を歩き出したみんなは本当に街についたのか?遭難してしまったのではないだろうか?助けなんてまってもこないんじゃないだろうか?
迷った挙句、彼らは待つことをやめ、自分たちも街を目指すことを選択する。
夜明け前の真っ暗な砂漠を歩き出す松村達一行。どうにかして日が出る前に街にたどり着きたい。しかし無情にも日は上り、太陽光がジリジリと砂漠の砂と皮膚を焼く。
そして根を上げる松村。
炎天下の下、サボテンの日陰に腰を下ろす。最後のペットボトルの水がなくなった。
松村の眼は虚ろで、唇もカサカサに乾いた状態だった。
後にわかることだが、この「植物の影」には危険な毒蛇が出没するらしい。そこに胡坐をかいて、最後のペットボトルの水滴を悲しそうに舐める松村。噛まれなかっただけでも奇跡である。
「松村ぁぁ~!てぇ~ぶっころすぞ!!」が口癖の、いつも松村にとんでもなく厳しく当たるスタッフが「大丈夫だよ!絶対助かるよ!」と優しく声をかける。その声を聴いた瞬間、本当にヤバいことを悟り、松村は死を意識したという。
一方その頃、別働隊は無事に街につき、救援部隊と共に車のある場所に戻っていた。
しかしそこには誰もいない…ものけの空だったのだ!!焦りと共に松村たちの捜索が始まった。
どれだけの金がかかったのかわからないが、捜索活動はヘリコプターをも出動させる本格的なものだった。
松村を救った奇跡の救助
休憩する松村の上空をヘリコプターが通り過ぎる。大きな声を上げる松村。しかし無情にもヘリコプターは上空を過ぎ去る。
重い体を引きずり、砂漠の荒野を進む松村達。どの方角に町があるのかも確かではないのだ。
遭難から丸一日経過。
懸命な救助活動のかいあって、軌跡的に松村達は救助隊に発見された!!抱き合い喜びあうスタッフたち。
松村達は本当に九死に一生を得たのであった。
それにしても驚くべきは、あくまでもカメラを回し続けたスタッフだろう。
本当に自分が死ぬまでのレポート映像になってしまう可能性もあったのだ。
芸人も命を懸けているなら、スタッフも命がけ。それがあの奇跡の番組「進め!電波少年」の面白さの秘密だったのかもしれない。
果たして今のテレビだったら、こんなバラエティを超えた「生と死のドキュメンタリー」を放送できるのだろうか?
笑いと危険
進め電波少年では他にも、出川哲郎がゲイの集うバーでコンドームを無料配布するという企画で単身バーに乗り込むも、無情にもゲイに囲まれ辱めを受けてしまうことがあった。今だったらもっと大問題になっているだろう。
お笑いウルトラクイズでは「金粉マラソン」という企画において、全身金粉まみれでマラソンをした芸人たちが、皮膚呼吸できずに次々に酸欠状態となり倒れていった。
また同じくお笑いウルトラクイズにおいて、芸人を全員海上に吊るしたバスに乗せてクイズ、当たろうが間違えようがバスごと海に沈めるという豪快な企画ではダンカンが死にかけたという(しかしダチョウ倶楽部や出川哲郎のリアクションがとんでもなく面白かった)
ただの懐古趣味ではない、ある種の危険な笑いがそこにあった。残念だけどいまは出来ないんだろうなぁ~。
いろんな表現が規制されて、マイルドになって、オブラートに包まれて…だけど少しネットで検索すればえげつない情報が山のように出てくる。世の中は良くなったのだろうか?お笑いのレベルは上がっているんだろうか?
芸人が芸で死ねる。そんなテレビ番組を作っていってほしいものだ。