雑学 食べ物

辛い食べ物を平気で食べるための5つの方法と激辛料理の危険性

2019年3月27日

最近はちょっとした「激辛ブーム」が起こっている。

テレビをつければ激辛グルメの特集で、芸能人や芸人たちが汗を流しなら激辛料理を食べまくっている。

「辛い食べ物を涼しい顔で食べる」ってことが何となくエライ、みたいな風潮もある。

 

では、どうしたら辛いモノを平気で食べられるのだろうか??

 

激辛料理を平気で食べるには

①料理の辛さを和らげたり、辛みを感じにくくする

②辛さに強い体質になる

という2つのアプローチがある。

 

今回はそれぞれのアプローチから、有効な「激辛料理を平気で食べる方法」を紹介しつつも、「激辛料理の危険性」も紹介したい。

辛い食べものが苦手でも平気で食べる方法

「辛いものを食べられるようになりたい!」

と思う人にもいろんな理由がある。

例えば”友達と激辛大食い勝負をするから”という理由もあれば、”取引先の社長との接待で50倍の激辛カレーを食べなければならない”というような異常事態だってありえる。

 

どうすればいいのか!!?

 

純粋に辛い食べ物が苦手で、だけど食べなければいけない状況になっているのあれば、自分が頑張るよりも食べ物の方の辛みを低減させればいい。

辛い料理の辛さを和らげる3つの方法

辛すぎる食べ物には、脂質の多い食品を混ぜて食べるのがオススメ。

たとえば激辛カレーには生卵を混ぜれば辛みが軽減するし、冷たい牛乳やラッシーなどの乳製品を飲みながら食べれば辛みが和らぐ。

 

その理由は、辛みの主成分であるカプサイシンが脂溶性(油に溶ける性質)だから。

 

乳製品や生卵は脂質が豊富。

この脂質にカプサイシンが溶け出して、直接舌を刺激するカプサイシンを吸着してくれるのだ。

激辛カレーには乳製品であるクリームやヨーグルトを混ぜても、その辛さが和らぐだろう。

以前、インドカレー店で調子に乗って激辛カレーを頼んだら、あまりにも辛すぎたことがある。

「かれぇぇぇ!!すげぇ、かれぇぇ~!」

と言っていたら、親切なインド人の店員さんがひょいっとカレールーをキッチンに持って行った。

テーブルに戻ってきたカレーは、比べ物にならないくらい辛くなくなっていた。

そのインド人店員さんのやさしさ、そしてカレーを辛くなくする技術に心底感動したのであるが…

思えばあの時も、カレーにクリームのような乳製品を混ぜていたのかもしれない。

また、熱々の料理であれば冷ましてから食べるのも有効だ。

辛みは熱々だと強く感じるし、冷たいと感じにくくなる。

 

でもまあ、辛いモノが苦手なら無理は禁物。

友達とみんなで激辛料理専門店に行ったから取って、必ず激辛麻婆豆腐を食べなきゃいけないなんてことはない。

正直に「辛い食べ物苦手なんで…」と普通の料理を食べる勇気も必要だ。

辛いモノを食べられるからといって自慢できるわけじゃないしね。

辛い料理の辛さを和らげる3つの方法

  • 料理に乳製品や脂質の多い食材を混ぜる
  • 舌を保護する脂質の多い飲み物を飲む
  • 冷ましてから食べる

次は、どうしても辛い料理が食べられない方のために、”辛い食べ物が食べられない体質”を改善する方法を紹介したい。

辛さが平気な体質になる方法

辛い食べ物が苦手な人は、舌の感覚神経が”辛み”に過敏に反応している。

だから辛い味覚が劇的な信号として脳に送られ、身体から汗が吹き出し、心拍数が上がり、舌先がヒリヒリして、めまいまでしちゃう。

それを防ぐには、結局のところ”辛さ”になれるしかない。

 

毎日、食べられるレベルギリギリの辛い料理を食べ続ける。

 

そうして「辛すぎる!」と思うレベルの辛さにも少しずつ挑戦していく。

それを続けることで、舌が辛さに鈍感になっていくだろう。

 

また、裏技として「亜鉛の摂取を制限し、故意に味覚障害を引き起こす」という方法もある。

大切なミネラル「亜鉛」は、不足すると食べ物の味がわかりづらくなってしまう。それを利用するわけだ。

もちろん、そこまでして辛いモノを食べる必要はないだろうし、そもそも辛いモノを美味しいと思わなきゃ意味がない。

故意に味覚障害を引き起こすなんて絶対やってはダメだ。

舌が辛さを感じなくするには、毎日、少しずつ辛いモノを食べ続けるのが有効。

食卓に一味唐辛子を常備しておこう。

辛い食べ物を食べると下痢をしちゃう場合

激辛料理に大量に入っているスパイスは、少量であれば新陳代謝を活性化させたり、食欲を増進させたり、さまざまな健康効果が得られる。

だけど一度に大量に摂取すると、胃や腸への刺激が強すぎて、粘膜を傷つけ、下痢を引き起こす可能性がある。

また、辛い食べ物を食べると、ついつい水を飲み過ぎちゃうことになる。

この水をたくさん飲む行為も、下痢の一因。

 

対策としては、激辛料理を食べる前に、食物繊維豊富な野菜や、脂質の豊富な食べ物を食べておくってこと。

具体的には、オイリーなドレッシングのたっぷりかかったサラダがオススメ。

牛乳が胃を保護してくれるっていう話もあるけど、脂質の方が効果的に胃腸を守ってくれるだろう。

水を飲むのもなるべく我慢!!

実は激辛料理を食べているときに水を飲むと、感じる辛さが増してしまうことがある。

辛い食べ物をたいらげるには、水を飲まずに一心不乱に食べ続けるのが、実は一番効果的な方法なのだ。

激辛料理で下痢を防ぐ方法

  • 食物繊維や脂質を一緒に食べる
  • 水を飲み過ぎない
  • そもそもスパイスを食べ過ぎないように気をつける

辛いモノを無理に食べると食生活がつまらなくなる理由

子どもの頃はみんなピーマンが苦くて食べられなかった。

だけど大人になると自然に食べられるようになるし、あれほど苦かったピーマンが美味しくすら感じちゃう。

 

これは大人になるにつれて味覚が鈍感になっているから。

 

そもそも食物に含まれる苦み成分は、ほとんどが弱い毒性を持っているという。(もちろん、健康を害するほどではないけど)

子どもはその毒性を敏感に感じ取り、苦みを感じる。

だけど味オンチの大人は、平気で食べちゃうわけだ。

 

生物としてみるなら、子どもの方が正しいといっていいだろう。

 

辛いモノを平気で食べたいからといって、毎日辛すぎる食べ物を食べ続けたら、スパイスの刺激で味覚と脳を破壊することになる。

唐辛子たっぷりの激辛すぎる食べ物を食べると、カプサイシンの成分が血中に入り、感覚神経から中枢神経を刺激して副腎からアドレナリンの分泌を促す。

このアドレナリンが興奮作用、皮膚・粘膜の血管収縮、消化管の運動低下、痛覚(辛み間隔)の麻痺を引き起こす。

辛いものを食べると脳内で快楽物質のドパミンも分泌されるし、辛いモノが大好きな人はドパミンやアドレナリンの分泌がクセになっている。

 

激辛依存症だ。

 

そう、辛いモノを食べ過ぎると、辛いモノは平気になるかもしれないけれど、それは辛さを辛く感じられなくなることでもある。

味覚が鈍感になれば、苦みを苦く感じなく、甘みを甘く感じなく、うま味をうまく感じなくなることになるだろう。

 

辛い食べ物が食べられない人は、味覚が敏感で繊細。

激辛料理を平気で食べちゃう人よりも、生物としての機能は上であるといえる。

逆に辛いものが大好きな人は日常生活で強いストレスを感じていて、それを辛いもので解消している可能性がある。

辛いものがやめられないのであれば、煙草やアルコールと同じように激辛依存症になっているかもしれない。

むりに辛いモノを食べず、辛くない美味しい食べ物をたくさん食べた方が、人生が充実するはずだ。

激辛料理を食べ過ぎると死に至るケースがある

事件は2018年のニューヨークで発生した。

激辛トウガラシの大食い大会で、「キャロライナ・リーパー」という凄まじく辛い唐辛子を食べたチャレンジャーの男性がぶっ倒れて病院に搬送されたのだ。

世界一辛いといわれているキャロライン・リーパー

 

その男性はトウガラシを食べまくった後、首から頭部にかけて激しい痛みを訴えていた。

病院で詳しく調べたところ、脳に繋がる大きな血管が狭まっていて血流が悪化していたという。

結果、トウガラシが原因の可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)と診断された。

 

RCVSはとんでもない頭痛がする疾患で、重症化すると死に至ることもあるとか。

通常は頭痛薬や違法薬物を服用しすぎたりすると発生する。

が、トウガラシに含まれる辛み成分カプサイシンも、血管の狭窄(狭くさせる)作用があるのだとか。

 

トウガラシを食べ過ぎると病院送りになる!!

 

激辛料理をわざわざ食べる必要がないのは明らかだ。

私の妻も頭痛持ちで、用法用量を守らずに頻繁に頭痛薬を服用していたら、とんでもない頭痛に襲われたことがある。

おそらくこれもRCVSだったのだろう。

「頭が痛いのに、飲むのがコワイ…」

それ以来、頭が痛くても飲み過ぎないように気をつけている。

辛いものは消化器官も破壊する

カプサイシンは少量であれば胃を活性化させて健胃、食欲増進の作用もある。

だけど食べ過ぎると胃壁を刺激しすぎて胃炎の原因にもなる。

腸の粘膜にダメージを与え下痢になってしまうこともある。

肛門付近にはカプサイシン受容体が分布しているので、カプサイシンを大量摂取すると痔が悪化する可能性もある

辛い食べ物を平気で食べる方法まとめ

では、激辛料理を食べる方法をまとめてみよう。

激辛料理を食べるための5つの方法

  • 料理に乳製品や脂質の多い食材を混ぜる
  • 舌を保護する脂質の多い飲み物を飲む
  • 冷ましてから食べる
  • 毎日激辛料理を食べ続ける
  • 亜鉛の摂取を控える(危険)

料理の辛さを和らげるには、料理に乳製品を混ぜたり、冷まして食べることが有効。

脂質の多い乳製品飲料も、カプサイシンの辛さを和らげる効果がある。

辛さに強い体質になるに、辛い食べ物を食べ続けて、味覚を破壊する必要がある。

毎日食べれば、少しずつ辛さも平気になっていくだろう。

 

…ただし!

 

激辛料理を食べすぎると、健康への悪影響も考えられる。

カプサイシンの過剰摂取で引き起こされる症状

  • 可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)
  • 流涙症
  • 鼻液漏
  • 排尿障害
  • 胃食道逆流症
  • 粘膜炎症
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 高血圧
  • 痔の悪化

辛い食べ物は美味しい。

多幸感が得られてストレス解消にもなる。

適度なスパイスの刺激は食欲を増進するし、新陳代謝を促進させてくれる。

ほとんどのスパイスは生薬としても活用されており、適量であれば健康維持に大いに貢献してくれるだろう。

 

だけど辛いモノの食べ過ぎは禁物。

今回「辛い食べ物を平気で食べる方法」を紹介したものの、辛い食べ物が苦手なら無理に食べる必要はないと思う。

それでも…たとえば総理大臣や大統領、会社のCEOなどの接待でどうしても100倍激辛担々麺を食べなければいけな危機的状況に陥った場合などは、今回紹介した知識を活用して欲しい。

 

昨今の激辛ブームの裏には、日本人全体の過剰なストレスが隠されているのかもしれない…。

[体験談]激辛ペヤングを食べて死にかけた話

今、からいもの好きの中で話題の「ペヤング激辛ファイナル」を食べてみたのだが…

結論から言うと、2口でギブアップした!!

 

わたしはどちらかというと辛いものが好きで、我が家のカレーはいつも市販のルーの中ではトップレベルで辛い「ジャワカレースパイシーブレンド」だ。

でも、結局はその程度の生ぬるい辛い物好きでしかない。

何度か有名な激辛料理ってやつを食べたことがあるけれど、(かれ~!こんなんよく食えるなあ~)なんて汗をかきながら、水を大量に飲みながら食べたもんだ。

だけど、そんな激辛料理だって食べられた。

英語で言うならcanとかbe able toで表現される「~することができる」という範囲。

”辛い物を食べることができる”

 

でも、

でもだ。

このペヤング激辛ファイナルは辛すぎて食べることができなかった。

英語で言うなら「Mission: Impossibl spicy final」といったところか。

辛い、という表現ではなく”痛い”が適切。

一口食べただけで泣けてくる。

このペヤングを無理に完食してしまったら、消化器系が破壊されるだろ!というレベル。

 

逆にこれほどの辛さを開発・販売したペヤングがスゴイ。

誤って目に入ったら失明するかもしれないし、胃腸を破壊されて血便が止まらなくなってしまう人もいるかもしれない。

そんな訴訟リスクを乗り越えてこんな恐ろしい食品、というか口に入れると危険な物質を販売するとは…。

 

結局、ペヤング激辛ファイナルは食べることができず、そのまま破棄した。

食べることができなかった敗北感よりも、9割残っている食べ物を捨てるという罪悪感の方が遥かにキツイ。

恐ろしく罪深い食品だ。

やはり激辛の食べ物は、心と体の健康のためにも興味本位で食べない方がいいみたいだ。

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