「あと数十年のうちに、世界中に炎と洪水が大地を多い尽くし、人類は滅亡するであろう…!!」
と、AさんがBさんに語ったとしよう。
Aさんの不吉な言葉は、予言なのだろうか?それとも預言なのだろうか?
Aさんは予言者なのだろうか?それとも預言者なのだろうか?
予言者と預言者には明確な違いがある。
そして厄介なことに、Aさんの立場や発言の根拠によって、Aさんは予言者にも預言者にもにもなりえる。
予言者と預言者の違いとは何なのだろうか??
予言者と預言者のシンプルで明確な違い
予言とは「予(あらかじ)め言っておく」という意味を持っている。
超能力でも占いでもなんでもいいから、未来に起こる出来事を言い当てる人ことを予言者とよぶ。
預言とは「預(あず)かった言葉を言う」という意味を持っている。
誰の言葉を預かるかというと、それは神様。
宗教的指導者や司祭や巫女などの聖なる人物が神の言葉を聞き、それを人々に伝えることで宗教はできてきたわけだけど、この神の声を聞く人のことを預言者と呼ぶ。
(ちなみに脳の中にあるシルビウス溝を刺激することで神の声を聴くようなトランス状態を引き起こすことができるとか)
では、最初に登場した不吉な言葉を語るAさんは予言者と預言者のどちらなのだろうか?
人類破滅の言葉は予言か?預言か?
「あと数十年のうちに、世界中に炎と洪水が大地を多い尽くし、人類は滅亡するであろう…!!」
もしAさんが何らかの未来予知能力を持っていて、近い将来の人類滅亡のヴィジョンを見ていたとしたら、この言葉は予言であり、Aさんは予言者ということになる。
だけど、Aさんの前に神が現れて、或いは脳内に直接神が語り掛けてきて、近い将来に人類に悲劇が巻き起こることを告げたとしたら…。そしてAさんは神の代弁者としてそれをBさんに語ったとしたら、Aさんは預言者ということになる。
「人類が滅亡する!!」
と誰かが言ったとしても、その根拠によって予言か預言か変わってくるわけだ。
では、さらに予言と預言の違いについて見てみよう。
予言者と預言者の実例
「地震が起きるとてもクリアな夢を見た。テレビでは明後日のニュースがやっていた。明後日は地震が起きるぞ!」→予言者
「地震の体感があるので、あと3日以内に大地震起きるよ」→予言者
「私は2042年の未来からやってきました。2019年に富士山が噴火して東京は壊滅します。そのため東京オリンピックは開催されないでしょう」→予言者
このような時たまネット上を騒がす未来予知は、すべて予言者の言葉ということになる。
- 2019年~2020年 日本は”朝鮮半島の統合された国家”と平和協定を結ぶ。
- 2023年 日本に女性の天皇が現れる
- 2023年~2031年までに地球の気温が63度になる。
これは未来予知を予知できる超能力者ジュセリーノの言葉。
ジュセリーノは子どもの頃に夢に「助言者」という存在が現れるようになり、その助言者が未来を教えてくれるようになったという。
助言者が”神”であるならジュセリーノは預言者ということになるが…恐らく助言者は神ではなく彼の想像力の産物だろう。
というわけで、ジュセリーノは予言者に分類される。
五と四十度で空は燃えるだろう、
火が大きな新しい都市に近づくために。
瞬時に撒き散らされた大きな炎が爆ぜるだろう。
人々がノルマン人たちを試したいであろう時に。
ノストラダムスの予言書 第6巻97番
この文章はノストラダムスの予言書の一説で、一部のオカルティストによると9.11のテロの予言と言われている。
ノストラダムスは医師であり、ノストラダムスが活躍した当時の医術は占星術と密接に関係していた。つまりノストラダムスの予言書は占星術をもとにした占い集に過ぎない。
恐怖の言葉が並ぶ予言書は大ベストセラーになり、ノストラダムスはガッポリ稼いだといわれている。
この一説が未来を予知していたのか、その真偽は不明だが…ともあれノストラダムスは予言者ということになるだろう。
次に預言者の言葉を。
大地震が起きて太陽は粗い布のように暗くなり、月は血のようになった。
ヨハネの黙示録 6章12節
有名なヨハネの黙示録の一説。
なんとなく大地震が起きて世界中が大変なことになりそうな感じがする。
この言葉は予言っぽいけど、神の声を聞く偉大なる預言者ヨハネの預言ということになる。
モーセの十戒
➀他の神を信じてはならない
②偶像崇拝禁止
③神の名をみだりに唱えてはならない
④週の7日目を安息日とせよ
⑤あなたの父と母を敬え
⑥殺してはならない
⑦姦淫してはならない
⑧盗んではならない
⑨偽証言してはならない
⑩人の物を欲しがってはいけない
有名なモーセの十戒も、モーセ自身の言葉ではなく、神の言葉。
もちろんモーセも預言者。
予言は未来のことを語るけど、預言は未来に起こる出来事を語るわけじゃないのだ。
また、ある種の古代文明では巫女が麻薬成分のある薬草を服用して踊り狂い、トランス状態に持っていくことで神の声を聞く、という祭事を行っていた。
こういった巫女もまた、預言者。
日本では卑弥呼なんかも預言者だったのかもしれない。
予言者は未来を語り、預言者は神の声を代弁する。
予言と預言は発音は同じでも明確な違いがあるのだ。
予知と予言の違いとは?
では最後にに、余談ではあるものの「予知」と「予言」の違いについて、個人的な見解を語ってみたい。
予知とは、予め未来に起こる出来事を感知することではないだろうか。
予知夢や地震予知など、いろんな予知があるけど、未来を予知するだけであれば超能力を必要としない。
(あれ、なんか熱っぽいし、だるいし、風邪かも…?)
と自分の体調の変化を感じて未来を予測するのも、予知のひとつと言える。
自動車を運転していて、路駐している車の陰から人が歩いているのが見えて減速する…これも予知。
「ネコが顔を洗うと雨になる」なんて言い伝えも、予知のひとつと言えるかもしれない。
「なんか雲行きが怪しくなってきたら、傘を持って出かけよう」というのも予知だろう。
私たちは日々、予知しながら生きているといっていいのかもしれない。
では、予知と予言の違いは?
恐らく予言とは、予知を言葉にして人々に宣言することを指す。
(あれ、熱っぽいし、だるい。これは風邪ひくかも?てか、もう風邪ひいてるかも!?)
そう感じて友人に「俺は3日以内に太陽のような微熱と地獄のような悪寒を伴った風邪をひくであろう!」と語ったとしたら、これは予言になるのではないだろうか。
だとすれば、神の声を聞く預言者になるのは難しいかもしれないけれど、ちょっとした予言者になら誰もがなれるのかもしれない!!