生き物 雑学

働かない怠け者が組織を助ける!蟻の社会にみる”完全なる世界”の在り方。

2020年3月21日

有名な話だけれども、働き者の蟻の中でも2割ほど、まったく働かない怠け者蟻がいる。

さらに、しっかりと働いている蟻の中でも一定数、仕事ができないうっかり者蟻がいる。

 

しかしそんな「怠け者蟻」や「うっかり者蟻」こそが、健全で効率的な組織のカギを握っているというのだ!

 

その秘密とは?

さらに人間社会にとって、役立たずのダメ人間は存在していていいのだろうか!?

働かない蟻の重要性とは!?

働き者の蟻の中でも必ず一定数、まったく働かない怠け者の蟻がいる。

なぜこのような蟻がいるのか?ずっと謎であったが、その秘密を解き明かすかもしれない研究結果が発表された。

長谷川准教授らによると、アリには「反応閾(いき)値」と呼ばれる「仕事への腰の軽さ」に個体差がある。

(中略)

働くアリだけの集団は一斉に疲労がたまって集団が維持できなくなったのに対し、働かないアリもいる集団は、反応閾値が高い怠け者アリも働き者アリが疲れると最後は「交代要員」として働き始めるため、より長く維持できることがはっきりした、という。

参照元:働かないアリも集団維持に必要 北大研究者が興味深い研究成果(ハフィントンポスト)

蟻の巣はかなり複雑に入り組んでいて、それぞれの部屋には「エサを保管する」「卵を育てる」などの役割がある。

そんな蟻の巣の機能は1日でも放置してしまえば大打撃を受けるといわれている。

特に蟻の卵はず~っと大人の蟻が舐めていないと、あっという間にカビが生えてダメになってしまうのだ。

蟻の巣はコンビニのように、年中無休の24時間営業ってわけだ。

 

そこでもし働き者の蟻しかいなかったとしたら…みんながヘトヘトに疲れてしまった場合に代わりに働く蟻がいなくなってしまう。

そうすると卵がすぐにダメになってしまうのだ。

 

長期的に見た場合、働かない蟻がいたほうが蟻の巣のシステムは有効に働く。

働かない蟻はピンチの時しか働かないけれど、組織全体から見ればとても重要な役割を担っているのだ!

 

ちなみに長谷川准教授の研究によると、蟻の中でも仕事への反応閾値はかなりバラつきがあったという。

観察期間中、ずっと働いているようなめちゃめちゃ働き者の蟻から、ま~ったく働かない蟻までさまざま。

この多様性が、組織の維持に一役買っているのだろう。

 

2割の蟻が働かないからこそ、蟻の社会は効率よく機能しているのだ!

ドジでマヌケな蟻が実は大事!

蟻の社会はそのまま人間の社会に当てはまるのだろうか?

蟻の社会では働き者の蟻が疲れてしまったら、その代わりに怠け者の蟻が仕事を開始する。

でも会社で働き者の社員が過労で休暇をとっているときに、いつも怠けているダメ人間が代わりに仕事をこなせるとは思えない。

 

…実は蟻の社会でも「ダメな蟻」は存在する。

働き者の蟻のなかでも、うっかり者で仕事のできない蟻が存在するのだ。

しかし、そんな蟻ですら、重要な意味を持っている。

 

蟻は隊列を組んで規則正しくエサを求め、エサを運ぶ。

偵察蟻がエサを探し出すと、そのエサに向かって1列に隊列を組んで向かうのが働き蟻の習性だ。

だけど、うっかり者のアリはその隊列を乱してしまう。

まったく違う方向に行って寄り道したり、わざわざ遠回りになるようなところに行ってしまうのだ。

当然、そのあとに続くマジメな蟻たちは、そのうっかり者の蟻の後を付いていき、それ以降の全員が遠回りで餌のもとに向かうハメになってしまう。

 

この一見まったくの無駄に思えるトラブルも、実は重要な意味を持つ。

隊列を乱す蟻がいるからこそ、時には近道を発見できたり、新しいエサを発見できたりするのだ。

それは、100%完璧に仕事をこなす蟻ばかりだったら出来ないこと。

組織にとってはイレギュラーな要素こそ、発展のカギになる。

 

怠け者やうっかり者、常識を無視する破天荒な人間、トラブルメーカー、そんな人間がわずかにいることが組織の刺激となり発展の推進力となるのだ。

共同体に属そうとしないアウトローが存在する意義とは?

集団には一定数の”怠け者”がいるけれど、それが集団全体の活動を円滑にしている。

しかし生物界では集団に属そうとせず、はぐれ者になる個体も存在する。(人間界にもいるよね)

そんなはぐれ者こそが、種の存続にとって大切な存在!!

…という研究をアメリカ・プリンストン大学の生物学者が発表した。

 

粘菌の一種であるキイロタマホコリカビは個体が寄り集まって集団となり、巨大なコロニーを形成して生存している。

だけど、そんな集団第一主義のキイロタマホコリカビにおいても、「アウトロー」が存在するという。

 

この集団で発生するアウトローの数はある程度一定なのだとか。

巨大な集団であればアウトローはたくさん出現し、小さな集団ではあまり発生しない。

研究者によると、このアウトローの存在は種にとってのリスク分散戦略なのだという。

何らなの理由でコロニーが全滅したとしても、はぐれ者のキイロタマホコリカビがいれば再び新しいコロニーは作られる。

 

怠け者。

うっかり者。

そしてはぐれ者。

いっけん不必要に思えるような存在も、全体で見るととても大切な役割を担っているんだね!!

”不完全であること"で完璧である世界

世の中、完璧であるものは一つもない。

犯罪はなくならない。

事故もなくならない。

戦争もなくならない。

大災害も発生する。

人類は学ぶことなく悲劇を繰り返す…。

 

もちろん、自分も完璧とは程遠い。

自分の顔は気に入らない。

髪質も気に入らない。

体形も気に入らない。

病気がちだし、すぐにくよくよするし、人間関係が苦手だし…。

世の中にはホント~に完璧なものなんてひとつもないのだ。

 

この「蟻の社会は怠け者やうっかり者がいるからこそ完璧に機能している」という話を聞いたとき、それはこの世界そのものにも当てはまるのではないかと思った。

なぜ完全なる存在である神が作った世界は、こんなにも不完全なのか?

それは不完全であることが完全であることに必要だったからなのだろう。

 

蟻の巣は世界の縮図であり、そこには神の意志すら感じる。

私はまったくの無神論者だが、世界は”このまま”でも完全に一部の隙もなく完璧なのではないかと思ってしまう。

 

そしてそれは自分の人生にもいえる。

「有意義なこと」や「大切なこと」ばかりに埋め尽くされた人生ってどうだろう?

考えるだけで息がつまりそうだ。

無駄なこと、意味がないこと、くだらないこと、そんな愚かな行為があるからこそ、人生は豊かに輝く。

 

生きている意味がないってことが、完全な人生に必要不可欠。

不思議だけど。

 

つまり色々と欠点があって不完全な自分は、そのままでも一部の隙もなく完全な存在なのだ!

そうさ、完全なるダメ人間な自分も…ここにいていいんだっ!!

 

…と納得させて仕事をサボってばかりいたら、あっさりとクビになるから気を付けよう。

「自分は働かない2割の蟻で、この会社には必要不可欠な存在なんです!」

「わかった、わかったから、明日から来なくていいよ…」

なんてねっ!

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