PS4のドラゴンクエスト11を98時間もかかってやっとクリアしたので、ドラクエ1からドラクエ10まですべてクリアしてきたおっさんがプレイ後の感想を書きたい。
勇者とは何だったのか?
「過ぎ去りし時を求めて」という副題の意味は?
ロトの勇者や過去のドラクエとのかかわりは?
思いっきりネタバレありなのでまだプレイしていない方は気をつけてね!!
ドラゴンクエスト11の勇者とは何か?
まずは率直な感想を述べると、ドラゴンクエスト11はめちゃくちゃ面白かった!!
ドラゴンクエストは3・4・5が好きな懐古主義的なおっさんだけど、ドラクエ11はそれらに引けを取らない面白さだった。ある意味では、最高傑作と言っていいかもしれない。
その理由とクリア後の感想をネタバレありで紹介したい。
そもそも、ドラゴンクエスト11は、今までのドラクエとは違う集大成的な作品になるであろうという予感がしていた。そのため、プレイする度に「おれにとって、これは最後のドラクエになるかもしれない…」と襟を正し、テレビ画面の前に正座する心意気で”真剣”に遊びまくった。
その理由は3つ。
①ドラクエ御三家が揃う最後の作品である可能性が高いこと。
②ロトの剣が登場していて、過去作品と関係があることが示唆されていること。
③主人公が勇者であると明言されていることだ。
ドラゴンクエスト・シリーズは、ファイナルファンタジー、女神転生、テイルズなどの他の大作RPGシリーズとは違う大きな特徴を持っている。
それは、シナリオ堀井雄二、キャラクターデザイン鳥山明、音楽すぎやまこういち、3人が絶対にかかわっているということ。だからこそ、ドラクエは”ドラクエらしさ”を常に保つことができていた。
だけどシリーズが30年以上続いているだけに、全員が60歳以上!特にすぎやまこういち先生は80歳以上のご高齢。そのため、直接的にかかわるのはドラクエ11が最後と言われている。
次の作品では”すぎやま公房”のスタッフが作曲を手掛けるかもしれないけれども、すぎやまこういち本人はもう関われないだろう。だって、ドラクエ12が例えば5年後に発売すると仮定したとしても、90歳を超えてしまう。
1986年に発売されたドラクエ1から続いてきた3人の仕事もドラクエ11で最後。これは、ドラクエ11の内容自体にも大きな影響を与えているに違いない!!
さらに、発売前に公開されたPVをみると、明らかにロトの剣と思われる武器が登場する。冒険する大陸もロトゼタシアという名前だし、ロト・シリーズとの繋がりをに匂わせる。
決定的なのは、主人公が勇者であることそのものだ。
穏やかなイシの村で育った主人公は16歳となり、村のしきたりである成人の儀式にのぞむ。
そして自分は、かつて世界を救ったとされる「勇者」の生まれ変わりであり、大きな使命を背負うものだと知る。
勇者とは何か、勇者の使命とは何かを知るために故郷を旅立つ。
これはスクエニの公式ホームページに記載された、ドラゴンクエスト11のストーリー紹介。
ドラクエ11では最初の段階で主人公=勇者と明言されていて、主人公は勇者とは何かを知るために冒険の旅に出る。
ドラクエの主人公=勇者というイメージがあるかもしれないけれど、実はそうでもない。
過去のドラクエの主人公を振り返ってみるとこうなる。
ドラゴンクエスト1の主人公=勇者ロトの子孫
ドラゴンクエスト2の主人公=1の主人公の子孫である3人の王子と王女
ドラゴンクエスト3の主人公=伝説の勇者ロト
ドラゴンクエスト4の主人公=勇者(天空人と人間のハーフ)
ドラゴンクエスト5の主人公=勇者の父親
ドラゴンクエスト6の主人公=レイドックの王子(勇者は職業のひとつで、誰でも転職できる)
ドラゴンクエスト7の主人公=漁師の息子(勇者は職業のひとつで、誰でも転職できる)
ドラゴンクエスト8の主人公=近衛兵(実は龍神族と人間のハーフだけど作中で勇者と呼ばれることはない)
ドラゴンクエスト9の主人公=天使(DSによるマルチプレイ前提のため主人公は勇者になることはない)
ドラゴンクエスト10の主人公=特殊な力を持つエテーネの民(主人公とは別に勇者姫アンルシアが登場する)
ドラゴンクエストシリーズで、主人公が明確に勇者とされるのは、実は1作目~4作目しかない。
ドラゴンクエスト11はシリーズの中でも珍しく、勇者であることにスポットを当てた作品なのだ。
そのストーリーをネタバレで簡潔に紹介しよう。
16歳になった主人公は自分が勇者の生まれ変わりであると告げられ、勇者について、そして勇者の使命について知るために、デルカダールの国王に会いに行く。しかしそこで「勇者は悪魔の子だ!」と迫害を受け、追われる身となり物語が動き出す。
それから主人公は仲間を集めつつ、世界が魔王ウルノーガによって危機に晒されていることを知り、世界を救うために駆け巡る。
6つのオーブを手に入れ、勇者の秘密を知るために”命の大樹”に向かう勇者御一行。しかし命の大樹を前にして魔王ウルノーガに襲われ、勇者の力を奪われてしまい、世界は崩壊してしまう。
崩壊した世界。勇者の力を失った主人公は、それでも諦めずに仲間を集め、勇者の力を取り戻し、ついに魔王ウルノーガを倒すのであった!!
超簡単に説明するとこうなる。
勇者とは諦めない者のこと
魔王ウルノーガに勇者の力を奪われたばかりか、勇者の剣を奪われてしまう主人公。魔王の魔力で命の大樹は枯れはて、世界は暗黒の雲に覆われて、魔物が溢れる闇の世界に変貌する。
すべてを失った主人公は、海底王国ムウレアの王女セレンに助けられていた。
数カ月ぶりに目を覚ます主人公。しかし海底王国にも魔王の手は伸びていて、魔王軍の襲撃を受けることに!!
王女セレンは唯一の希望である主人公だけを、魔王の目の届かない遠くの海へと逃がす。
その別れの際に、セレンが主人公にかける言葉が胸を打つ。
セレン「前を向きなさい。振り返ってはなりません。勇者とは…
…勇者とは!最後まで、けっして…あきらめない者の事です!」
ドラクエ11のストーリー紹介では「勇者とは何か、勇者の使命とは何かを知るために故郷を旅立つ」とあった。
勇者とは何なのだろうか?
それがドラクエ11の根幹あったのだ。
そして「勇者とは何か?」という疑問を持ちつつ、今までプレイしてきた。
ドラクエ11で描かれる勇者とは、世界の危機に生まれる”命の大樹とつながる力を持った者”のことだ。そんな”勇者のチカラ”はとても便利なもので、襲ってくる魔物を雷で黒焦げにすることもできるし、追手から逃げるために深い滝つぼに飛び込んでも不思議な力で守ってくれる。なんとなく反則的な”便利な力”として描かれていた。
でも、この勇者のチカラに対する不自然な描かれ方は、すべて伏線だったのだ!!
魔王ウルノーガに勇者のチカラを奪われ、勇者の証である左手の紋章も消えてしまった元勇者。仲間も、特別な力も失った主人公が、それでも魔王に立ち向かう。
最期まで、けっしてあきらめない勇気を持っている者、それこそが勇者なのだと。
特別な力を持たない者が、勇気という武器だけを手に、魔王をぶっ倒すのだと。
正直、震えたね、この展開には。
普通に考えれば、主人公は勇者の力を取り戻して、その力でもって魔王を倒すのだろう。だけど、ドラクエシリーズの集大成として”勇者の在り方”を問うたとき、勇者とはただ勇者の血筋だからってわけじゃなく、あきらめない勇気を持った者なのだと、それがドラクエ11における勇者の答えなんだと、そう思ったね。
で、実際どうなったかというと…主人公は無事に勇者の力を取り戻して、その力でもって魔王を打ち砕くという普通の展開に!
…フゴッ!!
ちょっとがっかりしたものの、ドラクエ11を最後までクリアした後には、その考えすら浅はかであったと感動と共に思い知った。
ドラクエ11とロトシリーズとの繋がり
ドラクエ11は魔王ウルノーガを倒すとエンディングを迎えるものの、そこから第2章とも呼ぶべきストーリーが展開していくことになる。
そのストーリーをめっちゃ簡潔に紹介するとこうなる。
魔王ウルノーガによって世界が崩壊する直前、ベロニカは自分の命を懸けて仲間を助けていた。
死んでしまったベロニカを救うため、崩壊した世界から崩壊する前の世界へと”過ぎ去り時を求めて”過去に戻る決断をする主人公。
過去に戻った主人公は、命の大樹を守り、世界の崩壊を食い止める。魔王ウルノーガも倒せたし、ベロニカも生きているし、世界に凶悪な魔物が溢れることもなくなった。
しかし、ウルノーガよりも凶悪な邪神ニズゼルファが復活してしまい、世界は再び混迷する!!
主人公は先代勇者ローシュの過去を求め、ニズゼルファを倒す手がかりを得る。
そうして復活した邪神ニズゼルファをぶっ倒し、世界には再び平和が戻ったのであった!!
めでたしめでたし。
ドラクエ11のオープニングムービーのラストでは、命の大樹が光り輝くドラゴンへと変化し空へと飛び立つシーンが挿入されている。
このドラゴンの意味が、エンディングで明らかとなる。
命の大樹の正体は、かつてニズゼルファに闘いを挑んで敗れ去った聖なるドラゴンだったのだ。ドラゴンは命の大樹へと姿を変え、ニズゼルファを倒すものが現れるのを待っていた。
エンディングで主人公は聖なるドラゴンから、ロトゼタシアを救った勇者として「ロトの勇者」の称号を得る。
そうしてドラゴンは「もし私が闇の力にとらわれたら、勇者のチカラで滅ぼしてください」と主人公に語り掛ける。これは、ドラクエ1のラスボスである竜王が、聖なるドラゴンの子孫であることを示唆したものだろう。
ここでひとつの疑問が氷解する。
ドラクエ1~3に渡って描かれたロトの勇者シリーズは、ドラクエ3の勇者が”ロトの勇者”の始まりであるといわれている。一方で、ドラクエ3の勇者は大魔王ゾーマを倒してアレフガルドに平和をもたらし、王様からロトの勇者の称号を得るのだけれど、”ロトの勇者の称号”自体は遥か昔からあったことになる。そのことから、ドラクエ3の勇者は勇者ロトその人ではないともいわれてきた。
ドラクエ11のエンディングを観ると、先代勇者ローシュでも、ドラクエ3の勇者でもなく、ドラクエ11の主人公こそが勇者ロトであることが判明するのだ!!
さらにエンディングの最後でもまた、衝撃の展開が待っている。
聖なるドラゴンの語りから、唐突に女性が本を読んでいる後ろ姿のシーンに切り替わる。女性は本を閉じ、本棚にしまう。読んでいた赤い本には”勇者の紋章”が記されている。きっと、この赤い本に、勇者ロトの、つまりドラクエ11の物語が描かれているのであろう。
本を読み終えた女性は、ベットで眠っている息子に語り掛ける。
「おきなさい、おきなさい
私の可愛い坊や
今日はおまえがはじめてお城に行く日だったでしょう」
これはドラクエ3の最初で勇者のお母さんが、眠っている勇者に語り掛けるセリフ。ドラクエ3の勇者もまた、16歳の誕生日にアリアハンの王様に会いに行くのが、冒険の始まりなのだ。
ベットの布団からはツンツンの髪が飛び出して見える。きっとこの”坊や”がドラクエ3の勇者なのであろう。
このことからも、ドラクエ11がドラクエ3の過去に起こった出来事であるとわかる。
時系列的にはドラクエ11→ドラクエ3→ドラクエ1→ドラクエ2ということになるのだろう。
次は天空シリーズか!?
気になるのは、女性が本をしまった本棚の赤い本の横に、同じく勇者の紋章の描かれた緑色の本があること。
緑色と言えば、ドラクエ4の勇者のイメージカラーであり、天空シリーズを示唆するもの。
赤い本がロトシリーズの集大成だとするのなら、緑色の本は天空シリーズの集大成と言うことになりはしないだろうか?
ドラクエはこれで最後かも…なんて思っていたけれど杞憂に終わりそうだ。
ひょっとしたら、次回作ドラゴンクエスト12は天空シリーズの集大成的な作品になる…かもしれない!!