「早寝早起き病知らず」や「早起きは三文の徳」ということわざがある。早起きすれば健康に良いし、イイことが起きるよって意味だ。これと同様の意味を持つことわざは英語圏にもあるようだ。
昔から早寝早起きをするのは正しいと思われてきたが、最新の研究によると、どうやらその考え方は間違っているという。
今までの常識を覆す「早寝早起きは身体に悪い」という研究、その内容を紹介しよう。
早起きが身体に悪い理由とは!?
イギリスにあるオックスフォード大学のポール・ケリー博士の研究よると、早起きの習慣が重大な病気を引き起こす可能性があるという。
その理由が「生活時間と体内時計のズレ」にある。
現代社会のタイムスケジュールは殆どが9時から始まり17時に終わるというもの。仕事もそうだし、学校だって9時から始まるところが多い。この9時~17時という活動時間そのものが、人間本来の体内時計の時間とずれているというのだ。
では活動に最適な時間帯とはいつなのだろうか?
それは年齢によって変わってくる。
年齢別最適な起床時間と活動時間
最も自分自身のパフォーマンスと集中力を高める活動時間は、年齢によって変動する。
青年期(15歳~30歳)
朝9時に起床し、11時から活動を開始するのがベスト!
壮年・中年期(31~64歳)
8時に起床し、10時から活動を開始するのがベスト!
老年期(65歳以上)
7時に起床し、9時から活動を開始するのがベスト!
自分の年齢と照らし合わせてみると、けっこう納得できる時間割な気がする。
現在の日本では、すべての年代に置いて、9時から活動を開始するライフスタイルとなっている。このズレが体調不良の引き金になるというのだ。
実験では、朝から仕事をしたグループと、夕方から夜にかけて仕事をしたグループを比較すると、朝から仕事をしている方が明らかにミスが増えたという。朝は体温が最も低い時間帯で活動に適していない。この実験も、朝からの仕事が最適なパフォーマンスを発揮できる時間帯ではないという事実を指示しているのだ。
もし毎朝6時に起床するといった早起きを習慣づけた場合、このズレが拡大してしまう。そうすると、ますます精神的・肉体的なストレスになってしまう可能性がある。
早起きの病気リスクとは?
早起きによる体内時間のズレは、今わかっているだけでも、さまざまな病気の原因になると考えられている。
- メタボリックシンドローム
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 高血圧
- 糖尿病
- 心不全
- うつ病
これらの病気のリスクを上げるだけでなく、病気がより重篤になるリスクも上がるというのがだ。
体内時計とのズレを生じさせるような早起きは、脳や心臓に負担を駆け、寿命を縮めてしまう結果になるだろう。
早起きは早死になの!?
「やったぜ!これで朝寝坊の言い訳ができる!」
そう思った人も多いのではないだろうか?
てゆーか、そう思う人が多い事実こそが、無意識に体内時計のズレを不快に感じている証拠なのかもしれない。
人間にとっての「睡眠」の形はかなり個人差が激しい。必要な睡眠はおおよそ8時間と言われてはいるが、ロングスリーパーの人もいればショートスリーパーの人もいる。夜の方が集中できる人もいれば、朝の方が力を発揮する人もいるだろう。先ほど紹介した「早起きは身体に悪い」という研究も、すべての人にそのまま当てはまるわけではないと考えられる。
だけれど、個人的な体感としては合っている気がする。9時から活動を開始するって早すぎる気がするよね。
「おまえ、また寝坊したのか!!」
「先生、早起きって病気リスクを上げるって知ってましたか?10代の青年期は最適な起床時間が9時で…」
「バケツ持って廊下に立っておれ!!」
…いまどきそんなレトロな罰を下す先生もいないと思うが、とかく世の中はままならないものだ。
早起きは身体に毒だからって、学校や会社でそんな言い訳を聞いてもらえるわけはない。学校が始まる時間や就労時間をずらすことも難しいだろう。
だとすれば、私たちに出来る事はひとつしかない。
それは、限界ギリギリまで眠る事。
朝の用意を最短で出来るように、極限まで最適化するのだ。
起きた次の瞬間に「ヤバイッ!」と飛び起きる。迅速に顔を洗い、歯磨き。歯磨きをしながら、トイレに行き、歯磨きをしながら、前日に用意していた服に着替える。そして朝食代わりのカロリーメイトをかじりながら髪をセット。目クソ鼻クソを最終チェック(ここで目クソがあった場合は遅刻決定だ!)
遅くとも起きて10分以内に家を出れるように、訓練しなければならないだろう。確か自衛隊でもあったよね、そんな訓練。
その為には、前日の用意が肝心。持っていく荷物や着る服は、前夜に用意しておく必要がある。
目覚まし時計は、時間に余裕をもって鳴らしてはいけない。常にこれ以上ないと言うくらいギリギリにセットしておくのが良い。2度寝なんて甘えが介在する余地のないくらいに。そうして自分を追いつめることで、迅速なスタートダッシュが切れるだろう。
前日の入念な用意、ギリギリの目覚まし、極限まで最適化された朝のルーチンワーク、これらによって我々は早起きの病気リスクに対抗できるだろう。
そんな、疾風怒濤の朝が長生きの秘訣…なのかもしれない。