「嫌われる勇気」という哲学書がベストセラーになっているが、お隣の国韓国でもこれまた大ヒットしているらしい。
この本はアドラー心理学について対話式に優しく書いた本で、実に面白い。
その中でも感銘を受けた部分がある。
「人の幸福とは何か?」
という問いに対する回答だ。
人それぞれ様々な答えがあるであろう問いに、アドラー心理学ではシンプルで力強い答えを用意していた。
果たしてどんな答えなのであろうか?
ベストセラー哲学書「嫌われる勇気」とは?
嫌われる勇気は日本ではあまりメジャーではないアルフレッド・アドラーという心理学者の考え方について書かれた本だ。
日本でも有名な心理学者ユングやフロイトは「原因論」を根本とした考え方の心理学。
原因があり、結果がある。過去の原因が現在に影響を与えているという考え方。
過去のトラウマを解消する事で現在を癒す、どちらかというと文系的な考え方だ。
対してアドラーの心理学は「目的論」に立脚している。
まず最初に目的があり、それを達成するために現在の状況があるという考え方。
けっこう理解するのに抵抗がある。
トラウマの存在を真っ向否定する、どちらかというと理系な考え方だ。
印象としてはアドラー心理学の方が理論的で理知的な印象を受ける。
自分と自分の感情とを一歩引いてみているようなクールさがあり、悪く言えばちょっと優しさに欠けるような…そんな感じだ。
そんなアドラー心理学では他人からの承認欲求を完全否定している。
アドラーは他人から認められたいという欲求を捨て去るべきだと唱える。
他人から嫌われることが、自由なのだ!嫌われる勇気を持て!と。(ちょっと乱暴な説明だけど)
そんな風に「嫌われる勇気」ではアドラー心理学について、たくさんの事をわかりやすく説明している。
そんな中でもひときわ凄いなぁと思ったのは「幸せとはなにか?」という問いに対して、シンプルで明確な答えを出している点だ。
幸福とは貢献感の事である!!
アドラーの唱える幸せの3つの条件というものがある。
- 自己受容
- 他者信頼
- 貢献感
自分をオッケーと思える事、仲間を信頼出来る事、所属するコミュニティに貢献すること、この3つだ。
アドラーはまた「人は自分に価値があると思えた時だけ、勇気を持てる(自分を好きになれる)」とも言っている。
そして、自分に価値があると思える時というのは、貢献した時に他ならない。
先ほどの3つの条件をよく見てみると、貢献感を土台にして自己受容と他者信頼が存在することに気づく。
「幸福=貢献感」
ちょっと極端な話だが、人間はより大きな共同体のために貢献するとき幸福を得ると言ってもいいだろう。
承認欲求での貢献はダメ、そして貢献する共同体は「家族→地域→社会→国→人類→地球→宇宙」の様に大きければ大きいほど良い。
そしてアドラーは「迷った時はより大きな共同体の声を聞け!」というアドバイスをする。
家族や大切な仲間たちのために戦う主人公と、より大きなものを守るために人類を滅ぼすことに決めたラスボス。
このありがちな構図も、アドラー的に解釈すればラスボスの方が圧倒的に正しいという事になるだろう。
大金持ちになって不幸になった人はたくさんいる。
権力者になって不幸になった人もたくさんいる。
異性にモテモテでも不幸になった人もたくさんいる。
だけど、みんなに貢献して不幸になった人は、そんなにいない気がする。
幸福=貢献。あながち間違ってはいないだろう。
その他にもあるよ!「嫌われる勇気」の中の名言たち
嫌われる勇気を読んでいるとハッとするような一文にたびたび巡り合う。それを少し紹介しよう。
- 突発的な怒りでさえ、まず達成したい目的があり、そのために使う道具に過ぎない。
- 人が不幸なのはそれを自分で選んでいるから
- ダメな自分に甘んじているのは、その生き方が勇気を必要としないから。
- 不幸自慢は、自分の不幸を武器に相手をコントロール、支配しようとする。
- 健全な劣等感は他者との比較ではなく、
理想の自分との比較から生まれる。健全な努力のできない劣等感は劣等コンプレックスとなる。 - 人間関係で困難に遭遇したら「より大きな共同体の声を聞く」
- 介入はしないで「援助」する。
- 勇気づけ=相手の課題に踏み込まず、横の関係で援助すること。
- 自らの生について自分が出来るのは、
自分の信じる最善の道を選ぶこと。 - 承認欲求によって得られた貢献感には自由がない。
- 普通であることの勇気を持つ
- 人生最大の嘘は、今ここを生きないこと
人生を切り開くヒントにあふれた納得のベストセラー「嫌われる勇気」。
未読の方は是非ご一読をオススメする。