親が太っていると、こどもも太っちゃう。
太りやすい体質は遺伝する。
…これは半分当たっているが、半分は外れている。
確かに肥満には遺伝的な要素もあるだろう。しかし最新の研究によると、遺伝的要素以上に環境が影響を及ぼしていることが分かった。
肥満は伝染病のように、人から人へ移っていくのだ!!
親子だけではない。友達同士、兄弟同士でも、デブは伝染する!
そのメカニズムと、効果的なダイエットのための”3ない運動”を紹介しよう。
肥満は伝染病のごとく、人から人へ感染していく…!!
数年前、研究者のニコラス・クリスタキスとジェームズ・ファウラーは、肥満に関する驚くべき発見を行った。肥満は、まるで伝染病のように、人から人へ伝播するというのだ。
(中略)
われわれは他者の食習慣や空腹度に影響を受け、無意識のうちに周囲の人々の基準に引きずられているのだ。
参照元:肥満はなぜ「伝染」するのか:実験結果(WIRED
1万2000人以上を対象に、32年にわたって計測を行った膨大なデータをもとに肥満について検証したところ、驚くべき事実が判明した。
そのデータが示していたのは、ある人が太ると、その友人も太る可能性が57%も高くなるということだったのだ!
ちなみに兄弟間の場合、ひとりが太ると、その兄弟が太る可能性は40%高くなる。
夫婦間であれば、37%高くなるという。
また、アメリカ陸軍の兵士とその家族を用いた研究調査も発表されている。
南カリフォルニア大学の研究者が、2013~2014年に全米38カ所の軍事施設に配属された計1519組の陸軍兵士の家族データを調査。
その結果は、やはり「肥満は伝染する」というものであった。
肥満率の高い群に配属された軍人家族は親子ともに、肥満率の低い群に配属された軍人家族に比べて、過体重や肥満になりやすい傾向にある実態が読み取れた。
また、逆も真なりで、肥満率の低い群に配属されると「肥満になりにくい」ことも明らかになった。
肥満が多い地域や、肥満が多い舞台に配属されると、兵士個人はもちろん、その家族も肥満率が高くなる傾向が現れたという。
人間同士どころか、肥満はペットの動物にすら感染する。
太っている人は飼い犬も太っている傾向が強いとの研究結果が18日、発表された。飼い主が訓練目的以外で褒美として餌を与えがちなことが原因の一つだという。
デンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)の科学者チームによると、太り気味または肥満の犬の飼い主が過体重または肥満である割合は35パーセントで、飼い主が痩せているまたは標準体重である割合14パーセントの倍以上となっている。
参照元:太っている人は飼い犬も太っている傾向 研究(AFP)
飼い主が太っていると、ペットの犬が太るリスクは2倍以上!!
これらの様々な研究結果を見ると、明らかに肥満は伝染する!
では、どのように伝染するのか?
飛沫感染?あるいは空気感染?
肌と肌が触れ合ったらデブが移る?
デブの血液が傷口に入ったら?
どのような仕組みで肥満は人から人へ伝播するのだろうか?
肥満が伝染するメカニズムとは?
私たちは自分で意思決定をしているようで、驚くほど環境や周りの人間の行動の影響を受けている。
太っている人が多い環境では、下記のような「肥満の習慣」を無意識に取ってしまうだろう。
太っている人を見ると、自分の食べる量が増える
コロラド大学の研究によると「太っている人物を見ていると自分の食事量が増える傾向がある」という事実が分かった。
「太った人を見た後に食べる量は増えるのか?」
それを確かめる実験を行うと、確かに食べる量が増えた。
太った人の写真を見せられた被験者と、標準体重の人の写真を見せられた被験者を比較してみると、太った人の写真を見たほうのグループはその後に出されたクッキー試食を、標準体重を見せられたグループの2倍も食べたという。
ただ太っている人を見るだけ。
太っている人が多い地域に暮らしていたら、自然と太っている人が目に入ってくるし、無意識に食事量は増えちゃうだろう。
太っている人と食事をすると、自分の食べる量が増える
ノースウエスタン大学の心理学者チームが行った研究によると、人は周囲の食べる量に合わせて自分の食べる量を決める傾向があるという。
周りのみんながたくさん食べてたら、自分も思いのほか大量に食べてしまうのはわかる気がする。
これはアメリカでの実験だが、周りと合わせることを大事にする日本人であれば、さらにこの傾向は強くなるかもしれない。
全員がビフテキをオーダーしているところで、自分だけ「シーザーサラダだけで…」なんて出来ないだろう。
太っている人と一緒に生活すると、自分の食べる量が増える
その人の精神力や個人的性格、体形、遺伝的体質、そんなものよりも環境が強く影響を及ぼす。
例えば健康のためにフルーツを多く食べようと思った場合、キッチンにフルーツを常備しておけば、なんにも意識しなくてもフルーツを食べる量が格段に増える。
家族が太っていると、家にはたくさんの食料がある場合が多い。たくさんの食料がある家で生活している場合、意識的にしろ無意識的にしろ、食料があんまりない家で生活するよりもなにかを食べる確率が跳ね上がる。
これは、意志の力ではどうしようもない。
お菓子のたくさんある家でダイエットしようなんて、2階から目薬をさすくらい難しいだろう。
太っている人は”楽しいとき”にエサを与える
飼い主が太っていると、ペットの犬も太る。
普通体重の人は訓練目的でおやつを与える傾向にあるけど、太っている人は”自分が楽しいときに”おやつを与える傾向にあるとか。
ソファーでテレビドラマを見ながら、自分が食べているおやつを犬にもあげちゃう。
そりゃあ、犬だって太る。
「わたし、そんなに食べてないのにすぐ太っちゃうの。太りやすい”体質”なのよ~」
なんて話を聞くけど、実際のところ、太る人は食べている。
無意識に食べているから気づかないのだろう。
そうして無意識にペットにもたくさんエサを与えちゃう。
家族、友人、そしてペットまで。
太るのは太っている人自身が自分に甘く、自制心がないからなのかもしれない。
ダイエットのための3ない運動!
これらの実験結果を見ると、人間ってのは良くも悪くも絶対に周りの影響を受けてしまう、社会的な動物であることがわかる。だって、相手を見るだけで、その人に対して同調行動をしてしまうのだから。
また「食べる」という行為は、単純に食欲を満たすためだけに行われるのではなく、コミュニケーションのひとつであることもわかる。
食べることが、みんなとのコミュニケーションになるし、食べることで人は幸せになる。
だからこそ、食欲が満たされても、みんな食べ続けるのだろう。
では、ダイエットするには?
環境の前に意志の力が無力だとしたら、下記の「3ない運動」を行うべきだろう。
- 太っている人を見ない。
- 太っている人と一緒に食事をしない。
- 太っている人と一緒に暮らさない。
…なかなか、厳しい。
テレビでホンジャマカの石ちゃんや、マツコ・デラックスが美味しそうに食事しているシーンを見るだけで、ホントに自分が食べる量も増えちゃうってわけだ。
ということは、部屋中にめっちゃ痩せてる芸人カラテカ矢部のブロマイドでも張っておけば、ダイエット効果があるかもしれない。
女性なら理想のモデルさんの体形が写った全身ポスターを張っておけば…理想のプロポーションに近づけるかも!?