我々が普段感じている怒りの感情。実は怒りという感情も大きく2種類にわけられるという。
①衝動的怒り
②戦略的怒り
これらの怒りの内容と、それをコントロールする術はあるのか検証しよう。
怒りという感情の種類と制御方法について
怒りという感情は、生存に密接に関わっている。怒ることで動物は様々な闘争をサバイブしてきたのだ。そんな怒りも社会性を持つ人間においては、コミュニケーションのひとつとして利用されている。
2種類あるという怒り、それはどういった事柄に向けられる怒りなのだろうか?
衝動的怒りとは?
衝動的怒りとは、危険に対応する為の本能の怒りだ。自分の身を守るための怒りと言っていい。
怒りによって恐怖を抑え込み、敵と対峙する。それによって生存の可能性を上げる。
脳内ではアドレナリンが分泌され、いつでも素早く動くことが出来るように全身の筋肉が緊張状態となる。心拍数は上がり、全身の血流は増加。これも戦う、或いは逃げる為の準備だ。
衝動的怒りは動物の本能に身を任せた、生存本能の怒りと言っていいだろう。
戦略的怒りとは?
戦略的怒りは、本能ではなくある種の目的を遂行するための「怒り」、コミュニケーションとしての怒りと言ってもいいだろう。
戦略的怒りはさらに4種類に分類される。
①防衛回避のための怒り
「おれは悪くない!あいつが悪いんだ!!」
といった責任回避、自己の正当性の主張、つまり自分を防衛するための怒り。
いわゆる逆ギレ、というのも「防衛回避のための怒り」に分類される。
②強制の怒り
「なんでお皿洗ってないのよ!なにやってたの!?」
といった、上下関係を明示し、相手をコントロールすることを目的とした怒り。
上司の部下への叱責や、母親の子への怒りなども「強制の怒り」に分類される。
③制裁報復の怒り
「この恨み…はらさでおくべきか…」
といった憎しみ色の強い怒り。或いは不正をした会社に対する義憤なども含まれる。
悟空はフリーザにクリリンを殺されてスーパーサイヤ人に変身したが、その怒りは「制裁報復の怒り」に分類される。横領した犯人や政府に向けられる怒りなんかも、この制裁報復の怒りだろう。
④自己表現の怒り
「バ…バカにするなッ!!!」
自分の自尊心を傷つけられた時の怒り。
自分を振り返ってみればわかると思うが、戦略的怒りの中で最も激しい怒りと言っていいだろう。
いわゆる突然「キレる」といった怒り方は「自己表現の怒り」に分類される。衝動的怒りと似ているが、その根本原因が肉体的危機ではなく、自分自身の尊厳に由来するところが大きく違う。
怒りの制御方法とは?
この平和な世の中、自分の命を脅かすような出来事にはそうそう遭遇するものではない。つまり、衝動的怒りというのはあまり感じる機会がないという事。
普段我々が感じる怒りのほとんどすべてが「戦略的怒り」だということになる。すると、ある一つの回答が導き出される。
つまり「怒りはコントロール可能である」という事。
ではどうやったら怒りをコントロールできるのか?
それは人間だけが持ち得る、もっとも素晴らしい脳力のひとつ、「理性」の力を発揮するしかない。
腹が立ったら、何か言ったり、したりする前に十まで数えよ。それでも怒りがおさまらなかったら百まで数えよ。それでもダメなら千まで数えよ。 ジェファーソン
こんな名言がある。怒りを覚えたらまず落ち着けと。
湧き上がる怒りを理性を以って、客観的に捉えてみる。
数を数えるよりもオススメなのは、腹が立ったら「自分の怒りが戦略的怒りの中のどの怒りに分類されるのか考えてみること」と「怒りの目的を考える」という事だ。
怒るには何か人間関係を変えたいという目的がある。そんな目的がなければ、すぐさま衝動的に攻撃を開始するか逃げているだろう。
怒りの目的がわかったら(よく考えないとわからないかもしれない)その目的を遂行する、もっとスマートでクールな方法を考えてみる。
たしかにその問題は「怒り」をぶつける以外に解決の方法も糸口もないものに見えるかもしれない。それでもなお、怒りによる目的遂行はデメリットが多すぎる。
それは怒りを我慢するってことじゃない、もっと違う方法で目的を達成するという事だ。
怒りに身を任せた人生は、本当の自分の人生ではないのではないだろうか…。
また、理性以外にもセロトニン不足が怒りの感情を抑えられない原因になっている場合がある。
セロトニン不足の改善については下記の記事を参考にしてほしい。