音楽

カセットテープが復活の兆し!そのCDより優れた音質的なメリットとは?

2016年2月28日

かつて絶滅したと思われた音楽録音媒体「カセットテープ」が、少しづつ復活してきているという。

聞くところによると、アメリカでは人気ミュージシャンのCDとは別にカセットテープ版も発売されていて、それがけっこう良い売り上げらしい。

なぜ今更CDより音質的に劣るカセットテープなのだろうか?

ただの懐古主義かもしれないが、カセットテープがもつ唯一の音質的メリットを紹介したい。

カセットテープの人気が復活!?

欧米諸国では、アンダーグラウンド系の音楽シーンやインディバンドを中心に、にわかにカセットテープ・ブーム人気が沸騰中なのだとか。アメリカでは、ゴールド&プラチナムディスクを獲得したアルバムはカセットテープ版も発売されるケースが増え、実際にセールスも好調なのだという。

(中略)

音楽業界の関係者は、「テープだと音が違って聴こえる。昔はデモをテープに録音していたから、アーティストが最初に作ろうとしたオリジナルな音源が楽しめるんだ」と、デジタル音源では味わえないカセットの良さについて語っている。

出展:かつて愛用されていたカセットテープが復活の兆し! レトロでアナログな音質に注目が集まっているらしいぞ!!(ロケットニュース)

いま、改めてカセットテープが注目されている。

カセットテープは磁気テープに音楽を録音する、一昔前の音楽記録媒体。

音質はCDより悪いし、曲の頭出しも出来ない。

なぜ今更、カセットテープがブームになるのだろうか?

アナログにはデジタルにはない良さがある?

今の主流は音楽をデータとして持ち歩き、デジタル音楽プレイヤーで聴くというもの。

音楽CDをデータ化する際に、かなり圧縮するため、音質が劣化しているのは誰もが知っているだろう。

例えばMP3形式に変換する際には、人間の可聴範囲の外にある音はバッサリとカットしている。(一説にはこの聞こえない音にリラックス効果があるとかないとか)

その意味では、CDをカセットテープにダビングする際も、かなり音質が劣化しているのだけれど、そこはアナログ。デジタルな音質の劣化よりも、音が違って聞こえるのかもしれない。

いわゆるアナログの「音がやわらかくなる」という現象も、録音の際に高音がバッサリと失われていて、それがうまい具合に味になっているのだろう。

そういった特徴が、圧縮ミュージックを聞きなれた耳にとって、カセットテープの音質が新しく感じる理由なのかもしれない。

カセットテープが持つ、唯一の音質的メリット

カセットテープはCDのように曲を頭出しして自由に聴くことが出来ない。音質ももちろん悪い。何度も聴いているとテープが伸びて聴けなくなる。磁石の近くに置いたり、高温多湿のところに保管すると劣化する。

たくさんのデメリットがあるのだ。

そんなカセットテープが持つ、ほとんど唯一の音楽的なメリットは、自然な音のコンプレッション(圧縮)にあるだろう。

音がコンプレッションされると単純に迫力が増して聴こえるので、それほど品質の高くないスピーカーを使っていたり、小さいボリュームで音楽を聴いている場合、CDよりもイイ感じに聴こえる可能性はある。

 

たくさんの曲をipodに入れて、シャッフルで聴いていると、曲によってボリュームが違う事に気づかないだろうか?

ある程度昔に録音されたCDは音が比較的小さい。クラシックなどのジャンルも、ダイナミックレンジ(音量の幅)が広い為、トータル的には小さく聞こえる。

逆に最近レコーディングされたものは、とにかく大きな音量で録音することが良しとされているため、音量が大きくダイナミックレンジが狭い傾向にある。

この様に、デジタルCDには、CDごとに(もっと言うなら曲ごとに)デジタル特有の差異が生まれる。これはある意味では、0と1で構成されたデジタルデータの弊害といえるかもしれない。

 

対してアナログのカセットテープは、ある程度信号の大きな音が入ってくると、自然に圧縮されて均一な音になる。ナチュラルに音が”まとまる”のだ。

それは悪く捉えるなら、すべての曲がカセットテープというフィルターを通した後に、ある程度同じ色になってしまうという事かもしれない。しかし、その”色”には根強いファンがいる。

このアナログ特有のコンプレッション感は、プロの間でもファンが多く、いまだにアナログコンプレッサーを使っている人もいるし、わざとカセットテープにレコーディングしたものをデジタルに落とし込んでいる場合もあるのだ。

 

カセットテープで曲を発売する場合、楽器のレコーディングはすべてデジタルで行い、トラックダウン時にわざとカセットテープを使うことで、曲に独特のコンプレッション感と迫力を加味出来るだろう。そういった意味でも、いま改めてカセットテープの良さが注目されている…のかもしれない。(考え過ぎかな)

カセットテープ復活のまとめ

新世紀エヴァンゲリオンの第一話、主人公の碇シンジくんはカセットテープを聞きながら電車に揺られていた。

1995年の第一話放送当時は、MDが発売され、カセットテープが下降線をたどり始めた時期。しかしながら、エヴァンゲリオンの舞台は西暦2015年なのだ。

2016年の今は、まさにエヴァンゲリオンと同じ時代といえる。

シンジくんは懐古的に復活したカセットテープを聴いていたのではないだろうか?

 

では改めて、なぜ今カセットテープなのか?その理由をまとめてみよう。

①高音がカットされるカセットテープはまろやかな音質になるから。

②自然なコンプレッションが曲に迫力を演出するから。

③カセットテープ時代に青春を過ごしたおっさんが懐かしくてカセットを復活させようとしているから

④カセットテープを見たことのない若者が「なんかカッコいい!!」と思い、使い始めたから。

⑤熱狂的エヴァンゲリオンファンが、碇シンジくんを真似してカセットテープで音楽を聴いているから。

と、そんなところではないだろうか。

 

…カセットテープが復活するというなら、いつかベータやVHSも復活するかもしれないね。

 

*追記:シンジくんが聴いていたのはカセットテープではなく、DATのようです。DATはデジタル・オーディオ・テープの略で、カセットに似ているけれどデジタルで録音できるシロモノ。CDを作成するプロのレコーディングも、昔は記録媒体としてDATを使っていました。DATのポーダブル・プレイヤーを持っているなんて、シンジくんは金持ちか!!

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