今年、未来技術遺産に登録されたAIBO。このニュースを聞いて初めて未来技術遺産なんてものがあるんだ~と知った人も多いだろう。
未来技術遺産とは、最先端の技術でもって我々の生活を格段に便利にした伝説的革新アイテムを、後世に残すため”遺産”として登録し、保存しようというもの。
では、今までどんな未来技術遺産が登録されてきたのだろうか?
未来技術遺産登録アイテムの一覧
未来技術遺産は2008年から毎年選出されている。その内容は多岐にわたり、日本の科学技術の発展を垣間見ることが出来る。
今年登録された中に、あのロボット犬「AIBO」があった。ソニーがアイボのサポートを打ち切ったのは2014年の話。その時もちょっと話題になり、ニュースで取り上げられていた。アイボは飼い主の育て方により個性的に成長する。なので飼い主も愛着があり、サポートが打ち切られたことによりアイボ愛好家たちの間で衝撃が走った。ニュースでは故障して足があんまり動かないアイボが写っていて、ロボットなのに何とも言えない気持ちになった。
そんなロボットの未来を切り開いたアイボは、未来技術遺産にふさわしい商品だろう。
未来技術遺産に登録されるものは工業技術的な製品が多いが、中には生活の中で慣れ親しんだものが登録されいる場合がある。それらを一覧で紹介しよう。
- レーザーディスクプレイヤー
- 写ルンです
- カメラ付き携帯電話
- セメダイン
- 蚊取り線香
- ウォークマン
- ポケベル
- カシオのカード電卓
なんとも懐かしい商品が並んでいるが、これらの遺産的技術は形を変えて現在も活躍している。
未来技術遺産の進化
未来技術遺産に登録されているレーザーディスクは、CDとは比べ物にならないほどでっかい記憶メディア。CD並みの高音質と、ビデオテープを凌駕する高画質がウリだった。
あまりにも持ち運びや収納に不便で、ビデオテープほど普及はしなかったものの、マニアはアニメや映画をLDで集めていたものだ。
そして富士フィルムの写ルンですは、画期的な使い捨てカメラとして一世を風靡した。でもこれ、カメラではなく便宜的に”レンズ付きフィルム”ってことになっている。流通の関係でフィルムの方が都合が良かったという裏事情があるのだ。
そんなかつて世界を席巻し、今はもうあまり売られていない世界技術遺産の商品も、その技術は脈々と受け継がれている。そんな技術の変遷をみてみよう。
- レーザーディスクプレイヤー→DVD→ブルーレイディスク
- 写ルンです→チェキ
- カメラ付き携帯電話→スマホ
- セメダイン→セメダイン
- 蚊取り線香→アロマの香り付き蚊取り線香
- ウォークマン→MD→デジタルオーディオプレイヤー
- ポケベル→ガラケー→スマホ
- カード電卓→カード電卓
中には昔と変わらず、現在も第一線で活躍している商品もあるが、それはそれですごい。
「2番じゃだめなんですか?」
かつてこんな名言が流行ったことがあったけれど、これらの技術は2番を目指していたとしたら登場しなかったのではないだろうか。
これからの技術遺産
まだ登録されていない、未来に残すべき革新技術を使った製品といえば、思い浮かぶのはこれしかない。
1983年任天堂より発売された世界初の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」だ。
今までこのファミコンが未来技術遺産に登録されていないのがまったく理解できないが、いずれ必ず登録されるだろう。このファミコンがあったからこそ、今でもなお世界のゲーム業界で日本がリードできているわけだし、世界中の「遊び」の概念を変えるほどのインパクトがあったはずだ。
電子的なデータというのは、対応するハードがなければ再生できず、実はロストテクノロジーになりやすいという。対して原始的な記録媒体である石板や壁画などが、何万年も先に残りやすい特徴を持つ。
フロッピーディスクなんて、もうロストテクノロジーなのではないだろうか。
もし後何十年後かに、ファミコンソフトがあってもプレイするファミコンがない、なんて状況が来るとしたら恐ろしい。
そんな悪夢のような未来の到来を防ぐためにも、いち早く未来技術遺産に登録し、ファミリーコンピュータとそのソフトのロストテクノロジー化を防がなければならない。
10年、20年後には、こどもの頃にファミコンで遊ばなかったような老害たちは政界を引退し、こどもの頃ファミコンで夢中に遊んだ世代が実権を握るはずだ。そんなファミコン世代ならば、きっとファミコンを絶滅危惧種として手厚く保護してくれるだろう。