神戸大と海洋研究開発機構などのチームが、日本の南西にある海底火山「鬼界カルデラ」に超巨大な溶岩ドームが存在している、という内容の論文を英国の科学誌に発表した。
日本にはたくさんの火山があり、地震や火山活動が活発な国。その中でも鬼界カルデラは世界に7つあるというスーパーボルケーノにも数えられる、日本最大級の火山だ。
そんな鬼界カルデラを調査したところ、その地中深くの恐ろしい量もマグマが溜まっていることが判明した!!
もし鬼界カルデラが噴火したらの日本はどうなってしまうのだろうか?
鬼界カルデラは九州地方の縄文文化を壊滅させている
鬼界カルデラ(東西約20キロ、南北約17キロ)の縁にある薩摩硫黄島は近年も噴火を繰り返しているが、カルデラ中央部は海域にあり、大きな火山活動は観測されていなかった。しかし、研究チームは一昨年からの調査で、溶岩が水中に流れて冷え固まった跡などを発見。直径約10キロ、高さ約600メートルに及ぶ溶岩ドームの存在が明らかになったという。体積は320億立方メートル以上で、琵琶湖の水量(275億立方メートル)をも上回る。
参照元:底火山「鬼界カルデラ」に巨大な溶岩ドーム(読売オンライン)
日本最強の海底火山である鬼界カルデラを調査したところ、凄まじく大きな溶岩ドームが発見された。
しかもその溶岩ドームの体積が320億立方メートル以上!!
…なんかスゴイ。
だけど、この320億立方メートルをキロ立方メートルにすると32km3になる。
こう表現すると、ちょっとだけ落ちつける気がする。
では32km3の体積を持つ溶岩が巨大噴火をした場合、日本はどうなってしまうのだろうか?
それには、7300万年前に発生した鬼界カルデラの噴火を知る必要があるだろう。
7300万年前、鬼界カルデラでは超巨大な噴火が起き、当時の九州地方にあった縄文文化は軒並み壊滅したといわれている。
そのときの噴火での噴出物堆積は170km3だ。
今現在、鬼界カルデラに溜まっているのは32km3の溶岩。もちろん最低でも32km3なので、実際はもっと遥かに大量の溶岩が蓄積されているかもしれない。
とはいえ、7300万年前の170km3と比べると、その規模は5分の1程度となる。
「な~んだ、じゃあ日本は大丈夫かな?」
そう思ったとしたら、その判断は間違っていると言わざるを得ないだろう。
20世紀最大のピナトゥボ火山噴火との比較
20世紀最大の大噴火といえば、1991年のピナトゥボ山大噴火だ。
この大噴火でピナトゥボ山の頂上はぶっ飛んで消え去り、標高が1745メートルから1486メートルになってしまったというから、その恐ろしさが想像できるだろう。
ピナトゥボ火山の大噴火はフィリピンに大被害をもたらしたが、その影響は世界規模で発生した。
火山からの噴出物は成層圏まで届き、地球の平均気温が0.4度も下げたという。
この20世紀最大のピナトゥボ巨大噴火での噴出物堆積は10km3だ。
もう一度言おう、10km3で地球規模の気候変動が巻き起こった。
鬼界カルデラには最低でもこの3倍の32km3の堆積物が眠っている。
もしこれが爆発したとしたら…
単純計算でピナトゥボ火山噴火時の3倍の被害が発生し、地球全体の気温が1.2度下がるということになるだろう。
鬼界カルデラが噴火した場合に起こり得ること
もし、鬼界カルデラが大噴火を起こしたら?
九州地方でとんでもない被害を受けるのはもちろん、関東地方に住んでいたからって安全とは言えない。恐らく巻き起こった噴煙の影響は北海道まで届くだろう。
九州地方や沖縄は避難区域になり、住んでいる人たちは本州への移動を余儀なくされるかもしれない。それに本州や四国だって安全とは言えない。
噴火の影響により、私たちの生活基盤は徹底的に破壊されてしまうだろう。
まず火山灰の影響で日本全体で飛行機の運行がストップする。火山灰がエンジンに悪影響を及ぼすためだ。
鉄道も通常運転が難しくなるだろうし、道路状況もかなり悪化するだろう。
浄水場への降灰で飲み水が不足する、気温の低下、日照時間の低下で農作物が不作になる、火力発電や原子力発電にも悪影響を及ぼす。
また、日本全体に火山灰が降りかかることとなるので、健康被害も重大になる。火山灰はトゲトゲしいフォルムの粒子なので、目に入ったら目を傷めるし、気管支炎やぜんそくの原因ものなり得るだろう。
もし鬼界カルデラが本気で噴火したら、日本で生活していくことが困難になるはずだ。何年にわたって断続的に噴火した場合、復興への道はより困難になる。
鬼界カルデラが噴火する確率
鬼界カルデラが噴火したとしたら、日本国民が即座に壊滅するわけではないけれど、その被害は凄まじいものになるだろうし、日本で生活するのが困難な状況が数年は続く可能性がある。
では、鬼界カルデラはホントに噴火するのだろうか?
センター長の巽好幸教授(マグマ学)は「日本列島で巨大カルデラ噴火が起きる確率は今後100年間に1%だが、最悪の場合、約1億人の犠牲者が出るとされる」と話し、噴火予測に向けてマグマだまりの可視化をめざす考えを示した。
参照元:世界最大級、鬼界カルデラで神戸大確認 直径10キロ マグマだまり成長か(毎日新聞)
専門家曰く、鬼界カルデラの噴火が起きる確率は今後100年で1%だという。
さらに最悪の場合は1億人の犠牲者がでる。
個人的には1億人の犠牲者は言いすぎな気がするが、長期的に見れば最悪それくらいは犠牲者が出るかもしれない。少なくとも日本はまともな経済活動ができない国になるだろう。
100年の間に1%の確率。
これが高いのか低いのかはわからないけれど、今後の調査や研究によって巨大噴火の前兆を察知することは可能だろう。
そうすれば、事前に避難したり対策をすることで、被害を最小限にすることができるかもしれない!!
たぶん私たちが生きている内は噴火しないだろう…そう祈りつつも、もし噴火してもきっと日本は被害を最小限にできるし、それを乗り越えられるのではないだろうか。