松本人志氏がワイドナショーで自殺したアイドルについて「死んだら負け」と発言。
その後、Twitterでも同様の発言をツイートし、賛否両論が巻き起こっている。
賛同の声もあるものの、それと同じくらい批判の声も上がり、炎上状態になっている。
このような状態になることは、松本人志の20年前の著書「愛」で予言されていた。
松本人志のブレない思想がわかるとても良い文章なので、ちょっとだけ紹介したい。
なんだかんだ言うても、死ぬヤツはアホです
1998年に出版された松本人志の「愛」では、松本が”死”について持論を語っている。
そこで語られた自殺についての考え方は、20年前も現在も一切ブレていない。
その内容をかいつまんで紹介しよう。
あとね、いっつも思うんですけどね、死んだ者勝ちみたいなね、そう思うんですよ
まあ、しょうがないというか、当たり前なんかもしれんけど、例えば芸能人でもそうですけどね、ムチャクチャ言われてムチャクチャ書かれた人でも、なんか死んだらなんも言えへんし、それはもう気持ち悪いくらい美化する。
あれは絶対やめてほしいなあ。
(中略)
「あ、そうか、死んだらこんなに美化されるんや」てね、思いますもん。僕がいじめられっ子やったら、思うな。
「あ、死んだらこんなにみんなええように言うてくれて、かわいそうや、かわいそうや言われて、みんなこんなに優しいしてくれるんや」って、そら思いますて。
だから、自殺はいかんというけども、そっちのほうに絶対、問題が、100とはいわんけども、90以上はあると思うね。
だっていじめられっ子がテレビ見ててね、感じるんじゃないですか。
現に自殺した子はみんなの気持ちをこっちに引き付けられてるって。
(中略)
僕がもし、なんかそういうワイドショーのコメンテーターなら、悪役買って出て、「なんだかんだ言うても、死ぬヤツはアホです」っていうふうに言ってやりますけどね。
まあ、苦情の電話とかいっぱいかかってくるんでしょうけど。
ゴリゴリに笑いの求道者であった20年前には、ホントにワイドショーのコメンテーターをやるなんて想像もしていなかっただろう。
だけど、実際にワイドナショーのコメンテーターをやることになり、実際に「なんだかんだ言うても、死ぬヤツはアホです」という趣旨の発言をしている。
しかも苦情が殺到することも織り込み済み。
これはもう”予言”といっていいだろう。
う~ん、スゴイ!!
死んだら負け、だけど逃げたら負けじゃない。
今、死にたいと深刻に思っている人に「死んだら負け」なんて言葉はヒドイ!!
自殺の責任を被害者に押し付けている!
人生は芸能界とは違って勝ち負けじゃない!
などなど、いろんな批判の意見が巻き起こっている。
確かにその通りなんだけど、松本人志の「死んだら負け」発言は、自殺者を責めているというよりも、「死を美化する日本人固有の思想」そのものを批判している気がしないでもない。
昔から切腹とかもあるしね。
個人的には死んだ後に死を美化するのは別にいいとして、追い詰められて「死」ではなく「逃避」を選んだ人に対しても優しい社会であってほしい。
死んだら負け、だけど逃げたら負けじゃない。
いじめで学校に行きたくないのなら、行かなくていい。
不登校になるのもいいし、その他にもたくさんの選択肢があって、いろんな道がある。
そんな風に懐の深い社会になれば、自殺者は減るのではないだろうか。
「逃げるくらいなら切腹じゃぁぁ~!!」
そんな戦国時代から続くジャパニーズ・ハラキリ・カルチャーは、”逃避”を否定して”死”を美化している。
そしてそんなタフな侍魂は、良くも悪くも現代の日本人に脈々と受け継がれているってわけだ。
「逃げてもいいよ~」
「逃げたって大丈夫だよ。なんとかなるよ」
そんな優しい社会になって欲しいものですね。