「落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する」
これは「落としたトーストの法則」と呼ばれる、最も有名なマーフィーの法則の公式だ。
マーフィーの法則を知っているだろうか?
今回はマーフィーの法則に隠された秘密に迫りたい。
マーフィーの法則とは?
マーフィーの法則とはなんだろうか?
小学館のデジタル大辞泉にはこうある。
《Murphy's law》間違う可能性のあることは必ず間違える、というような皮肉な経験則を、法則として冗談めかしていったもの。元来は米国のジョークで、マーフィーは、「いくつかの方法があって、一つが悲惨な結果に終わるものであるとき、人は必ずその方法を選ぶ」という法則を述べた米軍のエンジニアだという。
ではマーフィーの法則の例を並べてみよう。
- どんな馬鹿にだって扱えるようにしても、馬鹿はその上を行く
- 風の強さは、その日髪のセットに費やした努力に比例する
- USB端子を逆に入れようとしてしまう確率は90パーセント以上
- LANケーブルは長すぎるか短すぎる。よって、ちょうど良い長さのLANケーブルは存在しない
- 母親は「こんな日もあるさ」と教えてくれたが、こんなにたくさんあるとは聞いていない
- 自分が先生に指された問題だけ、いつも自分が解けない問題である
- 傘を持っていくと雨が降らない
- 作業場で道具を落とすと、もっとも手が届きにくい隅っこに転がり込む。その際、必ず落とし主のつま先に当たってから、その隅っこに行く。
- 自分が席に座った時、疲れている時ほど目の前にお年寄りの人が乗り込んでくる。
- 計算間違いに気がついて、念のためにもう一度計算し直すと、第3の答えを導き出してしまう。
マーフィーの法則への科学的アプローチ
マーフィーの法則に抗うことはできるのか?
アストン大学の物理学者ロバート・マシューズ氏の論文に「落下するバタートーストの力学的分析」というものがある。これは先に紹介したマーフィーの法則のひとつ「落としたトーストの法則」を科学的に検証した実験だ。
この実験の結果、3メートル以上のテーブルを使うことで、バターを塗っていない方の面がカーペットに着地する確率が高くなることが判明した。
マシューズ博士はこの素晴らしい論文によって、権威あるイグノーベル賞を受賞したのだ。
この検証は一例に過ぎない。
あらゆる他のマーフィーの法則においても、その確率を反転させるような科学的方法論が存在するに違いないといえる。
科学の力はマーフィーの法則を打ち破る可能性を持つのだ。
マーフィーの法則への心理的アプローチ
ナショナルジオグラフィックが行った面白い街頭実験がある。
「自分を幸運と思っている人には幸運が舞い込み、不運だと思う人は不幸になる」という事を証明する実験だ。
内容はこうだ。まずランダムに選んだ通行人に、自分は幸福か?それとも不幸か?聞いてみる。次に新聞を渡して10秒以内に新聞に載ってる写真の数を正確に数えられたら賞金をプレゼントすると伝える。
この実験は、驚くべき結果となった。自分を幸運だと思っている人の方が遥かに高確率で賞金を手にしたのだ。
実はこの新聞はナショナルジオグラフィックが作ったもので、ちょっとした秘密があった。
載ってる写真のひとつに「写真の数は7枚だよ~ん」と書いてある吹き出しがあったのだ。
自分を幸運と思っている人は、このちょっとしたイタズラに気づく確率が高かった。
偶然の幸運、偶然の不幸、これらに自分の価値観が影響を与えているのだ。
自分を幸運と思っている人の方が、本当に幸運を呼び込む力が強いのである。幸運に気づく力と言ってもいい。
マーフィーの法則とはネガティブな事柄に焦点を当てた法則だ。良いことが起こった時よりも、タイミングの悪いツイてないことが起こった時の方が記憶に残る。だからこそ、マーフィーの法則にみんな同意できるのかもしれない。
それはある意味で自分で不幸を選択しているといっていいのではないだろうか?
マーフィーの法則を覆すには、本当の意味で自分がラッキーな人間と思う必要があるのかもしれない。
マーフィーの法則に打ち勝って幸せを呼び込む方法
あなたがとんでもないおっちょこちょいで、朝食のトーストをよくテーブルから落っことしてしまう人だったとしよう。
この現状を解決するには、3つの方法がある。
①テーブルを3m以上にする(科学的アプローチ)
②自分が幸運な人間と思い、落ちた瞬間に絶対にバター塗っている方が上だ!と心から信じる(心理的アプローチ)
③バター面が下に落ちる確率はカーペットの値段と比例するので、カーペットをなるべく安ものにしておく(マーフィーの法則的アプローチ)
どうだろうか?
マーフィーの法則なんてただのジョークだろ?そう思っていても、この3つの違った角度からの解決法を観ると、ジョークでは片づけられない重みがマーフィーの法則にはある。
そう、3つの解決法の中で現実的でもっとも有用なのが、実はマーフィーの法則的なアプローチであることに気付くのだ。
テーブルの高さを3mにする。確かにそれでバターを塗った面が下に落ちる確率は下がるかもしれない。だけど、自分がバランスを崩して落ちてしまい、3mの高さから落下!全身打撲で集中治療室に直行という可能性もなくはない。それに3mのテーブルと椅子を特注するなんて、だれが作ってくれるというのか?
絶対大丈夫と信じる。これも確かに効果的だ。しかし、それは現実を変えるというより、現実を認識する自分の世界を変えるという事に過ぎない。
だけど、カーペットを安物に変えるというのは、とても現実的で道理に合った対処法ではないだろうか。
つまりマーフィーの法則はひとつの危機管理の方法論とも捉えられるのだ。
カーペットが高価であればあるほど、バター面が下に落ちるというなら、あらかじめカーペットを安ものにしておく。
それは、最悪を想定し準備するという事。
でもやっぱり、最も有効なのはこの3つのアプローチを併用するという事だろう。
3mのテーブルを使い、ポジティブシンキングで、安物のカーペットを利用する。
そうすれば、トーストに塗ったバターに頭を悩ます必要なんてなくなるだろう。
冗談みたいに聞こえるが、これは世の中のあらゆるトラブルに応用が利くのではないだろうか。
マーフィーの法則を使って、偶然の不幸に事前に準備しておく!!
マーフィーの法則は元来アメリカのジョークだそうだが、その中に人生を豊かに生きるヒントがあるのだ。