雑学

全人類の最初の母親はアフリカのたったひとりの女性と言われるが、彼女のご両親は誰なのか!?

2015年11月8日

全人類のミトコンドリアDNAを調べて、そのルーツをたどっていくと、アフリカのたった一人の女性に行きつくと言われている。

彼女は敬意を込めて「ミトコンドリア・イヴ」と呼ばれている。

では、ミトコンドリア・イヴが現存する人類の最初の母だとするなら、その母親はいったい何者なのだろうか?

ミトコンドリアが教えてくれる人類のルーツ

人類最初の母っていわれても、そんなのどうやってわかるの?

そう思うかも知れない。それを可能にするのが、細胞内に存在するミトコンドリアだ。

ミトコンドリアのDNAは必ず母親から子に受け継がれるという特徴を持っている。つまり、ミトコンドリアDNAを延々と辿って行けば、理論上は最初の母親にたどり着くわけだ。

では、そもそもミトコンドリアとは何なのだろうか?

ミトコンドリアとは?

まだ植物も動物も存在していないような超太古の時代。ミトコンドリアは酸素をエネルギーとする好気性細菌であった。

その時代は複雑な構造を持った生物はまだ生まれていなかった。凄まじく原始的な初期の真核細胞が存在したが、真核細胞にとって酸素は猛毒!

そこで真核細胞は、酸素をエネルギーとするミトコンドリアを取り込むことで、本来毒となる酸素をエネルギーに変える術を手に入れたのだ。

真核細胞とミトコンドリアはお互いに協力し合って生きる”共生関係”になったと言われている。

酸素をエネルギーに変える能力を手に入れた細胞は、それを足がかりに爆発的な進化を遂げた。

細胞と細菌の共生。どういう仕組かはわからないが、とにかく凄い!!

ミトコンドリア・イヴはすべての人類の母親ではない

この細胞内に住んでいるミトコンドリアが持つDNAは、母親から子どもへ伝えられる。父親のミトコンドリアDNAは子に伝えることが出来ず、そこで途絶える事になる。

通常の細胞が持つDNAであれば、母親と父親で半分ずつ子どもに遺伝する。これによって人類は多様性を育み、変な伝染病で全滅するリスクを分散させてきた。しかし、ミトコンドリアDNAだけは必ず母親から伝わるという、ちょっと特殊な特徴があるのだ。

 

母親からしか伝わらないミトコンドリアDNAをたどって行って行き着いた一人の女性、それがミトコンドリア・イヴだ。

しかしミトコンドリア・イヴが全ての人類の母親というわけではない。すべての人類の母方をたどっていって、たまたま最初にたどり着いた女性というだけだ。

きっと、その時代にも、イヴ以外にたくさんの女性がいただろう。それらの女性たちもこどもを産み、その子孫たちは今も生きているはずだ。だけど、その女性の子孫の間で「こどもが男の子だけ」の世代がたった1回あっただけで、ミトコンドリアDNAは簡単に途絶える。しかしそれは、ミトコンドリアDNAの繋がりが絶たれただけであって、その女性たちのDNAは子孫へと引き継がれていっているだろう。

ミトコンドリア・イヴはたまたま、子孫が連続して女の子を産み続けていたという事だけなのだ。

 

そこで思うのは、イヴの母親も同様に同じミトコンドリアDNAを持っていたのではないだろうか?という事。

ミトコンドリア・イヴの母親とは人間なのか?

ミトコンドリア・イヴのご両親は?

ミトコンドリア・イヴが全人類の母なら、その母親や父親はまだ猿人類みたいな存在で、何らかの理由で突然変異的にミトコンドリア・イヴが誕生し、そこから人類の歴史が始まった!

という考えは、まったくの間違いだろう。

ミトコンドリア・イヴが最初の人間!ってわけじゃなく、その両親ともに普通の人間だったはずだ。

全人類のミトコンドリアDNAの突然変異の経緯を調べ、地域ごとに似たグループに分けたりしながらも、そのルーツをたどって行っていく。そんな作業を繰り返し、一番最初に途切れずに行きついた先がミトコンドリア・イヴだったというだけの話なのだ。

ミトコンドリア・イヴの母親も、ミトコンドリア・イヴと同じミトコンドリアDNAを持っていたはずだ。もちろんそのおばあちゃんも。だけれど、ミトコンドリア・イヴの母親、おばあちゃんと女性の祖先をたどる必要はない。ミトコンドリア・イヴから枝分かれしたDNAが全人類に伝わっているのだから。

ミトコンドリアの脆弱性が人類絶滅のきっかけになる?

さて、余談ではあるが、オーストラリア北西部のコアラが絶滅の危機に瀕していると言われている。

その理由は、太古の昔に感染したレトロウィルスが原因。

この遺伝で伝わったレトロウィルスによって、ある種の病気に凄く弱くなってしまうのだ。オーストラリア北西部のコアラはすべて、このレトロウィルスを持っている。

 

哺乳類の「胎盤」も実はレトロウィルスの感染がきっかけで作られたと言われている。といっても、まだ恐竜が地球を闊歩している時代の話。哺乳類はネズミくらいの小型生物だった。この時に感染したレトロウィルスの影響で胎盤が作られ、それが人間を始めとした哺乳類全般に広まっている。

 

先ほどのコアラが絶滅寸前の危機に瀕しているのは、同じレトロウィルスに感染していて、多様性が失われたためだ。

ミトコンドリアと胎盤の存在に限って言えば、人類はまったく多様性を獲得していないという事になる。

 

もし全人類が持っているミトコンドリアDNAに脆弱性があり、そこをターゲットに感染するウィルスが存在したとしたら?人類はあっという間に絶滅してしまうかも知れない。

「人間は地球(ガイア)を汚す害虫だ!」

というような最後のボス的思想を持つマッドサイエンティストが、人間のミトコンドリアDNAだけを攻撃するウィルスを作ってばらまいたとしたらどうだろう?

人間以外のすべての生命は無傷で、”人間だけ”を地球上からあっという間に一掃できるだろう。

 

そもそも、人間が酸素を吸って活動をできるのはミトコンドリアのおかげ。

もし人類の寿命をミトコンドリアがコントロールできるしたら…

 

人類は太古の昔より無意識のうちにミトコンドリアに支配されているのかもしれない!

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