口臭がうんこくさくなる、あるいはドブくさくなる。
信じられない話だが、これは本当の話だ。
実際にうんこくさい息を吐く人に出会ったこともあるし、知らないうちに自分もうんこ臭をまき散らしていた可能性だってある。
だけど…。
なぜ、口臭がうんこくさくなるのか?
大便は肛門から出るものであって、口から出るものではないはずだ。
…おしり探偵でもない限りは。
「ふぅむ、においますね」
今回は口臭がうんこくさくなる原因や、たくさんある口臭の原因、そしてサワヤカな息にするための方法を紹介したい。
口臭がうんこくさくなる根本的な原因
口臭の原因は大きく「生理的口臭」と「病的口臭」のふたつにわかれる。
生理的口臭は誰にでもある自然な口臭のことで、基本的に治療する必要はない。
加齢が原因の口臭や、朝起きた後の口臭、ニンニクを食べた後の口臭なんかも生理的口臭のひとつ。
対して病的口臭とは、何らかの疾患やトラブルが原因の口臭。
歯周病や虫歯はもちろん、胃腸の病気や糖尿病なんかでも口臭がキツくなることがある。
では、口からあふれ出るうんこ臭はどちらが原因か?
実は両方ともうんこ口臭の原因となる。
口臭の主な原因は、口内に残った食べ物のカス(主にたんぱく質)が嫌気性細菌によって分解され腐敗した際に発生するニオイ物質だ。
その口内に発生するくさ~いニオイ物質がこちら。
口内で発生する主な悪臭物質
- 硫化水素
- メチルメルカプタン
- ジメチルサルファイド
- インドール
- カストール
- 低脂肪酸
- 揮発性窒素化合物
なかでも硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドは揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds)と呼ばれていて、口臭の主な原因となっている。
これらの物質は、当然、全部クサイ!!
だが特筆すべきは、赤字で示した硫化水素、インドール、スカトールだ。
これらの物質は、うんこの臭いにも含まれている悪臭のもと。
口臭がうんこ臭い場合は、息の中に硫化水素、インドール、スカトールなどの物質が増加している可能性があるだろう。
では、どうやったらそれらの物質を息の中から除去できるのか?
うんこくさい息を爽やかにする技術
大切なことなので、もう一度、口臭の原因を説明する。
うんこ口臭は食べカス(たんぱく質)が嫌気性細菌によって分解され、腐敗して発生する。
つまり、食事の後にしっかり歯ブラシをして、口内の食べカスを除去すれば、口臭は発生しないこととなる。
「でも、食後にしっかり歯ブラシしているのに、ず~っとうんこのにおいなんです…」
そんな人もいるだろう。
たとえば歯周病が酷い場合や、舌苔を掃除していない場合は、口内の嫌気性菌が増加してしまう。
また、加齢やストレスなどで唾液の分泌が減ると、これまた口内細菌増加の一因になる。
あるいはブラッシングが下手で汚れが取り切れていないのかも。
とにかく、口からのうんこ臭の主な原因をまとめるとこうなる。
- 口内の汚れ
- 歯周病
- 舌苔
- 口の乾燥
それを踏まえたうえで、口臭を改善するための方法を紹介しよう。
丁寧なブラッシングでは不十分な理由と対策
あらゆる口臭に最も効果的なのが、丁寧なブラッシングだ。
ブラッシングをすれば食べカスは除去できるし、酷い歯周病も改善の方向に向かう。(というか、歯周病を治すには丁寧なブラッシングを行うしかない)
といっても、歯ブラシが下手で技術がない場合、1日3回磨いても歯の中に食べカスが残ってしまうことがある。
歯並びが悪かったりすると、さらにブラッシングが困難になってしまうだろう。
オススメは夜寝る前の1回を、すっごく丁寧にやること。
目安として、最低でも10分。
朝食や昼食後は、歯磨きを短時間でサッと済ませてもいい。
水やマウスウォッシュでうがいするだけでもいいし、時間的に無理ならしなくたっていい。
だけど、夜は超丁寧に磨く。
ゴシゴシと歯をこするのではなく、奥歯から1本ずつ1本ずつ、順番に、丁寧にブラッシングする。
歯1本に対して20秒くらい時間をかければ、トータルで10分くらいになるだろう。
ブラッシングで10分、けっこうメンドクサイかもしれないけど、そこで終わりじゃない。
次にフロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間を掃除する。
フロスは糸状のマウスケア・アイテムで、歯間ブラシは細~い針金に毛がついているやつね。
これは私が使ってるやつ。左がフロスで、右が歯間ブラシ。
フロスは100円ショップでいっぱい入ってるのを買ってきている。歯間ブラシはいろんなサイズがあるんだけど、歯と歯の間の隙間が広くないので、もっとも細い超極細を使用している。歯周病が進行して歯茎が下がってくると、太い歯間ブラシを使う必要があるだろう。
歯と歯の間は唾液が届かず、唾液による自然な殺菌作用も及ばない。
そのため、嫌気性菌が大いに活躍する危険スポットだ。
この部分のたんぱく質の腐敗を防ぐには、フロスが最適。
また、歯と歯の間の根元部分には、大きなスキマがあることが多く、ここも食べカスの腐敗ポイント。
ここには歯間ブラシが最適だ。
どちらか一方ではなく、両方使う。
そうすればうんこ臭のする息は改善されるし、歯周病の予防や改善にもつながる。
しっかりと歯と歯の間まで掃除したら、トータルで15分くらいはかかっちゃうかもしれないね。
舌苔を掃除する
おそらく90%以上の口臭は、丁寧な歯磨き+フロス+歯間ブラシで劇的に改善する。
だけどブラッシングしても口臭が減らない場合は、舌が原因の可能性がある。。
舌の上には”舌苔”(ぜったい)と呼ばれる白っぽい物質が付着している。
これはホンモノの苔じゃなく、細菌や食べカスが舌に付着したもの。
舌苔が大量発生していると、嫌気性細菌が増えまくり、口臭の原因になるのだ。
舌苔をとるためには、舌専用のブラシが効果的。
とはいえ無理に用意する必要はなく、普通の歯ブラシでも代用できる。
やり方は簡単で、舌の上をブラシでやさしくなでるだけ。
けっしてゴシゴシと擦ってはいけない。
注意したいのは、舌の根元の方や、舌の側面。
舌の前や真ん中部分は、だいたいみんなキレイにできているけど、舌の奥の方はブラシを突っ込むと「おぇっ!!」ってなっちゃうし、上手に掃除できていない場合もある。
嘔吐感を我慢して、舌の奥や、奥の両脇をサッとブラッシングしよう。
この舌磨きの際には、歯磨き粉は使ってはダメ。
研磨剤が舌を傷つける場合があるし、発泡剤で口の中がアワアワになると「おえっ!」となりやすくなる。
泡立たず、研磨剤が入っていない「口腔ケア用のジェル」であれば、舌粘膜を傷つけることなく、より効率的に舌苔を除去できるだろう。
口内の乾燥対策
唾液には殺菌作用があり、口内環境を整えてくれる。
だけど加齢やストレス、水の摂取不足など、いろんな要因で口内が乾燥してしまうことがある。
唾液が不足していると、雑菌が活発に活動するので強い口臭の原因になるだろう。
では、生活の中でできる、主な口内の乾燥対策を紹介しよう。
①食事での噛む回数を増やす。
噛むと唾液腺が刺激されて、唾液の量も増える。
②美味しいものを食べる。
美味しいものを食べるだけで、唾液線は活発になる。梅干しやレモンなんかの酸っぱいモノも有効だ。
③ガムをかむ。
これも唾液腺の刺激になるし、口内の感想を防いでくれる。
④水分をしっかり摂取する
体内で水分量が減ってしまったら、唾液の量も減ってしまう。
⑤休息やストレス解消
疲労、緊張、ストレスが原因で唾液が減っているのなら、しっかりと体調管理し、規則正しい生活やバランスの取れた食生活を心がけるようにしよう。
⑥マウスウォッシュを使う
唾液不足による口臭対策には、殺菌作用のあるマウスウォッシュもオススメだ。
超強力なマウスウォッシュの選び方
モンダミンやGUMなどの一般的なマウスウォッシュには、殺菌成分としてCPC(塩化セチルピリジニウム)が使われている。
これだけでも普通の口臭であれば十分だけど、より強力に殺菌したいのならCPCより殺菌力が強いCHX(クロルヘキシジン)配合のマウスウォッシュを使おう。
今までのマウスウォッシュで満足できなかった方も、CHXであれば強烈な口臭が低減するかもしれない。
うんこ口臭対策まとめ
では、口から発せられるうんこ臭の原因と対策をまとめてみよう。
うんこ臭の原因は、口内の嫌気性菌によって食べカスが腐敗するから。
硫化水素、インドール、スカトールなどがうんこ臭の元だ。
今すぐできる対策は3つ。
①丁寧に口の中をブラッシングしたり、フロスや歯間ブラシで掃除する。
②舌苔もちゃんと掃除する。
③お口の中が乾燥しないようにする。
これらのことを実践すれば、ほとんどのうんこ臭は消えてなくなる。
もしそれでもうんこ臭が消えない場合は…なんらかの他の原因があるかもしれないので、念のため歯医者で相談してみるのがいいだろう。
口臭の全知識とうんこ臭以外の口臭対策について
まずは、「口臭」と「口臭症」の違いについて簡単に説明しよう。
日本口臭学会では口臭を「本人あるいは第三者が不快と感じる呼気の総称」と定義している。
それに対して口臭症は「生理的、身体的、精神的な原因により口臭に対して不安を感じる症状」のことを指す。
変な話だけど、口臭に悩んでいるのなら、実際に口臭がなかったとしても口臭症となる。
口臭症の原因は幅広く、身体的な疾患が原因のこともあれば、統合失調症などの精神疾患で発生することもあるのだ。
そんなあらゆる口臭の原因をまとめてみよう。
生理的口臭
- 加齢性口臭
- 起床時口臭
- 空腹時口臭
- 緊張時口臭
- 疲労時口臭
生理的口臭は誰にでもあり、ある程度しかたのないこと。
生活習慣を改善したり、食生活を健康的にすれば、ある程度軽減するかもしれない。
ホルモンの乱れが原因の口臭
- 妊娠時口臭
- 月経時口臭
- 思春期口臭
- 更年期口臭
とくに女性に多い「ホルモンの乱れ」による口臭。
「命の母」みたいな、ホルモンの乱れにアプローチする医薬品を使えば、ある程度軽減する可能性はある。
嗜好品・食べ物・薬物による口臭
- ニンニク
- お酒
- 薬物
ニンニクなどの臭いが強い食べ物を食べると、それが胃や腸からいや~な臭いを発していると思うかもしれない。
だけどそれは間違い。
呼吸をするときは、胃の出口はフタをされた状態なので、臭いが漏れることはない。
ニンニクを食べて息が臭くなるのは、臭いのもととなる物質が消化吸収され、血中濃度が上昇した結果、肺でのガス交換の際に呼気中に排出されるから。
だからニンニクを食べると、呼気だけでなく汗などが臭くなる場合もある。
また、ダイエットも口臭の原因になる。
人気の「炭水化物ダイエット」などをすると、空腹時に体内で糖新生が行われる。するとその際に生じるケトン体によって血中濃度が上昇し、呼気中に排出されてアセトン臭をともなう口臭の原因になる。
すっごく緊張した時も、同様にアセトン臭をともなう口臭が発生する。
過度なダイエットやストレスを溜めない生活が口臭の予防になるだろう。
お口のトラブルが原因
- 歯周病や虫歯
- 口腔粘膜の炎症
- 舌苔
歯周病や舌苔は揮発性硫黄化合物を生産する細菌が増殖する原因になり、口臭を引き起こす。
これは先ほど紹介した「うんこ口臭対策」を行えば、ほとんどの場合除去できるはずだ。
耳鼻咽喉科のトラブルが原因
- 副鼻腔炎
- のどの炎症
- 悪性腫瘍など
強い口臭があり、これらの疾患も併発しているのなら、まずは耳鼻咽喉科でしっかりと治療しよう。
そうしないと、いくら歯磨きをしても口臭はなおらない。
内科的なトラブルが原因
- 糖尿病(アセトン臭)
- 肝疾患(アミン臭)
- 腎疾患(アンモニア臭)
それぞれの疾患で生成される成分の血中濃度が高まった結果、口臭の原因になる。
これも元となる疾患の治療がポイントだ。
心理的な要因による口臭
- 不安障害
- 身体表現性障害
- 統合失調症
- 妄想性障害
- 自己臭妄想
ある意味で一番厄介なのが「心理的な原因による口臭」だろう。
「自分の息を吸って臭そうな表情をした人がいた」という思い込みだけで、病的なまでに口臭を気にしちゃう。
他人が「え、ぜんぜんくさくないよ~」といっても、信じることができない。
もし心的な原因が思い当たるのなら、歯茎を傷つけるほど激しく歯磨きする前に、心療内科を受診する必要があるだろう。
口臭対策サプリメントがまったく効かない理由
最近では口臭対策サプリメントが増えてきているようだ。
ホントに効きそうならこの記事で紹介しようと思い、口臭サプリメントを4~5種類ほど確認してみた。
その結果、口臭サプリメントには口臭を軽減する効果がまったくないということがわかった。(もちろん、まったくの無意味というわけではないが…)
口臭サプリメントの成分内容を確認してみると、内側から口臭対策をするアプローチであることがわかった。
フィトンチッドとか、ポリフェノールとか、カテキンとか、乳酸菌とか、いろんな天然成分。
これらを飲むことで胃や腸の環境を改善し、息を爽やかにしようってわけだ。
先ほども説明した通り、たとえ胃腸で不快なガスが発生していたとしても、呼気に含まれて漏れ出ることはない。
もちろん便秘気味で腸内環境が悪くなった結果、血液内にニオイ成分が浸透し、それが肺で呼気に含まれて悪臭の原因になることもあるだろう。
もしそうだったら、口臭サプリメントも少しは効くはずだ。
だけど口臭のほとんどは、口内で発生した揮発性硫黄化合物などの物質であり、体内の環境なんてほとんど関係ない。
高い金をだして口臭サプリを毎日飲むくらいなら、毎日しっかり歯間ブラシやフロスをする方が100倍マシだろう。
ちなみに多くの口臭サプリメントにも含まれている乳酸菌は、ホントに歯周病を改善し、口臭を軽減する効果がある。
だけどそれは、あくまでも口内で使用した場合のみ。
たとえば乳酸菌のタブレットを口の中で溶かし、口内全体に乳酸菌を浸透させることで効果を発揮する。
飲んだら意味がない!!
もしどうしても口臭対策でサプリメントを使いたいのなら、飲むタイプではなく、口の中で溶かすタイプのタブレットを選ぶのがオススメだ。