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「NASAがUFO研究チームを設置する」という間違った報道がなぜ流れたのか?

NASAがついにUFOについての研究を行うことを発表したという!!

米航空宇宙局(NASA)は9日、未確認飛行物体(UFO)に関する研究チームをこの秋に設置すると発表した。

まずは地上や宇宙からの観測データなどを広く集め、手掛かりを拾い上げることを目指す。

安全保障や航空安全に役立てる考えで、来年夏ごろには成果をまとめる。

参照元:UFO研究チーム設置へ(共同通信)

す、すっげ~!

と思うかもしれない。

 

しかし、この報道はまったく事実と異なる。

 

そもそもNASAはUFOに関する研究をするとは発表していない。

なぜこんな報道内容になったのかわからないが、NASAの公式ホームページで発表された正しい内容を紹介したい。

NASAが発表した内容

まず結論を申し上げると、NASAは未確認飛行物体:UFOについての研究ではなく未確認航空現象(unidentified aerial phenomena: UAPs)についての研究を開始すると発表している。

ざっくりと要約すると、NASAは以下のことを発表している。

  • 未確認航空現象(unidentified aerial phenomena: UAPs)についての研究を開始する。
  • UAPsの解明は国家安全保障や航空安全にとってとても大切である。
  • UAPが地球外起源であるという証拠はない。
  • NASAは他の政府内にある未確認航空現象調査機関に属していないが、連携して活動する可能性はある。
  • 調査結果についてはすべて一般に公開する。

 

NASAの公式ホームページで発表された英文を翻訳した文章がこちら。

NASAは、未確認航空現象(unidentified aerial phenomena: UAPs)、つまり、航空機や既知の自然現象とは特定できない上空の事象の観測を科学的見地から検討するため、秋口から研究チームに委託しています。

この研究では、利用可能なデータの特定、今後のデータ収集の最適な方法、そしてUAPの科学的理解を前進させるためにNASAがそのデータをどのように利用できるかが焦点となります。

現在、UAPsの観測数は限られているため、その性質について科学的な結論を出すことは困難です。

大気中の未確認現象は、国家安全保障と航空安全の両方にとって興味深いものです。

どの現象が自然なのかを確立することは、そのような現象を特定または軽減するための重要な第一歩となり、航空機の安全を確保するという NASA の目標のひとつと一致するものです。

UAPが地球外起源であるという証拠はありません。

「NASAは、科学的発見のツールが強力であり、ここでも適用されると考えています」と、ワシントンのNASA本部の科学担当副長官であるThomas Zurbuchen氏は言います。

「私たちは宇宙から地球を幅広く観測することができ、それが科学的探求の活力となっています。

私たちは、未知のものに対する理解を深めるためのツールとチームを持っています。

これこそが科学というものの定義です。それが私たちの仕事です」。

NASAは、国防総省の未確認航空現象タスクフォースや、その後継組織である航空物体識別管理同期化グループには属していません。

しかし、NASAは未確認航空現象の性質と起源を明らかにするために科学の手段をどのように適用するかについて、政府全体で広く調整している。

NASAの独立研究チームは、ニューヨークのサイモンズ財団の会長であり、ニュージャージー州プリンストンにあるプリンストン大学の天体物理学部長であった宇宙物理学者、デビッド・スペルゲル氏が率いることになる。

NASAの科学ミッション本部で研究担当の副長官補佐を務めるダニエル・エバンス氏が、この研究の指揮を執るNASA関係者として参加します。

「観測の少なさを考えると、私たちの最初の仕事は、単に私たちができる最も強固なデータのセットを収集することです」とスペルゲルは言いました。

「民間、政府、非営利団体、企業など、どのようなデータが存在し、他に何を集めればよいのか、どのように分析すればよいのかを明らかにすることです。

この調査は、約9ヶ月かかると予想されている。

この研究は、科学、航空、データ分析コミュニティの専門家の助言を得て、新しいデータを収集し、UAPsの観測を改善する最善の方法に焦点を当てる予定です。

「NASAの原則である公開性、透明性、科学的誠実性に基づき、この報告書は一般に公開される予定です」とEvans氏は言います。

「NASA のデータはすべて一般に公開されています。

私たちはその義務を真剣に受け止めており、誰もが見たり研究したりできるように簡単にアクセスできるようにしています。

この新しい研究とは関係ありませんが、NASAには、地球外の生命の起源、進化、分布に焦点を当てた活発な宇宙生物学プログラムがあります。

火星の水の研究から、タイタンやエウロパのような有望な「海洋世界」の探査まで、NASAの科学ミッションは、地球外生命体の痕跡を見つけるという目標で連携しているのです。

さらに、NASAの生命探査には、通過型太陽系外惑星探査衛星やハッブル宇宙望遠鏡などのミッションを使って、居住可能な太陽系外惑星を探すことも含まれます。

また、ジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡は、他の惑星周辺の大気から生命徴候を発見しようとしています。

NASAは、他の惑星からのテクノシグネチャー(宇宙空間における高度な技術の痕跡)に焦点を当てた宇宙ベースの研究にも資金を提供しています。

参照元:NASA to Set Up Independent Study on Unidentified Aerial Phenomena(NASA)

UAPsとUFOの違いとは?

UAPsとUFOの違いとはなんなのだろうか?

UFOは「unidentified flying object」であり、直訳すると「未確認の飛んでいる物体」となる。

対してUAPsは「unidentified aerial phenomena」であり、直訳すると「未確認の空中の現象」となる。

 

UFOは「物体」でなければならない。

  • 地球外生命体の乗り物
  • 未来人が乗っているタイムマシーン
  • 他国の謎の秘密兵器
  • 高性能ドローン
  • 飛行船、風船、鳥、観測機、人工衛星、惑星などの誤認

以上のような、いわゆる正体不明の物体のことを総合してUFOと呼ぶ。

 

対してUAPsは物体も含めたあらゆる空中の現象を意味する。

  • 地球外生命体の乗り物
  • 未来人が乗っているタイムマシーン
  • 他国の謎の秘密兵器
  • 飛行船、風船、鳥、観測機、人工衛星、惑星などの誤認
  • プラズマ、雷、雲、宇宙線などの気象現象
  • 目撃者の幻覚や幻聴
  • 一定の条件下で起きるレーダーなどの電子機器トラブル
  • その他、未確認の不思議な現象

 

UAPsは怪しげなオカルトではなく、確実に、事実として、観測され、報告されている。

これらを”怪しい話”と放置するのは、国家安全上よろしくない。

だって、UFOだと思ってたら敵国の秘密の爆撃機かもしれないし、そうじゃなくても何らかの原因があるならそれを解明しないと重大な航空事故につながるかもしれない。

だからこそNASAはUAPsの調査と研究に本腰を入れたってわけだ。

 

NASAはすべての情報を公開するとか。

いちオカルトファンとして、UAPsの正体がエイリアンクラフトだったら面白いんだけど。

 

それにしても、なぜ「NASAがUFO研究チームを設置する」という間違った報道がなぜ流れたのだろうか?

 

おそらく報道機関が「UAPsってなんだかわかりにくいな~。日本人にはUFOの方がなじみがあるし、そっちにしちゃえ!」と勝手に違う表現にしてしまったんだろう。

NASAの発表文には一言も「UFO」なんて記載されていないのに。

日本にもUAPsという言葉や概念が広く浸透すればいいんですけどね…。

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