例えばダイエットのために、1日の摂取カロリーを1,500キロカロリーに制限していたとしよう。
この1,500キロカロリーを朝食で一気に食べてしまうのと、昼と夜で750キロカロリーずつ食べるのと、3食に分けて500キロカロリーずつ食べるのでは、当然のことながらそのダイエット効果にも変化が現れる。
食べる時間帯やタイミングによって、栄養の摂取効率は変わってくるのだ。
このような食事に”時間”という概念を加味した、わりと新しい考え方が「時間栄養学」だ。
同じ量を食べるにしても、食べる時間によってダイエットの効果も変わる。
だとしたら、なるべく満腹感が得られて、それでいて痩せれる方がいいに決まっている。
そこで、時間栄養学の観点からみた効果的なダイエット法を紹介したい。
時間栄養学を利用した簡単ダイエットのやりかた
というわけで、さっそく”時間”を利用した3つのダイエットのテクニックを紹介したい。
まずは、食べるスピードだ。
ゆっくり食べてダイエット
ゆっくりとよく噛んで食べようね~!!
と昔からいわれているが、ゆっくりとよく噛んで食べることには大きなメリットがたくさんある。
一番大きなメリットは、よく噛んで食べると少量でも満腹感を得られるということ。
唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれている。アミラーゼは炭水化物の分解を促進させる効果がある。
唾液によって炭水化物はしっかりと分解され、すぐさま単糖類になり、あっという間に血糖値を上げる。
血糖値が上がると、脳が満腹感を得る。
つまり、よく噛むことで少量でも血糖値が上がり、満腹感を得やすくなるってわけだ。
また、よ~く噛むと、それだけで食事の時間が長くなる。食事の時間が長くなれば、血糖値は時間の経過と共に上昇していき、より満腹感を得やすくなる。
噛むことそれ自体でも精神的な満足感が得られるだろう。
具体的には1口で30回は噛むことを心がけたい!!
ダイエット効果もあるけど、よく噛むと虫歯予防になったり、脳を活性化させたり、唾液中の抗菌物質のおかげて免疫力がアップしたりする。いろんな意味でよく噛むと健康になる。
食事の順番でダイエット
まったく同じ食事をしていたとしても、何から食べるのかでダイエット効果が得られるかどうかは変化する。
なぜダイエット効果が変化するのか?
ポイントは血糖値にある。
血糖値が上昇すると、その血糖値を下げるためにすい臓からインシュリンが分泌される。
インシュリンは血液中の糖分は脂肪細胞に移すことで、血糖値を下げる働きをする。
つまり、インシュリンは脂肪を蓄える作用があるってこと。
インシュリンの分泌を抑えつつ、食事をするのがダイエットにとっては大切。
そこでオススメなのが「カーボラスト」という食事法。
カーボは炭水化物のこと。
ごはん、野菜、肉、魚、果物、いろんな食材があったとして、どのおかずから食べてもいいけど、ごはんなどの炭水化物は最後に食べる。
血糖値が上昇する原因である糖質が含まれた炭水化物を最期に食べれば、血糖値の上昇を緩やかにしつつも食事を楽しむことができるだろう。
ちなみに「よく噛んで食べる」ことも、インシュリンの分泌を抑える効果があるのでオススメだ。
時間帯と食事内容でダイエット
3食の食事内容によるダイエット法については、専門家でも意見が分かれるところ。
「朝食は抜いて、昼と夜だけ食べる方がいい。朝を抜くと、前日の夕食から昼まで何も食べないことになるので、自然とお腹がすく。空腹時には長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子が活性化するし、ある程度空腹感を感じている方が健康にはいいからだ!!」
「朝からガッツリ肉を食べるのが実はダイエットになる。肉を消化するにはすごいカロリーを使うし、朝からしっかりとエネルギーを補給することで昼に食べる量も少なくなるし、1日を元気に過ごせる!」
「理想的なのは朝・昼・晩を3:3:4のバランスで食べること。そうすれば、食べ過ぎることなく無理のないダイエットになる!!」
とまあ、いろんな意見がある。
そこらへんの見解について、どれが正しいのかはわからないし、どれもが正しいといっていいだろう。
例えば1日の摂取カロリーを3回に分けて食べるより、1度の食事でまとめてとった方が、トータルでの摂取カロリーは減るだろう。消化器官がどれだけ頑張っても、短期間ですべての食べ物を完璧に消化できるわけではないからだ。
それよりも、3食に分けて食べた方がしっかりと栄養を吸収できる。
では、ダイエットのために1日1食にした方がいいかというと、そういうわけでもない。
1日1食のドカ食いは胃腸に負担をかけるし、空腹感を感じやすいのでダイエットが途中で挫折する可能性も高い。食事内容のバランスをとるのも難しいし、血糖値も急激に上昇するし、不健康なダイエットといって差し支えないだろう。
時間を味方につけて、簡単で、無理なく、長く続けることができる、時間栄養学的なダイエットは、2つのポイントを抑えることで可能だ。
①すべての食事を12時間以内に食べる
②夜の22時以降は食事をしない
1日に3食であろうが2食であろうが、そのすべてを12時間以内にとる。
たとえば、朝の8時に朝食をとったのなら、夜の8時までに夕食を取り、何も食べない時間帯を12時間とる。
そうすることで、朝・昼・晩とバランスよく食事をとれるし、適度に空腹感を感じる時間もとれる。
また、時間栄養学的には夜の22時以降は内臓機能が”おやすみモード”に入っていて働きが鈍くなる。それに夜は身体の活動も低下して、消費カロリーも少なくなる。
そんな時にたくさん食べると、カロリーが脂肪として蓄えやすくなってしまう。
それぞれに生活リズムはあるだろうけど、ダイエットのためには基本的に夜の22時以降の食事は控えた方がいいだろう。
時間栄養学的ダイエットの方法まとめ
では、時間栄養学的ダイエットの内容をまとめてみよう。
- よく噛んで食べる
- 炭水化物は最後に食べる
- 1日のすべて食事を12時間以内にとる
- 夜22時以降は何も食べない
「頑張って運動したけど痩せれない!」
「めっちゃ食べるの我慢しているのにぜんぜん体重が落ちない!」
「いろんなダイエットをやってきたけど、いっつも失敗しちゃう!」
そんな人たちでも、時間栄養学的ダイエットであれば挫折せずに続けられるのではないだろうか。
これらのルールを遵守すれば、とくにハードな食事制限をすることなく、ゆっくりと確実にダイエットすることができるだろう。
もちろん、食べ過ぎや運動不足で太るのは当たり前なので、あくまでも適切な食事量と適度な運動を心がけた上での話だけどね。