ゲームや漫画で登場する「勇者」と呼ばれる主人公は、”偉大なる勇者の子孫”であり”特別な存在”であることが多い。
でも、勇者の血筋を遡ると、いったいどこにたどり着くのだろう?勇者はいつから勇者であり、勇者の血筋とはいつから発生するのだろうか?
この問題について、勇者の原点といっていいドラクエの「ロト・シリーズ」を元に考察するとともに、勇者の血筋の秘密を解き明かすかもしれない京都大学の遺伝についての研究を紹介しよう。
ドラゴンクエストにおける「勇者の血筋」の秘密とは?
まずは簡単にドラゴンクエストのロト・シリーズにおける勇者を紹介しよう。
ドラゴンクエスト1→伝説の勇者ロトの子孫
ドラゴンクエスト2→ドラクエ1の勇者とローラ姫の子孫
ドラゴンクエスト3→勇者オルテガの子ども
時系列的にはドラクエ3→ドラクエ1→ドラクエ2であり、ドラクエ3の主人公こそが「伝説の勇者ロト」であった!!
というわけで、ドラゴンクエストのロト・シリーズは、一貫して「ロトの勇者の一族の活躍を描く物語」となっている。
では、ドラクエ3の勇者の血筋を辿ってみよう。
勇者ロトの父親であるオルテガも勇者と呼ばれているけど、彼が勇者の血筋の始まりだったのだろうか?
アリアハンにある勇者の実家には勇者のおじいちゃん(オルテガの父)がいるけれど、彼も勇者だったのだろうか?
獲得形成は遺伝するという研究結果が!
生物学では「後天的に取得した能力は遺伝しない」とされてきた。
しかし後天的に取得した能力が、その子孫に受け継がれる事例は確かにある。たくさんのエサを与えられて育った太ったマウスのこどもは、太りやすくて糖尿病にもなりやすいという。
その秘密を解き明かすため、京都大学の研究グループが線虫を使った実験を行い、「親世代に低用量ストレスを与えることで獲得されるホルミシス効果(ストレス耐性の上昇や寿命の延長)が、数世代にわたって子孫へと受け継がれる」ことを発見した。
参照元:獲得形質は遺伝する? -親世代で受けた環境ストレスが子孫の生存力を高める-(京都大学)
このような生物の能力は、環境に適応して生存率を上げるためにあると予測されている。
そして、この実験の線虫と同様に、後天的に取得した能力の遺伝は人間でも起こりえる。
努力して獲得した能力は、子孫へと受け継がれている可能性があるのだ。
スポーツが苦手な親を持つこどもが、めっちゃ努力してスポーツ万能の大人になった場合、そのこどももスポーツが得意である可能性が高い。
遺伝的には目が良いのに、勉強やゲームのやり過ぎで近眼になった場合、そのこどもも近眼になりやすくなるかもしれない。
この獲得形成の遺伝が勇者の血脈の秘密ではないだろうか?
本物の勇者はアリアハンのじじいだった!?
後天的に取得した能力が子孫へ遺伝する。
だとしたら勇者の血族というのは、めちゃくちゃ努力して強くなった人であったり、たゆまぬ修行の果てに不屈の勇気を得た人であったり、様々な冒険の旅をつづけた人たちの「後天的に取得した能力」が積み重なった結果なのかもしれない。
ドラクエ3の旅たちの街であるアリアハンの勇者の家には、隠居している勇者の祖父がいる。そのジジイに話しかけると「お前の父オルテガは立派な勇者じゃった。このじいの息子じゃ。○○、お前もこのじいの孫じゃ、頑張れよ」と言ってくる。
このじじい、相当にスゴイ冒険者だった可能性がある。
その後ろ姿に圧倒的なオーラが…!?
残念ながらこのじじいの親についてはわからないが、このじじいは若いころに世界中を冒険し、剣や魔法のすさまじく過酷な修行をしていたかもしれない。
勇者の特徴のひとつとして、勇者しか扱えないデイン系の攻撃呪文がある。この呪文もじじいが凄まじい修行の結果身につけた獲得形成であり、それが子孫へと受け継がれたのだろう。
そんなじじいに鍛えられて育った勇者オルテガ、そして孫であるロトの勇者、これこそが勇者の血脈であるとすれば…ロトの勇者の原点はこのじじいということになりはしないだろうか!?
ちなみにドラゴンクエスト11はロトゼタシアという大陸が舞台であり、ロトシリーズが関係あるのではないかといわれている。
「ひょっとしたら、ロトの勇者の秘密が解き明かされるかも…?」とか「ドラクエ11の主人公の正体は竜王なのでは?」なんて噂があるけれど、ドラゴンクエスト11の主人公はロトの勇者の原点であるこのジジイがハゲる前の若いころの冒険…だったりして!?
あなたも勇者になれる!
「ああ、勇者になりたいけど、父親は冴えないサラリーマンだし、母親は普通のパートだし、おれなんかには無理だよなぁ…」
そう思って諦めているかもしれない。だけど、ちょっと待って欲しい。
勇者の血脈が後天的に取得した能力の積み重ねであるとしたら…
過酷な修行を行い、勇者と呼ばれるにふさわしい能力を獲得すれば、才能や血統がなくても勇者になれるかもしれない。
そう、あなたが勇者の伝説の始まりになることだって可能なのだ!!