ニュースや雑誌などでたびたび取り上げられる、南海トラフ地震や東海地震。
なんだかわかりにくいけれども、これらは厳密には違う地震の事を指している。
南海トラフ巨大地震、東海大地震、南海大地震、そして東南海大地震、それぞれの違いとは何なのだろうか?
南海トラフ地震とは?
南海トラフ巨大地震とは、東は静岡沖から西は四国沖まで貫く「南海トラフ」を震源とした巨大地震の事を指す。
では東海地震とは何なのか?
気象庁によると東海地震とは、駿河湾にあるプレートの境界「駿河トラフ」を震源に発生するだろうと予想される大規模な地震の事を指す。
長大な南海トラフの東の端っこが駿河トラフ。つまり、東海地震は南海トラフ地震の一部という事になるのだ。
南海トラフ巨大地震は3か所の大規模な地震がワンセットになって発生するといわれている。
- 東海大地震(静岡沖)
- 東南海大地震(三重・和歌山沖)
- 南海地震(徳島・高知沖)
ではなぜ、3つの地震の中でも、特に東海地震が取り上げられることが多いのか?
それは南海トラフ地震の歴史を紐解けばわかってくる。
南海トラフ地震の歴史
南海トラフの地域は100年~150年くらいの周期で、規模の大きな地震が発生している。
1498年:明応地震
↓(107年後)
1605年:慶長地震(M7.9)
↓(102年後)
1707年:宝永地震(M8.6)
↓(147年後)
1854年:安政地震(M8.4)
↓(90年後)
1944年:東南海地震(M7.9)
1946年:南海地震(M8.0)
南海トラフ地震の歴史だ。直近だと約70年前に東南海地震と南海地震が立て続けに発生している。
もし南海トラフ地震が最短でも100年周期で発生しているとしたら、単純に考えて「あと30年は大丈夫じゃね?」と思うだろう。
しかし、事はそう簡単ではない。
先ほども説明した通り、南海トラフ巨大地震は「東海地震」「東南海地震」「南海地震」の3か所の地域で連動して地震が発生する。
実際、すべての南海トラフ地震で、3つの地域が連動して揺れているのだ。
しかし70年前の地震だけは違っている。
1944年に東南海地震、1946年に南海地震が発生したが、この時に駿河トラフを震源とする地震は発生していないのだ。
つまり東海地震は、1854年の安政地震で揺れて以来、160年以上発生していないということになる。ずっと歪みが解放されていない状態にあるのだ。
それゆえに、いま一番危惧されているのが東海地震、という事になる。
そしてもしひとたび駿河トラフを震源に東海地震が発生したとしたら…それと連動するように立て続けに東南海、南海地域も大きな地震が発生する可能性も高いといえるだろう。
160年間も地震が発生していない、だからこそ南海トラフの中でも東海地震がもっとも危険視されているのだ。
東海地震の対策は念入りに
もしこれから南海トラフのすべてが連動した巨大地震が発生するとしたら、最初に地震が発生するのは駿河湾を震源とした「東海地震」である可能性が高い。
そして東海地震が発生した場合、歴史を参考にする限り、短くて数時間、長くても数年の間に、東南海・南海地方でも巨大地震が発生する可能性が高いだろう。
東海地震は大規模な津波被害も想定されている。静岡や駿河湾周辺に住んでいるとしたら、津波からの避難場所を確認しておいたり、防災セットを用意したりといった災害対策を、他の地域よりも念入りにおこなうべきだろう。
(念のため、内閣府の防災情報のページ「東海地震対策」もチェックしておこう!)