九州大学と医療機関の共同研究で、1型糖尿病の発症にウィルスが関係していることがわかった。
1型と2型糖尿病にの違いや、糖尿病発症に関わると推測されているエンテロウイルスへの対策についてレポートしよう。
糖尿病を誘発するウィルスが!?
九州大学大学院医学研究院の永淵正法教授らは、ウイルス感染による糖尿病の発症に関わる遺伝子を発見した。ウイルスの増殖を抑えるたんぱく質の産生に関わる「TYK2遺伝子」が変異すると、糖尿病の発症リスクが2倍程度に高まることが分かった。糖尿病を起こすウイルスを発見できれば、ワクチンの開発につながる可能性がある。(参照元:日刊工業新聞2015年05月20日)
この様な研究結果が報道された。「ウィルスの活動を抑制する遺伝子を阻害する→糖尿病になりやすくなる」といった因果関係から、なんらかのウィルスが糖尿病に関係していると推測されるわけだ。
ではまず、糖尿病の症状と1型・2型糖尿病について簡潔に説明しよう。
1型糖尿病と2型糖尿病の違いとは?
糖尿病の症状
糖尿病は食事で血糖値が上がっても、血糖値を下げる効果のあるインスリンの分泌がうまくいかずに高血糖状態が続く病気だ。
手足のしびれや、めまいなどの症状を始め、失明の原因になったり、腎臓疾患で一生透析をしなければならなくなる場合もある。
糖尿病は自覚症状があまりなく、じわりじわりと進行し、取り返しのつかない症状を引き起こすとっても怖い病気。
そんな糖尿病には大きく1型と2型が存在する。
1型糖尿病
すい臓にあるβ細胞というインスリンを作る機能がうまく働かなくなる。こどもでも発症する可能性があるので小児糖尿病とも呼ばれていた。
発症原因は不明だが、自己免疫性疾患などが原因といわれている。
2型糖尿病
インスリンの分泌が減ったり、働きが悪くなって起こる。運動不足や食べ過ぎなど、ぐーたらな生活習慣が原因。
太っていると、この2型糖尿病になりやすくなるといわれている。
もともと1型糖尿病の発症にはウィルスが関わっているのではないかと言われてきた。
どんなウイルスが糖尿病の原因になるのだろうか?
1型糖尿病を誘発するウィルスとは?
すい臓のβ細胞が破壊されて発症する1型糖尿病。その原因の1つに「エンテロウイルス」の感染が関与しているようだとマウスを使った実験で分かった。米国マサチューセッツ大学の研究グループが、糖尿病の専門誌ダイアベーツ誌の2015年4月号で報告した。
エンテロウィルスが糖尿病の原因かも?やばい!エンテロウィルスから逃げなければ!!どこにいやがるんだエンテロウィルス!!!
とにかく、落ち着いて聞いてほしい。エンテロウィルスはそこらじゅうにいるのだ。
しかしエンテロウィルス感染、即糖尿病発症という事ではない。
例えば手足口病を引き起こすウィルスもエンテロウイルスの一種。すごく一般的なウィルスで、アメリカでは1年で1000万から1500万人ほどの感染症の原因になっているとみられている。
エンテロウイルスが感染した場合の症状は風邪に似ている。発熱やだるさ、咳など。そして放っておいてもほとんどの場合勝手に治る。
そんなエンテロウィルスがなぜ糖尿病の原因になるのだろうか?
それはエンテロウィルスが自己免疫機能に誤作動を誘発するからだ。
エンテロウィルスがすい臓に感染→すい臓に対して自己免疫機能が攻撃を開始する!→インスリンを生み出すβ細胞が破壊される→糖尿病!
あくまでも推測の域を出ないが、ウィルスはそんな手順で糖尿病の原因になるという。
最初に紹介した実験では、ウイルスの増殖を抑えるたんぱく質の産生に関わる「TYK2遺伝子」をわざと働かなくさせた。その結果ウィルス感染であっという間にβ細胞が破壊さて、糖尿病になってしまったという。
糖尿病を起こすウィルスは未発見であり、エンテロウィルス原因説も可能性があるという話に過ぎない。しかしエンテロウィルスや、その他のありふれたウィルスが感染することで糖尿病になる事は十分にあり得る。
では、どんな対策があるのだろうか?
エンテロウィルス対策法!!
エンテロウィルスは症状もそうだけど、対策も風邪に似ている。
どこにでもいる、ありふれたウイルスなので、完全に触れないようにするなんて出来ないのだ。
- よく手を洗う。
- 肉類はよく火を通す。
- バランスの良い食事や睡眠をとることで、身体の抵抗力を高める。
そういった基本的な生活習慣で、エンテロウィルスから自分を守ることが出来る。
エンテロウィルスから身を守って、糖尿病にならない健康的な生活習慣を心がけよう。
ちなみに日本での糖尿病の実に9割以上を占めるという2型糖尿病は、食べ過ぎや酒の飲みすぎ、運動不足が原因。太ってる人の方が発症リスクが高いという調査結果も出ている。
肥満の人は糖尿病予防の為に神経症的に手を洗うよりも、まず痩せよう!!