「エアコンの冷房はつけっぱなしの方が電気代が安い」
そんな話を聞いたことがある人も多いだろう。
エアコンで最も消費を使うのは、エアコン起動時であり、熱い部屋を設定温度まで下げるとき。
実は、エアコンをつけている間はそれほど電気代がかかっていない。
だから冷房をつけたり消したりを繰り返すよりも、1日中ず~っと使い続けたほうが節電になる。
…というわけ。
では、エアコンの冷房ではなく暖房はどうなのだろうか?
冷房よりも3倍も消費電力が高いといわれる暖房。
その経済的で効果的な使い方を紹介しよう。
冬の暖房もエアコンはやっぱりつけっぱなし!?
エアコンが最も電力を消費するのは、スイッチを入れて設定温度まで部屋の温度を上げる時だ。
その為、マメに暖房を切ったり入れたりしていると一見省エネになっているようで、その都度大きく電気代がかかってしまう。
ある一定まで温まった室内の温度を一定に保つ方が、切ったり入れたりするよりも電力消費が少なくて済む。
エアコンの冷房と同様に、暖房もつけっぱなしの方が電力消費は少ないのだ。
ただし、1日中暖房をつけっぱなしでいいのかというと、必ずしもそうでもない。
例えば日立のホームページでは、エアコンの連続運転に関してこんな注意喚起をしている。
連続運転していただいても問題はありません。ただし、不在時の連続運転は電気代が高くなるとともに、機器の設置及びご使用環境の変化などによる悪影響が考えられますので、不在時には出来るだけ運転の停止をお願いいたします。
参照元:数日連続運転して問題はありませんか?(日立お客様サポート・よくある質問)
数日間エアコンをつけっぱなしにしていても問題ないけれど、電気代が高くなるかもしれないから不在時にはちゃんと消しましょうね。
日立の見解としては、つけっぱなしにすると電気代が高くなる可能性があるとしている。
では、エアコンメーカーのダイキンはどうか。
ダイキンはエアコン暖房について「つけっぱなし」と「こまめに入り切りする」のとを比較実験を行い、しっかりと検証している。
その結果をまとめると…
①24時間暖房付けっぱなしと、30分ごとにON・OFFを切り替える場合は、24時間つけっぱなしの方が電気代が安い。
②2時間以上外出したりする場合は、運転をOFFにした方が電気代がお得。
③24時間つけっぱなしと、生活に合わせて暖房をON/OFFする(実質エアコン稼働時間11時間)を比較すると、つけっぱなしの方が1日あたり約30円電気代が高くなる。
- 24時間つけっぱなし:12.7kWh(約343円)/稼働時間約24時間
- こまめに入り切り:11.6kWh(313円)/稼働時間約11時間
④「24時間つけっぱなし」と「こまめに入り切り」で消費電力に30円しか差がないのは、つけっぱなしだと常に部屋の空気が温まっているのでエアコン稼動時に部屋の冷たい空気を暖かくするためのパワーを必要としないから。
2時間以上暖房を使わないのならエアコンを切っておいた方が節電になるけど、全体的な電気代はそれほど変わらない。
そんな結果が導き出された。
もちろん、このダイキンの実験はすべての地域や部屋、エアコンに当てはまるわけではない。
だけど、省エネのエアコンを使っていたり、気密性の高いマンションに住んでいるのなら24時間つけっぱなし暖房もアリなのではないだろうか。
では次に、経済産業省資源エネルギー庁の意見を紹介しよう。
ちなみに、夏のエアコンは条件次第では、24時間つけっぱなしのほうが節電効果があるといわれていますが、冬も頻繁につけたり消したりするのはご法度。エアコンは立ち上げが一番電気を消費するので、安定運転になってから1時間以内であればつけっぱなしのほうがいいでしょう。
覚えておきたいのは、暖房は空気そのものを暖めるのではなくて、壁や床、天井という躯体が暖まることで効果が現われるということ。そういう意味でも断熱効果の高い家やマンションは、節電効果がより高くなります。
参照元:暖房器具の効率的な使い方をマスターする(資源エネルギー庁)
資源エネルギー庁でも、エアコンをつけたり消したりするのはダメと警告している。
「安定運転になってから1時間以内であればつけっぱなしの方がいい」とのこと。
暖房は部屋の空気ではなく、部屋の壁や天井を温める。
このことは、先ほどのダイキンの実験で「24時間つけっぱなしでも消費電力が30円しか変わらなかった」という結果にも繋がる。
一度部屋全体を温めたら、なるべくそれを維持した方が節電になるみたいだ。
- 不在時のエアコン連続運転は電気代が高くなるし、機器の設置及びご使用環境の変化などによる悪影響が考えられる(日立)
- 2時間以上暖房を使わないのならエアコンを切っておいた方が節電になるけど、全体的な電気代はそれほど変わらない(ダイキン)
- 安定運転になってから1時間以内であればつけっぱなしのほうがいい(資源エネルギー庁)
- 暖房は部屋の空気ではなく、部屋の壁や天井を温める(資源エネルギー庁)
では、つけっぱなしのエアコンをより効果的に、かつ経済的に使うコツを紹介しよう。
節電のための暖房のコツ
暖房にとって最も大事なのは「あったかい空気」を逃がさない事だ。
例えば羽毛布団がなぜあんなにも暖かいかというと、フワフワの羽毛の中にたっぷりと空気が含まれていて、暖められた空気が逃げないようになっているから。
ダウンコートも同様に、暖かい空気を逃がさないような構造になっているから暖かい。
これは部屋全体にも言える事だ。
あたたか空気を逃さない事が大事。部屋のコンディションを整えることで、暖房の効果は格段にアップする。
空気の容積を少なくする
まず第一に部屋にあるあらゆる窓やドアは閉める事が大事だ。
押し入れやクローゼットがあったら、そこも閉め切ろう。
12畳の部屋を暖めるより6畳の部屋を暖める方が電気代は安く済む様に、暖める空気の容積は少なければ少ないほど効率がイイ。
その為には部屋を閉め切り、なるべく空気の容積を少なくする必要があるのだ。
空気を逃がさない
一度暖められた空気は逃がしてはいけない。
熱は高い所から低い所に移動する性質を持っている。
一番逃げる危険があるのは寒い外や、暖房の効いていない他の部屋だろう。
空気を逃がさないためには「他の部屋に移動するときにドアを開けたらすぐに閉める!」とか「外気と接している窓には厚手の断熱カーテンを使う」といったちょっとした習慣が有効だ。
加湿する
冬は乾燥する時期であるが、エアコンを使用するとさらに空気が乾燥してしまう。
空気はある程度加湿した方が体感温度は上がるのだ。
加湿器を使用するなどして、部屋の空気を加湿すれば、体感温度を上げると同時に皮膚の乾燥や風邪の予防にもなるだろう。
サーキュレーターを使う
理科の授業で学んだと思うが、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するという特徴がある。
これは暖房の効いた部屋の空気にも言える。天井付近の空気は暖かく、私たちが生活している床付近の空気が冷たいのだ。
そこでエアコンよりも電気代の安いサーキュレーターや扇風機を使用する。
この風で部屋の空気を循環させれば、暖かい空気が下の方にも行き届き、暖房効率がアップするのだ。エアコンの送風の向きを下にするというのも効果があるだろう。
もしサーキュレーターがなければうちわや扇子でも代用可能。力いっぱい天井付近の空気を仰げば、空気の循環も良くなると同時に、その運動によって身体がポカポカと温まってくるだろう。
部屋の壁や床の熱を逃がさない
「暖房は空気そのものを暖めるのではなくて、壁や床、天井という躯体が暖まることで効果が現われる」
暖房効果を維持しつつ消費電力を抑えるには、床、壁、天井の保温を考える必要がある。
エアコンの暖房効果を上げるには、床にカーペットを敷いたり、断熱カーテンを使ったり、保温効果のある壁紙を使うのもとても有効だろう。
暖房の設定温度を1度下げる
暖房の設定温度は何度が最適なのか?
それは人それぞれといっていいだろう。住んでいる地域や体型などによっても変わってくる。
その自分がいつも設定している暖房の設定温度を1度下げてみる。これだけで、月の電気代がずいぶんと違ってくるはずだ。
具体的には、先ほど紹介した資源エネルギー庁のホームページによると「暖房の設定を1度下げるだけで、ひと冬に約1,170円の節約になる」と紹介されていた。
暖房の設定温度を1度下げるのは、もっとも有効な省エネと節電の方法だ。
1度下げたらヒートテックインナーを1枚着る。
2度下げたら部屋着を1枚羽織る。
3度下げたらニット帽とマスクと手袋を着用する。
4度下げたら毛布を被る。
5度下げたらもう寝てしまう。
こういったちょっとした工夫で、電気代の節約になるかもしれない。
暖房節約テクニックまとめ
暖房はつけっぱなしでもOK!
でも、部屋を閉め切ったり、ちゃんとカーテンを閉めて、暖かい空気を逃さないことで、暖房効果をアップさせよう!!
加湿器やサーキュレーターを使うことも有効だ!!!
より経済的に暖房できるこれらのテクニックを、この冬、是非とも試してみて欲しい。