夜中にふと目が覚めると、意識がはっきりしているのに身体が動かない。
…金縛りだ!!
あれ、ベットの側になんだか黒いモヤっとしたものが立ってる!!
ち、近づいてきた…
ああ、胸の上には重苦しい何かが乗ってきたぞ。
た、たすけてくれぇ~!!
と、そんな経験をしたことがないだろうか?
変なものが見えるし、実際に胸に何かが乗っかってくる感覚もある。
あるいはそれは手足が引っ張られるような感覚かもしれない。
とても怖いし、心霊現象としか思えない!!
そんな金縛りにも、ちゃんと脳科学的な原因があるという。
その原因と、金縛りの解き方、そして出川哲郎とデヴィ夫人がロケ先のドイツで体験した恐怖の金縛り事件を紹介しよう。
出川哲郎とデヴィ夫人を襲った恐ろしい心霊体験
それは出川哲郎とデヴィ夫人が、ドイツに海外ロケに行った時の事。(きっと世界の果てまでイッテQかな)
ロケが終わった後の宿泊先は、とても古いホテルであった。
ドイツの古いホテル…それだけで幽霊が出そうだ。
その深夜、出川が寝ていると、廊下から「キャ―ッ!!」という女性の悲鳴が!!
出川が慌てて駆け付けると、デヴィ夫人の部屋でデヴィ夫人のメイクさんが悲鳴を上げていたそう。
ふと、デヴィ夫人のベッドを見ると…
なんとそこには白目をむいたデヴィ夫人が!!
「助けて…助けて…」
「ああぁぁぁぁぁぁ…」
白目をむいたまま、身体を痙攣させ、うめくように助けを求めるデヴィ夫人。
それを見た出川は、もう面白くて面白くて爆笑してしまったという。
デヴィ夫人を襲った金縛りの原因は結局不明のまま。
とにかくデヴィ夫人はしばらくすると金縛りがとけて、無事に眠りにつくことができた。
「あ~た、何で助けないの?あ~た笑ってたでしょう!!」
金縛り中にも意識はあったらしく、後で出川はデヴィ夫人にさんざん怒られたという。
金縛りの科学的な原因と説き方は?
デヴィ夫人を襲った金縛り、その原因はなんだろうか?
もしかしたら、そのドイツの古びたホテルに住み着いている、イタズラ好きな幽霊が原因かもしれない。
けれど実際のところ、ほとんどの金縛りは脳の錯覚が原因と言われている。
金縛りは「入眠時幻覚を伴う睡眠麻痺」とも呼ばれていて、その発生には”レム睡眠”と”半眠幻覚”がかかわっている。
まずはレム睡眠について。
我々の眠りには大きくふたつの状態が存在する。「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」だ。これらの違いを簡単に説明しよう。
レム睡眠:浅い睡眠。脳は活発に活動しているけれど、肉体は休んでいる状態。
ノンレム睡眠:深い睡眠。脳も身体も休んでいる状態。
夢を見るのは眠りが浅く、脳が活動しているレム睡眠のとき。
夢の影響で身体が動いて怪我しないように、身体は動かないようになっている。
次に半眠幻覚について。
入眠直後の脳は、アルファ波という脳波が出ていてまだまだ活発に活動を続けている。その状態だと「半眠幻覚」という”幻覚を見やすい状態”になるのだ。
そうすると、眠っているのに目の前に様々なイメージが現れる。
それは奇妙な動物であったり、不思議な人間の形を取る場合もある。また、半眠幻覚は映像ではなく音も伴う場合がある。
衝撃音や、足音、だれかのささやき声、自分に話しかける不気味な声などなど。
半眠幻覚は、まさに心霊体験に出会ったような幻覚を見る可能性があるのだ。
脳が混乱した場合、レム睡眠と半眠幻覚が同時に起きる場合がある。
レム睡眠時は脳が活発化しているのに、身体はピクリとも動かない。この状況だと、身体に何か重いものが乗っているような錯覚も起こりやすくなる。
まさに、金縛り状態の出来上がりだ。
つまり金縛りはレム睡眠と半眠幻覚が引き起こした「脳は起きているけれど身体は寝ている状態」ということ。
だから金縛りは入眠直後に置きやすい。
ちなみに金縛り(入眠時幻覚を伴う睡眠麻痺)の起こりやすさには性差や年齢差があるといわれている。
男性が40%で女性が50%と、金縛りは女性の方が少しだけ発現しやすい。
また、年齢のピークは男性が17歳で女性が15歳。
つまりもっとも金縛り体験をしやすいのは、15歳の女性ということになる。
デヴィ夫人は15歳とは言えないが、とにかく女性なので、男性の出川よりは金縛りにあいやすかったのかもしれない。
では、変な幻覚が見えて怖い、でも動けない。そんな金縛り状態を解くにはどうすればいいのだろうか?
恐ろしい金縛りを解く方法は?
金縛りが脳の錯覚だということをたとえ頭で理解していても…実際に金縛りにあっていみると、そんなことを考えている余裕はない。
圧倒的な恐怖!!
そして不安!
助けを呼ぼうにも、声も出ないし、手も動かない。
ではどうすればいいのか??
金縛りを解く方法はいたって簡単だ。
それは眠っている身体を起こす事。
「それができたら苦労はしねーーわ!!」
と思うかもしれないが、いきなり身体を起こすのは難しくても、少しずつ身体を覚醒させることは可能だ。
指先を曲げたり、まばたきしたり、とにかく少しでも身体を動かすことが大事。
もし身体がまったく動かなくても、まぶたや指先は動かしやすいはず。
とにかく、どこでもいいからすこしでも身体を動かすことができれば、身体は急速に覚醒し、金縛りは解けるだろう。もちろん、半眠幻覚のイメージも消え去る。
ちょっぴり指先を動かすことで、むりやり金縛りを解くことは出来る。
もうひとつ、もっとオススメな方法がある。
それは金縛りにあったら、無理に解こうとせずにそのまま寝てしまうということ。
朝起きたら「昨日は金縛りにあった気がするな~」なんて、現実か夢かわからない状態になっちゃう。
無理に金縛りを解くと目が覚めてしまうし、それよりも、そのまま朝まで寝た方が脳も身体も休まるはずだ。
金縛りまとめ
胸のあたりに黒い影が乗ってきて、重くて動けなかった。
身体が動かずに、天井の隅に黒い影がうごめいていた。
目が開けられない状態で、ベットの周りにたくさんの人の気配があり、ささやきあっていた。
布団の横に白装束を着た老婆が座っていた。
これらは半眠幻覚で見る典型的なイメージだ。
日本に限らず世界中で、人間はまったく同じ体験をしている。
そう考えると、金縛りというのは心霊体験ではなく、夢の一部といってもいいのかもしれない。
もし金縛りにあったら、どんなに怖い幽霊があわられても「これは幻覚だ…」と、指先に力を集中させよう。
そしてもし、隣で寝てる人が金縛りにあって苦しんでいたら…ひょっとしたら出川哲郎のように「あはははは~」って笑うのが、一番効果的かもしれない。
後で怒られるかもしれないけどね。
では最後に、私自身のたった一度だけの金縛り体験を語りたい。
といっても大した経験ではない。
それは入眠直後の金縛りではなく、深夜にふと起きてしまった瞬間に起きた。
真っ暗な寝室、目は開いているのに、身体は動くことができない!!
(か、金縛りか!!?)
まわりに幽霊的なものもいないし、胸に何かが乗ってくるような感覚もない。
部屋も真っ暗で何も見えない。
ただ身体が動かないという状況が怖くて、でも動かそうとしても動けない。
まるで脳と肉体との接続が切れてしまったような感覚だった。
で、私はそのまま寝た。
翌朝起きてみると、あれは現実に起きたことなのか、それとも夢だったのか、もう判別できなくなっていた。
きっと半分は現実で、半分は夢の中の出来事だったのだろう。
私の金縛り体験は後にも先にもあのときだけ。
ちなみに金縛りにあいやすいという人は、睡眠の質が悪い可能性があるので注意が必要。
ぐっすり眠れるように枕を変えてみるとか、夜にコーヒーを飲まないようにするとか、ストレスを溜めないようにするとか、よく眠るための工夫をすれば金縛りも減るかもしれない。
とにかく金縛りになったら、慌てずにゆっくり指先を動かすか、気にせずそのまま寝てしまうのが一番みたいだね。